夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

マーダーボット・ダイアリー(読書中)

 

かつて大量殺人を犯したとされたが、その記憶を消されている人型警備ユニットの“弊機”は、自らの行動を縛る統制モジュールをハッキングして自由になった。しかし、連続ドラマの視聴をひそかな趣味としつつ、人間を守るようプログラムされたとおり所有者である保険会社の業務を続けている。ある惑星資源調査隊の警備任務に派遣された弊機は、ミッションに襲いかかる様々な危険に対し、プログラムと契約に従って顧客を守ろうとするが……。ノヴェラ部門でヒューゴー賞ネビュラ賞ローカス賞3冠&2年連続ヒューゴー賞ローカス賞受賞作!

2021/04/12 連作もので、1話目の「システムの危殆」を読了。

 殺人(もできる)ロボット、「警備ユニット」の一人称で語られる物語で、一人称が「弊機」なのがリアルであるうえに奥ゆかしい感じがする。原書では「I」とのことなので、これは翻訳者によるファインプレイなんでしょうね。

研究者による惑星探索のために保険会社から派遣された警備ユニットで、暇なときはこっそり連続ドラマを見るのが趣味って人間だったら私やんって思ったら性格も内向的で人と関わるのが苦手で顔も見せたくないとか本当に私やんと面白く思いながら読みました。

独特の固有名詞が具体的に何なのかは類推するしかなく、一応調べて見当づける感じなのはSFに慣れない人には不案内だろうなあ。

イメージの助けになるかも、と思ったのは「彼方のアストラ」。

第1話 前半 PLANET CAMP

第1話 前半 PLANET CAMP

  • メディア: Prime Video
 

 未開の地でえらい目に遭うけど知見を駆使して生き抜く若者たちのお話です。これに自我がめっちゃつよいロボが闖入した感じ??

イメージがしづらくとも主人公の「弊機」くんがなかなか魅力的で、内省も懊悩もロボらしさとらしくなさのブレブレが面白い。ブレブレなときは連続ドラマを見てメンタルリセットを試みたり、周りの人間の印象を連続ドラマになぞらえがちなのがコミュ障のオタクみたい。

ミステリ仕立てかなと思ったらそうでもなかったけど、狩野英孝さんのバイオハザード攻略動画を見ながら読んだときもあったので、あのスリルもダブるところがありました。

「弊機」くんの一人称ですます口調の文体で、私はですます口調の文章が苦手だけどこれはおとぎ話ではなくて記録用の説明口調と思えば平気でした。おとぎ話系の口調が苦手ってだけだった。

 

続きを読み次第また感想を書きましょう。SF弱者には難しいとかイメージしづらいとかあれこれ言いましたが、弊機くんが魅力的なので気になります。

21007 シオドラ・ゴス「メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち」

 久々の銀背

ヴィクトリア朝、ロンドン。父に続いて母を亡くした令嬢メアリ・ジキルは、母が「ハイド」という人物に毎月送金をしていたことを知る。ハイドというのは殺人容疑で追われているあの不気味な男のことだろうか?メアリは名探偵シャーロック・ホームズと相棒ワトスンの力を借りて探り始めるが、背後には謎の集団“錬金術師協会”の企みがあった。調査するうちメアリが出会ったのは、ハイドの娘、ラパチーニの娘、モロー博士の娘、フランケンシュタインの娘といった“モンスター娘”たち。彼女たちは力をあわせ、謎を解き明かすことができるのか?さまざまな古典名作を下敷きに、一癖も二癖もある令嬢たちの冒険を描くローカス賞受賞作。

 モチーフは好みだけどなかなか序盤は読みすすめられず、他の作品に浮気しながら最近になってエンジンが掛かりました。きっかけは、仕事行く前にパラパラ開いたらやめられなくなったという…あれはよほどの作品以外はなんでも面白く感じられて、とっかかりがつかめるタイミングだと思う。仕事に行くよりはきっとなんでも楽しい。

 

 なにしろ主人公はずっとお金の心配ばかりしている没落したお嬢様なので、お金の心配なんて現実でうんざりしている私の心を惹き付けるはずがない。救いはこの作品の面白い特徴である、物語が書き手によって書かれているリアルタイムに登場人物があれこれツッコミを入れるシステムで、それによって魅力ある女の子たちがこれから冒険するんだってわかるところ。お金に悩むのは非常に大事なことではあるし、だからこそ必要に迫られて展開する部分もあるから無駄じゃないけども。

主人公以外は確かにモンスターじみたところがあって実に興味深いけれど主人公は勇敢であっても特に目立った特徴もないので19世紀ロンドンの真面目な令嬢で、こんな子で大丈夫なのかと不安になったほどでした。でも退屈でしんどかった日々を抜け出して冒険する日々にワクワクするようになると物語はぐっと面白くなり、ちょっとしか出ないのかと思ったホームズとワトソンも大活躍でなんだか安心感がありました。→ネタバレ*1

