夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

知らない間に角川文庫で復刊していたスティーヴン・キングのダークタワーシリーズについて。

けものフレンズ絡みでKADOKAWAさんにはムカついているんですけど、なぜか新潮がそっぽ向いて角川文庫で復刊したのでご紹介。どうした、新潮さん!!! 

ダーク・タワー1 ガンスリンガー (新潮文庫)

ダーク・タワー1 ガンスリンガー (新潮文庫)

 

 なんかファンタジー色を打ち出した感じがあるKADOKAWA版ですが、ダークファンタジーというかファンタジー・ホラーというか、容赦のないストーリーテリングで圧倒されるシリーズではあります。

日本で一番最初に翻訳出版されたのは角川書店刊「暗黒の塔シリーズ1ガンスリンガー」ってタイトルだったはず。翻訳者は池央耿さんで、3作目の「荒地」まで池さんの翻訳で読めました。

池さんの翻訳についてはこれまでも何度かブログで触れていますが、日本語が美しく、印象に残る文体で私は大好き。

ガンスリンガー」も冒頭の一文がかっこよかった。原書も読んだけどあれ以外ないな、と思う。

 

しかし諸般の事情?よくわからないけれど4作目の「魔導師の虹」からは風間賢二さんの翻訳になり、そこから長い間5巻が出なくて悶々として我慢できずに原書で5巻を購入してある程度読んでいたら5巻が出ます、最終巻までコンスタントに出ます、そのかわり新潮文庫で出直しです!って発表され、当時はちょっとした騒ぎになって購入者全員サービスでキング書き下ろし、たしか未だに売り物としては出版されていない「コロラド・キッド」が配布されるイベントもあったり、たしかにちゃんとコンスタントに7作目の最終巻まで出たのでした。

 

4作目の頃から映画化の噂があったのが、最近になって漸くハリウッドで映画化されたものの評判が良くないらしいのはさておき(主人公のローランドがイドリス・エルバなのも黒衣の男がマシュー・マコノヒーなのもイメージは悪くないと思うのだけど、原作がすごすぎて映像化するのは難しいとも思うよ私は)それに乗じてKADOKAWAで改めて風間賢二さんが翻訳したほうを出版し直ししているらしい。

 

ややこしー。

 

あらすじはウィキペディアとかで調べたらいいと思うけれど、私の推しエピソードは4作目の「魔導師の虹」あるいは「魔導師と水晶球」です。

 

ダーク・タワー〈4〉魔道師と水晶球〈上〉 (新潮文庫)

ダーク・タワー〈4〉魔道師と水晶球〈上〉 (新潮文庫)

 
ダーク・タワー〈4〉魔道師と水晶球〈中〉 (新潮文庫)

ダーク・タワー〈4〉魔道師と水晶球〈中〉 (新潮文庫)

 
ダーク・タワー〈4〉魔道師と水晶球〈下〉 (新潮文庫)

ダーク・タワー〈4〉魔道師と水晶球〈下〉 (新潮文庫)

 
ダークタワー IV 魔道師と水晶球 下 (角川文庫)

ダークタワー IV 魔道師と水晶球 下 (角川文庫)

 

 うわあ17年前か…

 

映画ではアラフォーでいぶし銀の雰囲気すら漂うイドリス・エルバが演じるガンスリンガー、ローランドですが4作目は若かりし頃のローランドが旅に出るきっかけになったエピソードが中心になっております。

原作ではイメージはクリント・イーストウッドっぽいので若かりし頃の美しいクリント・イーストウッドをイメージしてもいいと思うの。所々で美青年として描かれていて、しかも男爵領の跡取りという肩書(だったはず)だけれど、世界観的に王子様的立ち位置でもある。だけどコスチュームは西部劇。だけど気持ちの悪い魔女は出るし、魔術的なものもちらほら。

 

若かりし頃のローランドは同年代の仲間を伴って旅に出て、その土地の有力者の元へ嫁ぐ予定の美少女と出会う…という、後は思い出すだけで胸が苦しくなるので割愛して、ローランドが美少女と出会うくだりがとてつもなくロマンティックで。ローランドがとても素敵なのですよ。単なる若者ではなくて、過酷な修行を乗り越えたガンスリンガーなのですよ。

 

スティーヴン・キングなので容赦のない展開になるのだけど、というか1作目から読んでいたらだいたい想像がつく展開なのだけど、そうならないように祈りながら読むあのハラハラ感よ。1作目から何度神というかスティーヴン・キングを恨みながら読んだことか。

 

キングと言えば「IT」の映画化は評判もよく、原作もこれまで日本では電子書籍になぜかなっていなかったのが今日、漸く電子書籍化されました。

知らなかったけれど今日たまたまわかったので嬉しい!

 

合本 IT【文春e-Books】
 
IT(1) (文春文庫)

IT(1) (文春文庫)

 

 

もともとアメリカのドラマシリーズで話題になって、そちらは見ていたのだけど物語の怖さより一緒に見ていたうちの母(ホラー大好き)がピエロ姿のペニーワイズをじーっとみて「この人って、ロッキー・ホラー・ショウのフランケン・フルター博士じゃない?」って気づいたのが怖かった!共通点ってしいて言えば白塗りってだけなのによく気づいたなって。

 

で、ダークタワーシリーズだけれど、5作目「カーラの狼」の時点で言葉の汚さとちょっと地味な展開に読むテンションが下がったきり、全巻揃ったもののまだ読んでいないので最後まで読んでから語りたいよねーとは思っているところです。

でもそれより先に「IT」が読みたいけれど。

 

ホラー嫌いだけどスティーヴン・キングは別腹って感じの状態が何十年も続いております。大好きです。

 

そういえばダークタワーシリーズの番外編的短編小説はどこかで再録されているんだろうか…新潮文庫でされたような気もするが、いま調べるのが面倒くさい(おい*1 

 

 

伝説は永遠に―ファンタジイの殿堂〈1〉 (ハヤカワ文庫FT)

伝説は永遠に―ファンタジイの殿堂〈1〉 (ハヤカワ文庫FT)

 

 これこれ。「エルーリアの修道女」というタイトルです。

4作目が気に入ったら読むべし。4作目から1作めの間のローランドの旅のお話で、切ないです。

今調べたら「第4解剖室」に再録されているらしい。どうせならダークタワーシリーズに収めたらいいのに。

 

第四解剖室 (新潮文庫)

第四解剖室 (新潮文庫)

 

 

*1:ちなみに「オイ」というマスコットキャラが出るぞダークタワーシリーズ