夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

ソボク (映画)ネタバレ

本当は劇場に見に行きたかったけどなあ

余命宣告を受けた元情報局エージェント・ギホンの元に当時の上司アン部長が現れ、国家機密に関わる任務を強制する。その任務とは、人類初のクローン人間、ソボクをテロから守り、護送するというものだった。体内で作られるiPS細胞ですべての疾患を治療できるため、人類が死を免れる唯一の技術だとされるソボクを、自らの病の治療と引き換えに護送を決める。だが、真の狙いはソボクの救出ではなく殺害だったことを知る。命を狙われることになったソボクのため、ギホンは研究所に戻ろうとするが、道中で突如吐血したソボクを案じ研究所に連絡したギホンが知らされたのは、一刻も早く細胞分裂抑制剤を打たなければソボクが死ぬという事実だった。自分の病気のためにも早くソボクを連れ戻そうと焦るギホンだが、発作で倒れてしまう。ギホンはソボクに過去のトラウマを告白し、泣き崩れる。そんなギホンをソボクは“兄”として受け入れるのだった。

Amazonのあらすじがかなり深いところまでネタバレしているけれど、アン部長が何を考えているのかには触れてないな…

かなり暗いトーンで展開するし大好きなボゴムさんが血まみれ吐血しまくるので見る方の勇気が試される(のは繊細さんだよね!)、話の規模が大きいのか小さいのかイマイチわからないながらもどっしりとしたSFかつ人間ドラマでありました。

 

アン部長がなぜあそこまで本気で敵対するのか、ソボクを殺そうとするのかがいまいち希薄な以外は上質。ただアメリカ人に人類の危機みたいなことを話されて奮い立つほど使命感が強い人とは思えず、100%お金のためなら納得がいくけどお金のためだったらあんなに奮起せんわね。研究機関の会長への意地?みたいなものはありそうだけど遠隔で交わされる会話が内輪もめみたいで、国家とか大企業とかをネタにしながらも規模が狭く感じる。

終盤でブチ切れたアン部長が軽戦車でブッパしてるシーンはヤケクソ感が強くて緊迫感が台無しというか、せっかくボゴムさんがマジで超能力使えそうなくらい気迫のある演技をしているのに笑ってしまうわよ。演者が悪いんじゃなくて、動機づけがあんまり上手じゃなかったとしか言いようがない。単にラスボスが作りたかっただけというか。演者は「トッケビ」でいいキャラでしたよね。

 

というところ以外の、ソボクがギホンと距離を縮めていくところ、要所要所で語られていく二人の過去と思いの構成は見事で、ドジョウ?のお店と洋服のお店のくだりとラーメン食べすぎのくだりという、ごくわずかのくすぐりと美しい景色の中のふたりという殆どない「緩」で見せるふたりの対話や「急」の中での対話によって「兄さん」と呼ぶようになっていくのは強引ではなかったです。

韓国の人たちの価値観で他人の目上の人を「兄さん」と呼ぶのは割と特別なことらしいと韓国ドラマを見ていたらわかるのですが、日本の文化で育ってると「ギホンさんでええやんけ」って思わなくもないですよね。でもそこを「兄さん」と呼ぶようになることに意味がある。

 

そこから選んだ結末がそれしかなかったのが切ないわね。

 

でもさー、ボゴムさんが演じる役が死ぬのは私がつらい。死ぬとわかってる映画はあえて見てなかったり。あの亡くなり方では亡骸を活用されそうとかチラッとおもったり。あるか、「ソボク2」

ボゴムさんの泣き顔をよく見るけどその役その役に応じた泣き方をするからどれをとっても同じじゃないのよね。振られて自分の立場、境遇を恨みながら悔しくて相手が恋しくて泣く顔、振られて寂しくて泣く顔、自分の存在理由を憂えて泣く(さて、それぞれどの役でしょーか!?)。

 

コン・ユさんもなんか死にそうなのに強いという役が上手でさすが剣が体にぶっ刺さったまま死にそうで死なない演技をしてただけあるわと胸を打たれました。あと顔が小さい(いつも言ってる)

 

かなり見ていて痛いのでまた見るかどうかはわかんないけど、血まみれになるときもあるけどボゴムさんが目の保養になるので(わざわざ髪型を変えた理由がわからん。実験体として活用される時が来たみたいな感じを演出してるんだろうけど、サービス?)見たい気もする。宣材にもなっていたけどドジョウの前でしゃがむソボクの無垢さよ。アラサーであの無垢さを表現できるのなかなかないよ!?