 

 それぞれのモンスター娘たちの話は切なさもあり、特殊能力もなかなかのもので、主人公はジキル博士の娘というだけで特に目立った要素がないのもだからこそのヒロインなのかもしれない。それと、普通であるはずの読者と同じ目線で見られるから読者にとってありがたい存在なのかも。私はそれより彼女の生活を一切取り仕切るミセス・プールが主役でもいいと思ったけどね。すごく魅力的で包容力ありまくり。みんなのオカン。

物語は一応一話完結だけど、ラストに新たな問題が投げかけられ、解説でも三部作と紹介たので早川書房さんは責任を持って最後まで銀背で出版してほしいなあ。

 19世紀ロンドンの空気感は濃厚で、すごく取材されたんだろうなとわかる。私の大好きな世界が見事に再現されていました。そこで活躍するモンスター娘たちがバックボーンのせいか実によく馴染む。

 

 私はフランケンシュタインは子供の頃にアニメ映画を見ており、Dr.モローの島はその映画が大好きな母から隅々までネタバレされていたので話を知っており、ジキル博士とハイド氏は母から二重人格とは、という私の質問から丁寧なネタバレをされ、ブラム・ストーカーのドラキュラはコッポラの映画とキム・ニューマンの「ドラキュラ紀元」を読んでいるのでその登場人物たちはいろいろ知っているという状態で読んだので、ラパチーニの娘以外は調べないでもスイスイ読めたし、知らなくても問題ない展開だったから別にいいんでない?とも思いました。

ラパチーニの娘が一番面白そうだけれども、ちょっと前に発売された乙女ゲームのヒロインが似たような特性を持っていたな。ラパチーニの娘であると明言されていたかどうかは忘れたけど。

Code:Realize ~創世の姫君~ - PS Vita

Code:Realize ~創世の姫君~ - PS Vita

  • 発売日: 2014/11/27
  • メディア: Video Game
 

 これこれ。これにもシャーロック・ホームズが出る。こちらについては以前ブログに書いたはず。(数分後確認。書いてなかった。攻略するのがしんどかったからかなあ…)

 

 フランケンシュタインジキル博士とハイド氏はちゃんと読みたいですね。たぶんどっちも持ってるはず。後者は両親の本棚でも見たことがある。

ドクター・モローの島 (初回限定生産) [DVD]

ドクター・モローの島 (初回限定生産) [DVD]

  • 発売日: 2005/08/19
  • メディア: DVD
 

ちゃんと見た覚えはないけどあらすじは全部母から聞いているという、厄介な作品の一つですわ。ありがたくないわあ。どうせなら原作が読みたいな。

モロー博士の島 他九篇 (岩波文庫)

モロー博士の島 他九篇 (岩波文庫)

 
吸血鬼ドラキュラ (創元推理文庫)

吸血鬼ドラキュラ (創元推理文庫)

 

副読本たち。特に「吸血鬼ドラキュラ」は今後のためにも読んだほうがいいのかもね? 

*1:ヒロインにも逆転サヨナラホームランみたいな秘密があればもっと面白かったんだけど。

21006 アレックス・パヴェージ「第八の探偵」(発売前故ネタバレなし)

 早川書房さんが発売前の作品をゲラの状態で読ませてくれるキャンペーンをされていたので応募したら当たりました。前に、なんだったかな。応募したときは外れたんだけど。

他所の出版社のイベントでは2回参加したことがあるのでこれで3度目。前のもこのブログに感想を書いているはず。

第八の探偵 (ハヤカワ・ミステリ文庫)
 

探偵小説黄金時代に一冊の短篇集を発表して以来、孤島で暮らす作家。その秘密とは? 七篇の作中作が織り込まれた傑作ミステリ!

 ゲラというのはだいたい冊子になるものを見開き2ページを1枚でプリントされたものなんですが、これが意外に読みやすいんですよね。紙の質は本来の本より厚手のコピー用紙なので厚さもかさばるけれど、分けてクリップで綴じて読めばよいとこの度は3分割にして読みました。*1

これはゲラというものがピンとこない一般的な読者様への説明になります。ゲラを読む醍醐味というと、コメダとか喫茶店とかで読むと関係者の気分を味わえるの!これ楽しいよ!今回コロナ禍なので出来なかったけど!

