夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

スティーヴン・キング 「異能機関」読書日記 ふんわりとしたネタバレ注意

久々にキングの大作を手に入れてしまった!!!

 

私とスティーヴン・キングはもう数十年の付き合いになるんですが、ここまで大量に読んでいるわけではないんです。

怖いし汚い言葉がいっぱい出てくるし、登場人物が平気で酷い目に合うから心の調子が良い時じゃないと読めない。昔は映画のほうが中心でした。本の方を読むようになったのは「ガンスリンガー」からかな。

【恐怖の帝王、作家50周年を前に王道のSF巨弾が待望の邦訳!】

異能の少年少女を拉致する謎の機関〈研究所〉。
彼らは子供たちの超能力を利用して何を企図しているのか。
冷酷なるくびきから逃れるため、少年は知恵をめぐらせる。

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ミネソタ州ミネアポリスに暮らす12歳の少年ルークは、両親こそごく平凡だが、優秀な子供の特待校に通う神童だ。彼にはちょっとした特殊能力があった。ふとしたときに、周りのごく小さな物品をふれることなく動かしてしまうのだ。と言っても、それは他人が気づくほどのことでもない。

一流大学MITの入学内定を勝ち取ったルークだが、ある夜、3人の不審な男女が眠る彼をかどわかす。目覚めたルークが見たのは、自分の部屋そっくりにしつらえられているが、何かが違う一室だった。扉の外は自宅とは似ても似つかぬ、古びた大きな施設。そこには様々な少年少女が拉致され、自室と似た部屋を与えられて戸惑いながら暮らしていた。

目的も知れぬこの〈研究所〉で、残忍なスタッフや医師に、気分の悪くなる注射や暴力的な検査を繰り返される少年少女たち。彼らの共通点は「テレキネシス」か「テレパシー」の超能力を持っていることだった。

ルークは黒人少女カリーシャ、反抗的な少年ニック、幼く泣き虫だが強いテレパシーをもつ男の子エイヴァリーらと知り合うが、一定期間検査を受けた子供はひとり、またひとりと〈研究所〉の別棟〈バックハーフ〉へ連れ去られ、決して帰ってこないのだった。ルークはこの不穏な施設からの逃亡計画を温めはじめる――

 

噂で聞いた話では、もう老境に入ってるキング御大が老境とかなに?と言わんばかりにブイブイ言わせてるし昔のイケイケだった頃の雰囲気が漂っている、とのことで気になりつつも、子どもが主役なのでこれは面白いと同時に悲惨なやつだ…ゴクリ、と覚悟をしていたんですよ。

 

いつもだったら「読書日記」という体裁は取らず、読んでいる途中はメモ帳に思ったことを書き取っていき、読み終わって感想なりレビューなり書いて済ませるんですが、久々の大好き(だけど怖くて読めない)なキング、久々の鮮度がある新刊ということでその時思ったことを日記として書き綴りたいと思います。

 

最初の章である「夜まわり番」読了。

視点と主人公は子どもじゃなくて、南部の田舎町に流れ着く元警察官のティム。

アラフォーでバツイチ、警官としての勘や身のこなしは十分にあり、人情もあり、休日の過ごし方は共感するところがある。

そして…

人が、死なない。あまり悲惨な目に合わない。理不尽な目に遭う人がいるにはいるけど。

だ、大丈夫か…

 

ソマリア系移民の男性が売り物のスクラッチ宝くじを「サウスカロライナ州の財産」と表現するくだりでしゅんとして目がうるんでしまった。そんな心根の市民を…

 

ここで気になったのが家出をしようとした12歳の双子のローランドとロバート。ローランドといえばキングのライフワーク「ダークタワー」の主人公、ロバートはローランドの名前の由来になった作品を書いたロバート・ブラウニングファーストネームが同じだなあ、って。偶然とは思えないけど、これが物語に大きく関わってくるかはしらない、この子たちがモブなのか、重要人物なのかはいまはまだ分からない。(主な登場人物の中には名前がない)

単にキングの遊び心なのか、そういう狙いすらないのか(あるだろうけどなあ)

 

キングは子どもの登場人物を平気でぶっ殺すし死にそうなほどひどい目に遭わせるので(わたしゃーね、「タリスマン」も読んでますからね。「IT」も1巻の後半まで読んだ。あれは続きをいつかは読みたいですねえ)ドキドキしながら続きを読みます。

 

しかし、相変わらずアメリカの銃社会こわいわあ。

 

池央耿先生の翻訳である旧版が好きです。