夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

23030 スティーヴン・キング「異能機関」(下) 匂わせ感想

むっちゃくちゃ面白かった…キング最高だな。大好き。

サブタイトルがいくつかあるのですが、読み始めた時点で非常に不穏だからビクビクしていたんですよ。でもサブタイトルについてはだいたい杞憂なんですよね。むしろ笑っちゃう。笑えないけど笑える。地獄を見るのがそっちなんだ!という。

 

書いた人が書いた人なので、とんでもねー犠牲もあるし、とんでもねー痛い事態もありますが、それでも読みながら首を傾げることも。

キングでこういう話であれば、誰かしらがマーベルのX-MENシリーズに出てくるストライカーみたいなやつがいてもおかしくないと思ったんですよ。

特段能力がないのにミュータントに対してめっちゃ強くてしぶとくて、絶対的な強い敵。

 

それがね、この物語で一番怖いのって違うんですよね。

私はここ数年様々な本を読んでいてある種の子ども、だいたい子どもの集団の怖さをじわじわ感じてきたんですが、この物語もそうでしたね。

子どもの集団って大人が理解とか把握し難いほどのとんでもないことをやらかすような。しかも子どもに自覚が薄いとか、自我がない場合もある。「幼年期の終り」の終盤の子どもたちとかめっちゃ怖い。

悪ではなく、善でもなく、ただただ理解しにくい超越した存在になっちゃうの。

あとこの作品では同じくらい怖いものがありました。映画「ホット・ファズ」が頭をよぎったわ。

話の内容はぜんぜん違うけど、通じるものがある。

 

こわいなー、こわいなー。

 

子どもたちの敵であった大人たちは色んな意味で子どもやある集団を侮っていてその一つ一つの要因から自分たちの首を絞めるんですよ。その辺が痛快ながら、それでいいの?ってくらい手抜かってる。

 

悲しい展開もあったけれど、テンポよくお話が進んでいき、最後まで揺さぶられる恐怖もありましたが、その最後の最後の脅しに対して私は言いたい。

これネタバレだけど読んだ人にしかわかんないでしょう。

 

プレコグ、ルークがヤバいってのはわかんなかったの??

 

だから彼らも知れてるんだよ、と私がある登場人物に言ってあげたかったですね。

ルークが導く結論もよかったけど、ティムあたりには思いついてほしかった。

 

ほろ苦さや切なさ、やるせなさもありながら、一種痛快でもありました。

本当に面白かった。キングが最初から最後までトランプが大嫌いなのも面白かった。

キング、お願いだから元気なままもっと長生きしてね。