 

ネタバレを避けてこの作品を表現すると…読んだあとに「ああ面白かった」とつい口に出しちゃう。

美味しいものを食べたときには「ああ美味しかった」と言うような気持ちと一緒。大好物をたらふく、満足できる量で食べられた気持ちです。

七篇の作中作が織り込まれたミステリとありますが、普段は私は作中作をテキトーに流しがちなんですよ。何作か挙げられるけど否定してるように取られるとアレなので挙げません。

作家が自分の作品に別の作品を盛り込むというのは技巧に走りすぎると本来の物語の面白さから乖離して浮いちゃうというか、本来の作者の物語づくりの癖から離れたものにしようと意識するからなにか歪なんですよね。それで読むのが面倒くさくなっちゃう。そんな凝ったことしないでとっとと結論をシンプルに教えなさいよと回りくどいのが苦手でせっかちな私は思う。

でもこの作品における作中作は物語として面白いんですよ。短編推理小説という体裁だからなのもあるんでしょうけど。

どの作品が好きかとか発売されたらこの本を親友に買ってプレゼントして語り合うんじゃいと思いながら作中作を楽しんだのですが、オチとかはまたいずれ語るとして(本当に語るかどうかはわからないですが)私好みの驚きがそこかしこにあり、非常に美味しくいただきました。

 

早川書房さんありがとうございます。

時期的に早いけどミステリ・ランキングの上位に行くといいな。これ、ポケミスじゃなくて文庫なのもすごい。じゃあ同じ月に発売されるポケミスはもっと面白いってことかいな。(ハードルをあげてやる)

あ、デイヴィッド・ゴードンの「用心棒」の続編か!

 ポケミスのビニルカバーが好きでポケミスは紙で買います。こちらも持っています。

4月は早川書房さんは大豊作なんですよ。菅浩江先生の本も一気に文庫化されるし。

それに埋もれてほしくない、大きく話題になってほしいですね「第八の探偵」面白かったなあ…

(いわゆる案件にはなりますが、私は忖度して感想を書くのが嫌でブログにコメントを受け付けていないし、いまはSNSでもほとんどそういう関係の人とやりとりをしないようにしていますので、つまらんかったらつまらんと書きますよ。これは忖度抜きに面白かった。早く作中作1作1作について、それを書いた作家とそれを書いた作家についてあーだこーだ言いたい!)

*1:前述の他所の出版社はでかいクリップに綴じた状態で送ってくれましたが、これはどちらでもいいです。綴じられてもありがたいし、なにもなくてもこっちで都合をつけるからありがたい

ゲームセンターCX DVD-BOX10巻

ゲームセンターCX、もうかなりの長寿番組になっていますが私が始めて見たのは忍者龍剣伝の回なのでわりと初期の頃とも言えましょう。CSってニッチな番組が多くてワクワクしたものです。ゲーム攻略が番組になるとかね、人がこっそり望んでいたものが実現されるとか。

そこからかなり長い間見ていたのですが、スカパーをやめてからはほとんど新規は見られておらず。HDDに残った過去データを見るくらい。

このコンテンツが大好きだし、作業用BGVとして本当に最適なので毎年12月のお楽しみと言われるDVD-BOXを去年の12月に購入しました。

31歳ごろから始めた課長がいまも課長で49歳ですよ。18年。先日通算300回を越えたときはネットでリアルタイムで見ました。24時間攻略は土日休み原則不可の仕事についていたのに無理やり休みをとって見ました。そのくらい大好きなんですよ。

ゲームセンターCX DVD-BOX10

ゲームセンターCX DVD-BOX10

  • 発売日: 2013/12/20
  • メディア: DVD
 

 今回購入したのは10巻。2本目になぜこちらを選んだかというと、カービィボウルが入っているからです。パズル課長の戦略とまぐれが光る回でした。なぜか好きなんですよね。ぐっすんおよよも好き。

17巻のキャプテン翼とロシア出張、逆転裁判も良かったけど全部見たことがあるこの巻は懐かしくて面白い。

つぎは忍者龍剣伝が入っている3巻を買う予定で、追々全巻揃えたいですね。ずっとBGVにしていたいので費用対効果は高いです。あんまりDVD-BOXを持ち続けることはしない方ですが、こちらは別。また封入特典もこの番組が好きだったらコレクションしたくなるので新品で買っちゃう。手を出してよかった。

有野課長はあんまりゲームが上手いように見えないのですが、自分が実際カービィボウルをやってみてわかったのが、私のほうが下手なんですよ。

それと、カービィボウルぐっすんおよよレミングスなどでわかるけどファミコンとかスーファミ時代に優れたパズル要素のあるアクションゲームが多いこと。

私自身は攻略が下手だけど人が解いていくのが好きで。

私は課長にマリオvsドンキーコングもやってもらいたいと常々思っております。まだやってないはず。アドバンスなのでそろそろ対象に入ると思うのでぜひお願いしたい…

しかしいまは課長が元祖とか自虐するくらい攻略番組がちょいちょい出ていますが、テレビとかでやっている他の番組はあくまで私は、なんですがそんなに集中して見られないしBGVにもしたくないんですよね。やかましいし落ち着いた雰囲気がない。Youtubeの攻略番組ではわしゃがなTVの生攻略配信は見ていられる、花江夏樹さんのは攻略するゲームによるという感じ。他のはすぐ集中が途切れて別の番組に変えちゃう。