あと劇中でお婿とキャッキャ言うたんですが(お婿はパク・ボゴムさんの大ファン)自分の元になった子どものお墓(納骨堂)の写真がボゴムさんの子供時代の写真でしたね。可愛かったなー

 

作風がそういうふうにあまり騒いではいかんと思わせるのですが、それでも何度も「可愛い」って思っちゃったなー。顔の造形が美しいけど無垢な役だから可愛さが勝つ。

でももしかしたら、タイトルを見て思い出すのは軽戦車でブッパしているアン部長かもしれん。体が細いから余計インパクトありました。

 

特に主役2人に興味がなくても面白いと思いますよー。

そういえばボゴムさんもう1本映画を撮ってるはずでネトフリで公開されるって話だったのにまだなのかな…大好きな俳優さんがいっぱい出るので気になってるやつ。

FGOぐだぐだ龍馬危機一髪面白かった

イベで泣いたの久しぶり!

最近忙しくてFGOのイベに参加する時間は「捻出してる」って感じで、ハロウィンイベはせっかくいろいろチャンスがあったのにメカエリちゃんなどもともと足りてなかったのに補完に至らず。あれだけ手をつくされていたから復刻ないかなー…

水着イベはなんとかこなしたんですよ。でも2部6章はまだ後半で止まっているのでなんとか早めにクリアしたいところ。

そんななか、絶対ぐだぐだは復刻も含めて頑張るぞい!と気合を入れていたところで邪馬台国が復刻。ストーリーはクリアしたのですが、高床式倉庫は道半ば、しかもサブ垢は景品もらい忘れてまうという、頑張ったのに呆れる結末。シナリオが面白かったからいいですけど。

そして現在のぐだぐだ龍馬危機一髪はぐだぐだイベでも白眉のシナリオで毎回続きが気になる展開で、さっき「時間を捻出して」ようやく最終話をクリア、終盤はうるうるしておりました。

幕末物をちょっとかじっていたら(主に大河ドラマの「龍馬伝」とか)武市瑞山と以蔵さんと龍馬のやり取りで泣けるし、龍馬さんとお竜さんとのやりとりもいい。FGOではお竜さんが何故か巨大ヘビの化身として登場するんだけどその設定が今回大きな意味を持っていて、ここまでの大ネタを抱えておいて3年別のイベントをやっていたのかぐだぐだは!と驚愕。間にファイナル本能寺とか邪馬台国とかあったもんね。この分だと蘭丸Xのネタもしばらく寝かせておいてなにかやるのかもしれない。蘭丸Xのキャラデザがすごく好きで。最終再臨のイラスト最高ですよね。声もどこかで聞いた声だけど可愛い。

 

槍龍馬さんの宝具演出で鉾をお竜さんの頭にぶっ刺す(ように見える)のは見るたびにちょっと笑ってまう。セリフの変化とかいいですよね。配布龍馬さんの差分に泣いてるところがあるのを初めて知ってびっくりしました。あんな差分を3年寝かしていたのか…他のキャラでも出てない差分とかあるのかなー

 

FGOなりの設定を活かして幕末にあったあれやこれやを心温まる?同窓会にしたのはすごい。特に以蔵さんが本来は護る剣だったと言われたところで今までドラマで見た佐藤健さん演じる以蔵さんとか反町隆史さん演じる以蔵さんとか思い出してぐっときました。人斬りとして泥沼にハマって捕まり、拷問の果に自白させられて処刑されたのずっと忘れられなかったなあ。事実はどうか知らんけど。

 

ここから先はFGOイベらしいおまけ要素があるので100コンプまでがんばります。

そういえば前もぐだぐだは大変だったのも含めてブログに書いたな…ノッブの数をこなすの大変だったんだわ。今回は量も多めに出るのでさくさく倒していきます。本当、1waveに6体出るようになってよかったよ…全体宝具がキマると気持ちいい。

「彼女の私生活」(韓国ドラマ) ネタバレあり

また趣味を疑う配色のジャケットですことー(でもだんだん慣れてきた)