プレイヤーの好き嫌いでもないんですよ。感覚の問題なので分かる人にはわかるだろうしわかんない人には全然わかんないでしょうね。

GCCXはどれも鬼リピート視聴できる。たぶんそんなに変わらない構成、演出、たまゲー、企画、そんなにうまくならないし老眼になっていく課長。なんか全てが落ち着くのです。たまに出てくれるタニーが好きだし歴代ADみんな好き。阿部さんも好き。

いつまでも続いてほしい。だからDVD-BOXを遅ればせながら集めるぞ。

 

ゲームセンターCX DVD-BOX 3

ゲームセンターCX DVD-BOX 3

  • 発売日: 2006/12/22
  • メディア: DVD
 

 次はこれ!!

マリオvs.ドンキーコング

マリオvs.ドンキーコング

  • 発売日: 2004/06/10
  • メディア: Video Game
 

 シリーズ全部持ってるけど初期のこれが一番シンプルで面白いです。あーでも原則20年だからまだ先か。逆転裁判が20年なのがもう…すごいことだと思う。未だに新鮮さがある、システム的にも。

21005 ローズマリー・サトクリフ「炎の戦士クーフリン/黄金の騎士フィン・マックール」

 クーフリンというかクー・フーリンが語られたアルスター神話群を現代でも読みやすく小説化したものです。作者のローズマリー・サトクリフはそういうのが上手な人というのは私も知っているくらい有名で信頼できる感じ?

太陽神ルグとアルスターの王女テビテラのあいだに生まれた英雄クーフリンの哀しい戦いの物語と、フィアンナ騎士団の英雄で、未来を見通し病人を癒やす不思議な力を持つフィン・マックールの物語。エリンと呼ばれた古アイルランドで活躍した美しく逞しい騎士たちを、神々や妖精が息づく世界のなかで鮮やかに描く。サトクリフ神話英雄譚の傑作2作を1冊にまとめる。

とはいえ、私にとってくらいクー・フーリンといえばゲームのキャラクターのイメージが強く、まず女神転生の仲魔、ペルソナの美しい槍使いで知って、Fateの青い槍使いの兄貴は最近親しみを持った状態で。好意を持ったのはペルソナからだけどキャラクターとしての体温とか距離感の近さを感じたのはFateの兄貴ですよね。兄貴と切っても切れないのがスカサハとクイーン・メイヴでどちらもペルソナでもFateでもおなじみになるのですが、原典での関係性がわからないと特にFateは理解は薄くなってしまうので気になっていました。だからこの本をFGOをやるまえから買っていたんですが、最近になって気になって本棚から引っ張り出した次第。

 

フィン・マックールはFGOではQ垢*1にしかいないからそこまで親しみがない。FGOをやっていてイメージが出来たとしたら、「鮭」と「フィオナ騎士団」とか。声が三木眞一郎さんとか。部下が超イケメン(ディルムッド・オディナ)とか。

 

クー・フーリンに関してはゲームから関心を持ってウィキペディアとかでも調べたけどね。ペルソナ4で塔のアルカナですごく強かったんですよね。合体したらヨシツネになるんやったっけ。でもスカサハに弟子入りしたくだりくらいしか知らず、どの程度メイヴちゃんと確執があったのかわかんなかったのですよ。

 

一通り読むと強さの誇張などはなるほど神話ですが、作者の力量によって史実かもしれないと思いこむほどリアリティがあるようにも感じました。魔法や怪物も出てくるし、牛もやたら知恵があったり異常なほど凶暴だったりするけど。

 

良い牛がかなりの幅を占める財産であり、必要であれば牛を略奪するための大戦争も起こるような世界で、女性の首領が強烈だったりする、その一人がメイヴちゃんです。メイヴちゃんとFGOのイメージで見ると可愛くてヤバいけれど、この作中では7人の強い騎士の息子がいて、跡継ぎに美しい娘もいて、婿の台頭が気に食わない強くてヤバい烈女。ある確執がきっかけでクー・フーリンに執着するようになり、そのためもあって牛絡みの戦争が起こるけれども、対するアルスター陣営はみんなよわよわの呪いを受けてクー・フーリンが孤軍奮闘せざるを得なくなるという、ちょっと不条理な状況に陥って、最後あたりはどうにかしてクー・フーリンを殺そうって流れになります。物語がそうしたいからクー・フーリンは死ぬんやって。もっと活躍させて幸せにさせたれよと思うんだけど、時代と世界が英雄の生き様を語りたかったらこうなるという感じなんでしょうね。安穏なハッピーエンドなどないと。

 

エピソードの一つに、「二枚舌の」というしょーもない二つ名を持つ性格の悪い味方に英雄3人が翻弄されるくだりがあるのですが、平家物語にも似たような話があるんですよね。いかに噂とか他人の胡散臭い話を真に受けてしまうか、という、英雄や武士といえども信念がなく、愚かな部分もあるという展開なんですけど。

王様から信頼のない者の言葉を真に受けて周りの国にも迷惑を掛けるほどの騒ぎを起こした挙げ句にどうせアイツの言うことじゃん!ってさんざんひどいやらかしをしたうえで騒いだ張本人たちが笑い合うというひどいオチのうえに後々までこれが禍根を残すんですよね。このへんのひどさもなるほど神話ならではとか大きな流れの中でどうしようもできない出来事のひとつなんだろうなと思ったものでした。平家物語ではアホやろこいつらって思ったんですけど(たぶん実在人物ですよこっちは)

 

いろいろやるせないお話ではありましたが、神話における女性の扱い、立場というものについても考えさせられる部分もかなりありました。どの時代から女性が蔑ろにされてきたか、どんな倫理観を以て女性は扱われていたか。基本、女に手をかけないけど(クー・フーリンは特に)ほかの歴史上の習慣でも多く見られるけど捕らえたら奴隷にされます。

メイヴちゃんは女王で騎士たちを顎でこき使えるけれど、ちょいちょいお婿で女王と結婚したから権力を持てた王にバカにされがちで、それを凹ませるためにもクー・フーリンにつながる戦いを検討するんですよね。4000年前の神話から王族の姫は政略結婚の道具で結婚も父親の意向が影響していたようだし(クー・フーリンの母親はそういうものとは無縁で神族に拐かされるかどうかして神様と結婚しちゃったんだけど)スカサハは大勢の若者を弟子にするほどの勇猛な女性ではあるが、他所の勇猛な女性が配下を連れて略奪に来ることには煩わされるくだりがあり、決して無双ではない。スカサハがなぜそのくらい強いのか、どういう立ち位置なのかはいまいちわからなかったのと、他で読んだクー・フーリンへの予言はなく、関わりがそこまで掘り下げられていないのが残念。城塞へ続く道の長さと細さのイメージがスカサハスカディの氷の城の情景に似ている感じがしました(どこまでもFGO脳)バビロンも出てきて、メイヴちゃんが怪物の娘の異形の魔女を留学させていました。そういう関係性とか流通があったらしい。

 

ゲームと切り離して読んでも面白くてやるせない物語ではあるが、ゲームと切り離さなかったらなるほどクーちゃんがいつもわりと迷惑そうにメイヴちゃんと接しているのがわかる感じ。

でもこのイメージからいったらライダークー・フーリンがいてもいいかもね。戦車に乗ってるからね。

いつかそういう霊基が出るとするなら楽しみです。

フェルグス・マック・ロイも活躍するし、クー・フーリンといい関係性であったんですけど女好きとかそのへんはあまり語られてなかったな…

オルタニキも作中にオルタになるというくだりがあって、反転するのはFateの創作じゃないんやとびっくりしたのが一番の収穫かも。反転したら超怖い。あと額の光は家庭教師ヒットマンREBORN!みたいでした。

 

 2021/03/13

本のもう半分「黄金の騎士フィン・マックール」も読み終わりました。

こちらは3世紀の伝説が11世紀以降にまとまったものを下敷きにしているそうで、クー・フーリンの時代より200年後の話にしてはそのまま野蛮なところがありながらも群雄割拠で同じ土地で様々な問題が起こるより、エリン(古アイルランド)はわりとまとまっていて、ヴァイキングとの戦いのほうが目立っていて11世紀もヴァイキングに手こずっていたのではと思うのでそっちに向いていたのかな、と思ったり。

お話はこちらのほうがおとぎ話とか昔話がまとまったみたいなところがあり、登場人物の性格付けも読者の興味をそそるような特徴がいろいろ備わっていたのだけど、時々「この人だれだっけ」と、当たり前のようにいるけど実は初登場ではって感じの騎士もいたり。

それまで(クー・フーリンの時代も)活躍していたと思われていたのが実はポニーで、騎馬にむいた馬はここで初めて出てきたんですよという、読者というか私のイメージを覆す事実も描写され戸惑いつつ、結局フィン・マックールの物語というより、その配下のディルムッド・オディナ(ディアミッド・オダイナ)のほうが主役っぽかったね、という印象もありました。