彼女の私生活 DVD-BOX1

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  • パク・ミニョン
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ソン・ドクミ(パク・ミニョン)は仕事中毒と言われるほど仕事を完璧にこなす、美術館の主席学芸員
しかし、プライベートでは熱狂的なアイドルオタクで、仕事を終えるとカメラ片手にオタク活動に励んでいた。
そんなある日、美術館館長であるオム・ソヘ(キム・ソニョン)の裏金問題が発覚し、美術館には新しい館長の就任が決まる。
その新館長こそ、海外のオークション会場で競合相手として最悪な出会い方をしたライアン・ゴールド(キム・ジェウク)だった!
一方、新館長になったライアンは、意見が合わないドクミに解雇を言い渡す。
しかし、ドクミがいなくなった美術館は、仕事が回らずミスが多発する。
苦渋の決断の末、ドクミに戻ってくるよう説得に行くライアンだが…。

ちょっとあらすじの後半が端折りすぎな気もする。誤解があっての解雇だからな。

本当は全部見終わってから感想を、と思っていたんだけど思いの外キュン案件だったのでなにか書かずにおられず。パク・ミニョンさんのコメディエンヌぶりが可愛く、キム・ジェウクさんが一挙手一投足見逃せないほど美しいので(女装も美しい)ありえねーハプニング等で二人がそんな気なくても起こってしまうあれやこれやで見ていてニヤニヤがとまりませんの!

 

やはりラブコメは心にいい。バタバタしてしんどかったのが一気に吹っ飛びました。

 

パク・ミニョンさん演じるソン・ドクミがドルヲタでも覆面でインフルエンサーとして幅を利かせていて、向こうのドルヲタって自分が撮ったアイドルの画像を会員制SNS(オンラインサロンみたいなの?)で公開できるのか、そこで存在感を発揮してるらしい。アイドル本人からもありがたがられているとか。んな馬鹿な、と日本に住んでいろんなファン活動の酸いも甘いも傍観している私は思うのだけど。日本だったら訴えられるし同じファンからめちゃくちゃ圧を受けるんじゃない。足を引っ張り合うの好きだもんね。

ただし「ヤラカシ」とか日本でも見る存在もいて、かなり悪質でストーカーのような描かれ方をされています。ドラマの脚色だろうけどやることが犯罪もいいとこ。

まあそれが過剰でもない気もするし、いい大人がドルヲタ活動することが白い目で見られるというのも、環境によってはあり得るかもしれないので、わりと現実的かもしれないね。特に上司がドルヲタを毛嫌いしていたらとかいろいろ条件が重なってるしな

まーなにより、お相手の館長、ライアン・ゴールドがクールなようで素直で誠実で性格がいいのよね!!わりと天然でドクミと親友の関係を秘めたレズビアンと勘違いして誠実に尊重しようとするところもよし。芸術家で秘めたゲイにもまっとうな対応をするのもよし。アライさんだ!と惚れ惚れする上に、中の人がめっちゃ色っぽいのでもう大変。

 

徐々にお互い惹かれていっているのがそこかしこで匂わせているのですが、それが二人の表情やアイテムなどの演出なのも良いです。わかるの見てる人だけ!

5話のラストでライアンがドクミの秘密に気づいたシーンが面白くて、確信を得るために仕掛けを行ったときちょっと悪い顔をするんだけど6話の冒頭で朝出くわしたときにドクミの笑顔が可愛いからついとろけるほど微笑んでまうライアンがかなり好きです。たまらん!って仕草してましたよね!ライアンちょいちょい人として可愛い。めちゃめちゃ美男なのに。

 

敵ポジションの元館長が性根は悪いけどやることおバカでちょっと憎めないのを、私が大好きな女優さんが演じていてそこも注目。出るたびに嬉しい。パワハラババアなのに。

 

あと10話あるのにそれよりもっと見ていたい気持ちになっているんですが、どうなるんですかね。ひさびさに私、韓国ドラマでワクワクしております。もっと見たいっすね、韓国ドラマ。

 

共感性羞恥がかなりひどくてキャーキャー言いながら6話の終わりまで見てぶっ倒れそうになったのだけど、7話の出だしで理由がわかって「ちぇっ」とか言ってる私のツイート↓

 

7話を数時間かけて見終わりました。共感性羞恥がひどくて、悲鳴を上げたり布団の隙間から見ながらしんどくなると一時停止してる…付き合うお婿は「ホラー映画を見ている人みたいにラブコメを見る」と笑っていますが。

今日のつぶやきはスレ化しているのですがダイジェスト?だけ。

キム・ジェウクさんは思った以上に逸材ですね!!!