でもこのディルムッド・オディナの物語も、一人の美しきメンヘラバカ女の情欲が引き金というのがサイテーで、神話と称されるものってたまにこういうバカ女のせいで平和が乱されるよねって読んでいる私もどんどんフレーメン反応を起こすことに。グラーニアがあまりにもひどい。あまりにもひどいから、一通りの物語を終えたら周りの仲間の騎士たちも冷淡な気持ちになる描写があってそれがなかったら私はこの本をどこかに投げたかったかもだ。渦中の人たちは主役だからまあそれでいいでしょうよ、巻き込まれた騎士たちはアホくさいわね、その辺が実に人間臭くてその辺りは好きです。

でもフィンの一生を描く大河ドラマだと思って読むと、フィンってそこまで魅力を感じないから読み終わって「やれやれ」って気持ちのほうが強かったので、物語としてはクー・フーリンのほうが楽しめます。叡智を授ける鮭を食べているから油がついた親指を加えるとすべてを知ることができるという特性も、都合の良いところでしか使わないからタイミング遅!ってツッコミいれることもしばしばでした。その鮭私が食べたいわ(鮭大好き)

FGOで出会ったときに親しみがこもるかと思ったのですが、結局今まで通りフィンは普通に流してディルムッド・オディナはちょっと心が浮き立つんだろうな、って気分です。私の好みの問題ですね。でもディルムッド・オディナもバカ女の美しさに籠絡された時点で男を下げたなーって思ってます。残念。やっぱりクーちゃんがいいわ。

 

*1:と呼んでいる3つ目の垢

「勝手にふるえてろ」(映画)わりとネタバレ

 な ん で 見 た

勝手にふるえてろ

勝手にふるえてろ

  • 発売日: 2018/05/06
  • メディア: Prime Video
 

24年間恋愛経験ゼロのOLヨシカは、日々、中学時代に片思いをしていた一宮(イチ)との「脳内恋愛」を楽しんでいた。

ある日、ヨシカは同期の霧島(二)からの告白を受ける。

生まれて初めて男性から告白されたことに歓喜するヨシカだったが、イチへの思いと、特に好意を持っているわけではない二との間で心が揺れる。

そんな時、とある事件をきっかけに、イチと再会したいとの思いが募ったヨシカは、同窓会を計画するのだが…。

冒頭から途中で明かされる秘密に気づいてしまっていたので痛いものを見る目でずっと見ていました。だから金曜日に見始めて途中で心が折れてさっき途中から最後まで見終わりました。

 

フランス映画の「アメリ」っぽい、世の中とうまく付き合えない自意識高めの女の子(でもアメリと違って気位というかプライドが高い)が現実に傷ついていくさまは、創作なのに「まあこうなりますよね」と感じるものでした。冒頭から一方的に喋って相手のことには全然興味がないところとか私も胸に覚えがあって…でも私だったら、好きな人に名前を覚えてもらえていなかったら「覚えてもらう努力してなかったからな」って自戒するとは思う…ここまで自己中で自意識高くて自己評価高くはいられない。私は自己肯定感は高いけど自己評価が高いわけじゃないから…って自分を振り返ったり。実は「アメリ」を見た父が「おまえにそっくりな子が出る映画を見た」とDVDをくれたくらいキャラかぶってんねん、ああいう世の中とうまくいっていない変わった人。だから痛くてキツいわと終始思う中、日本人じゃない役を演じる趣里さんやフリーダ・カーロっぽいコンビニ店員がとても魅力的で確かに話しかけたくなる!って思いましたわ。趣里さんのバレエの振りがとてもエレガントでした。趣里さんは出演作を見れば見るほど好きになるなあ。

 

松岡茉優さんの演技が凄まじかったのですが、熱演すればするほど私には痛く感じる。でも面白かったのは確か。最後まで見ちゃったもん。結局北村くんはなんやねんと思ったけれどもな。マジレスすると、名前を覚えてもらってなくてもあれだけシンパシー感じる話ができるなら今からでもなんとでもなれるじゃろと。たぶん過去の彼が好きで過去の彼に好きになってもらいたかったというか好かれていたことを確信したかったんだろうな。だから現在の彼がいまどうしてるかとか興味なくて訊いてない。だいたい他人に興味がない。興味を持っても近づく勇気がない。自分が彼らと釣り合うほど魅力がないとわかってる。気位は高いけどやっぱり自己評価は低い。そういう主人公の言葉には終盤までされないさまざまな描写から読み取れるのがすごい。たぶん原作もそうなんだろうな。

一番心にフィットしたのは、終盤のブチキレたころに叫ぶFワードですね。私も最近やたら腹の中で叫びがち。

 

世の中とうまく行っていないちょっと変わった人とはシンクロしがちだけどこの人とは私はちがう、ちがうと思いたがりました。たぶんちょっと近いんでしょう。

なんで見たんだろうなあ。北村匠海くんが見たかったのかなあ。あと、来月「私をくいとめて」(同じ監督、同じ原作者、主演がのんちゃんと林遣都さん!!!)が配信開始ですぐにアマゾンプライムで見放題になるから、先に見ておいてよかったのかな。

松岡茉優さんでも肌にシミがあるとかどうでもいい部分にまで注目してしまったな…

ブコメとジャケットにあるけど、私にはちっとも笑えなかった。

 

 

アメリ(字幕版)

アメリ(字幕版)

  • 発売日: 2018/12/14
  • メディア: Prime Video
 

 

「恋のゴールドメダル」(ドラマ)

「まぶしくて」のナム・ジュヒョクさんが演じる役がかなり悲惨だったので、キラキラで魅力満載の予感しかしないこちらで私の元気を回復したい。 

 ヒロインは「恋はチーズ・イン・ザ・トラップ」でとんでもねーブチキレ女、イナを演じた人ですね。拗ね顔が特徴的で可愛いのでヒロインでいるのを見たかったところもありました。一緒にいたシーンはそんなにないけれど「恋はチーズ・イン・ザ・トラップ」でも共演しているんですね。公開年が同じなのでどっちが先かはわかんないけど。

1話

重量挙げ選手の女の子と水泳の選手の男の子という組み合わせで間に入るのが新体操部という、ギャップ狙いで新体操部の面々がイケズという構図はスルーしたいところですが(重量挙げにモテないイメージをもちたくないでしょ、素敵なのに)ギャップが有りつつも新体操部たちは根性が悪いのが目立つのでイーブンかな。それより変態を疑われたジュニョン(ナム・ジュヒョクさん)を証拠もないしそういう奴じゃないと大人たちから信用されたのは好感触。闇雲に疑わないところとか。

ボクジュのお父さんも「恋はチーズ・イン・ザ・トラップ」でヒロインの父を演じ、「ネイル・カンタービレ」でも峰くんのお父さん役の人。この作品と共通して、飲食店の主人という…どういうキャスティングだろう、時期的にも若干かぶっているぞ。

ボクジュの部活仲間に「梨泰院クラス」のマ・ヒョニさんを演じた人もいて、髪の色はちがうけど髪型も同じなのですぐに分かりました。

にぎやかで食べ物が美味しそうで、主役二人は可愛いし(問題を抱えてそうだけど)私が見たかったのはこの路線だよ!とホッとしております。

 

2話

登場人物みんな性格がいい。元彼女は、いかにも未練ありありだけどいい女だから別れて後悔してるでしょ?って感じを見せていて多少アレですが、ボクジュ相手には意地悪小学生ぶりを発揮して目がキラキラしてるジュニョンが彼女を前にすると急に大学生に戻って目の輝きを失うのが面白いです。目の演技が本当にわかりやすくてうまいなー。あと1話のときに書けばよかったですがいい体してますよね!!!!

この回にはカメオ出演でイ・ジョンソクさんが出演されていて、「W」の時のご縁だそうなのでカン・チョル役の状態で登場(よく名前を覚えていたな)、ボクジュの叔父さんがWのときはヒロインの同僚のお医者さんだったので絡んでますが、面白いやり取りが見られました。ちなみに「あなたが眠っている間に」では叔父さんは実の弟妹を保険金目当てに狙う殺人犯で作中でイ・ジョンソクさんにぶん殴られたり蹴られたりしましたよね。それを知っていると本当に楽しかったです。

予算不足による食べ物の問題が生じていますが、それにしても美味しそうに食べること。サムギョプサル、豚カルビ、冷麺、唐揚げ、全部食べたい…あんなの消え物でたくさん用意される中でもぐもぐ食べているけどあの細い体をキープしてるからボクジュの中の人大変だっただろうなあ。

なんてことを思いながらも、ボクジュもジュニョンも可愛いと思ったところで次回に続く。

 

3話4話

ボクジュの可愛らしい初恋は金策も可愛く、家族の人の気遣いも可愛い。クラブの顧問の先生もすごくいい人なのよね。金八先生みたい。

4話で出てきた(それまでいたっけ)4年生男子に「恋はチーズインザトラップ」にも出ていて強烈な印象を残した肉の先輩がまた似たような衣装で登場しています。前も自己中で僻みっぽかったけど今回もそう。あまりに嫌ったらしいからうまいんだなあと思っていたんですけど、つい最近お亡くなりになったんですよね。あの作中ではイナにひどい目に遭わされていたけどこちらではそこまで接触のない先輩後輩の仲、という感じ。それより主将役がいくつまで学生役なんだとびっくりする(肉の先輩もそうだけど)、「ロマンスは別冊付録」で元夫とかいままでいろいろ見かけていた人です。

お話の方は下心があるとはいえせっかくダイエット専門医にかかってダイエットすることになったのに階級を上げる(つまり太る)方向へ調整させられそうだし、初恋の相手は幼馴染でちょっかいかけてきて面倒くさいジュニョンの義理の兄だしで前途多難なのであった。おもしろい。とっとと見たいのに最近字幕見るほど集中するのが難しいくらいちょっと忙しい。

 

5話6話

ジュニョンとボクジュが不器用ながらも元は幼馴染の関係だけに徐々に仲直りしていっているのがいい感じだけど、それをよく思わない元カノがなー。ジュニョンに執着するのは自分の現状がうまく行っていないせいもある気がする。もともと別れたのも自分がうまく行っていないからって理由だから、ジュニョンを振り回して気を紛らわせようとしている感じで、彼を思いやっているようで構ってちゃんくさくもあり。ちょいウザと思いながらもだ。

ジュニョンはボクジュの初恋をいろいろ良心の呵責もあって応援しているけれどちょいちょい惹かれていっている感じがするのが可愛い。6話クライマックスで元カノがボクジュのダイエット外来のことを密告したためにボクジュが父と監督コーチたちに囲まれ窮地に。

誰のためにスポーツしているのかって、今どき問題視されることが頭をかすめるね。

競技にするから盛り上がるのかもしれないけれど、盛り上がりたいのは本人じゃない感じもするのよね。このドラマはどうかよくわからんけど。

 

7話

大人がスポーツ選手の意思確認をちゃんとせずに無理を強いるのがひどい。暴力も辞さないとかいまどきあり得ないっしょ。

と、ドン引きしながらも友情と親子の愛情と師弟愛はまあまあ分かる部分も多い。後者は重たいけどな。体重も重要な競技というのも変な話だなーと、スポーツに興味がない私には疑問だらけ。彼らはそれを当たり前のようにやっているけれど、本当になんのためにやってるんだろ。

そんな物語に重要な部分かどうかわからないところに首を傾げながらも、ジュニョンはボクジュが心配であれこれ行動を起こし、完徹で肉で慰め(羨ましい)、ダイエット外来がバレたのは元カノのせいと気づくとマジギレするんだけどこのときの元カノの言い草がまた自己中でさー、拗ねた元カノが部屋に戻ってからボクジュにやらかすあれこれも自己中でさー。嫉妬している間はどんどんブスに見えるのがすごいわと。

あまりにすごいから書かずにおられなかった。

 

8話9話

とうとう兄にボクジュの嘘がバレるのだけど、バレるまでのジュニョンの頑張りがすごかった。が、バレたあとの兄と保健の先生のコンプラ違反とデリカシーの無さに私がへこむ。ボクジュが可哀想っすわ。知り合いとはいえ患者の情報を漏洩する兄、勘違いしているとはいえボクジュのテンション低い態度を気にせず踏み込んでいらんことを言う保険医。あかん。

兄の良かれと思った激励も重量挙げがどれだけ年頃の娘さんにとって厄介なものか、開き直ってしまえばいいんだろうけど非常にセンシティブな部分だなというのがこれまでの積み重ねから明らかに。

シホの実家の家庭不和やボクジュの先輩の家庭の事情が今後どんなふうに絡んでくるのかわからないけどいまのところずーっと株を上げているのはジュニョンであるな。主人公が当て馬枠っぽいポジションに居るの面白い。

 

10話

スポーツ以外のことで私があーだこーだいいたい部分は全部ジュニョンが言ってくれたのでよかった。兄の優しすぎるところとボクジュが重量挙げを恥じること。ちゃんとそこをフォローしてくれるのありがたい。チェコーチは良くも悪くも今どき珍しい熱血な先生なんだなと理解した。増量できないボクジュをパワハラじみた怒り方をしたり、主将の示談金のために私的流用するとか。それが最善とは言えないけど憎めない人なのはわかりました。

 

11話

ジュニョンのそれとないアプローチからの噛ませ犬が現れての猛アプローチでキャッキャ言うていたんですけど、ジスくんがたぶんカメオ出演していて、ジスくんとナム・ジュヒョクさんは時代劇で兄弟を演じられていたからその辺で絡みがあって楽しかったです。「自分に似てる」とか。

ジュニョンに告られて真っ赤になるボクジュが可愛くて私は終始ニコニコしておりました。が、幽霊騒ぎがいろいろやられている元カノ先輩だとわかっておわり。この先輩なー…

 

12話

ジュニョンがいい子ではあるけれど、カップルができあがるよりボクジュ父の愛情が沁みるぜ…

まだ物語が終盤にもなってないのであらゆるカップル(多い)と噛ませ犬がごたごたしておりますね。ジュニョンが幸せなら私はどうでもいいです。本当にかわいいしいい子。