8話、7話の終わりで自分の気持ちをはっきり自覚したドクミに対して明言はないものの目や表情や態度がめっちゃ好意であふれてる館長という、視聴者と噛ませ犬たちにしかわからんやつが繰り出され、私は呼吸困難ですよ

7話の終わりから8話の始めにかけてがとんでもねー妄想だったのが「ですよね」とも思うけど演者さんはそんな妄想に付き合ってちゃんと演技しているからあれやこれやをやってるんですよ!

ドクミへの好意がだだ漏れのライアンがキラキラしているあまりにわしのつぶやきの知能指数の低さも絶好調ですよ。

8話の終わりで一旦振られたライアン館長、ここからどう動くか。

はー、たまらん。ラブコメよ今夜もありがとう。

2021/11/28

すごく時間をかけて9話を見終わりました。

気持ちの上げ下げが多くて大変だったけどひとまず良かったし大人の恋愛って感じでいいですなあ。

ドクミの中のラテのイメージがオバちゃんなのが可笑しかった。ライアンいつまで黙ってるんだろ??オタクでも全然応援できる、好きという人ってそんなに少ないのかな。うちのお婿は一緒に楽しんでくれるけど確かに元カレたちは私のそういうところに興味がなかった。が、否定もしなかった。知り合いの知り合いの話で、夫がアイドルの某氏を嫌って妻にファンをやめろと迫ったのでファンを辞めますってエピソードがあって、他人事ながらなんだか腹がたったもんだった。好きの気持ちまで干渉すんなっての。

そういうことを思い出しながらも、今日もキャッキャ云うております。1話に何時間かけとんじゃ。

10話のライアンは幸せそうでずっと見ていたいな。ずっと可愛かった。ドクミも可愛いのよね、パク・ミニョンさんはちょっとした表情の変化がすごくうまい。

10話はずっとめろっめろに甘いので、糖度の高い関係性を見たかったらこの回だな、これからは知らんけど、そこまで悲しいことはなさそう

 

わりと急展開でライアンの過去の方へ迫っていきますが、主人公二人の過去や関係性がパク・ミニョンさんの他のドラマの「キム秘書はいったいなぜ?」にちょっと似てる。相手役のキャラクターに大きな違いがあるけど、トラウマ持ち、お金持ってる、過去に出会ってる、過去の救済、そして付き合いだしたらめっちゃいちゃいちゃしてる。でもそこがいいんだよ!!!てんこ盛りで!!あとどちらも嫌な展開にならないのもいいな。そしてちゃんと仕事してる。

周りのキャラクターも魅力があるしな。シンディがおバカなストーカーで終わらなくて本当に良かった。すごく可愛くて魅力がある。

 

16話まで見終わりました。

随所にもう砂どころじゃなくて魂抜けるほどあまーい展開あり、大人の二人だから大人のイチャイチャもあり、ライアンの過去とドクミの過去の切ないエピソードもあり、でも二人が大人だから丸く収まるのが素晴らしい。

 

ライアンの性格がかなり良いんですね。韓国ドラマに出てくるキャラクターって人の手本になりそうな造形をしている主人公とかちょいちょいいるけど今回もそう。親が愛情かけて丁寧に育てた子どもがそのまま大きくなった感じの人。見ていて安心するし、窮地に追い込まれたらまっさきに応援したくなる。

ドクミも性格がいいけどちょっと気が強いしはっきりものを言う。そこが魅力。

この作品は暗い過去があるかもしれないけど全員傾向として陽キャで良かったなー

 

ウンギとダインがくっつかなかったのもいいですね。良い友達で終わる関係で。振られた者同士とか嫌だもの。

まーライアンの中の人が歯の浮くようなセリフが綺麗に似合うし、言ってもおかしくない雰囲気をしていて、ずっとドキドキとワクワクが止まりませんでした。

 

めずらしく「こんな夫がほしい」とつぶやいてしまいました。16話は見ながら洗濯物を干していたんですけどね。それを言うとお婿が一緒に洗濯物を干していたんですけど、ニコニコしながら「俺じゃだめか」っていうので「私にはもったいないですよ」とは言っておきました。

そうか、ライアンはアメリカ育ちだから言うことが直球なのか。

お婿もラテン系の人に囲まれて育ったので割と直球のことを言うけれど、共感性羞恥は自分に言われるぶんはまったく恥ずかしくないので面白いなとこの度気づきました。他人が言われているのを見ると、ときめきが5倍くらい。隣の芝生は青く見えるのと似てるのかもしれない(ちがうか)

 

だから配偶者がいる人、彼氏で十分満足している人もにもやはりラブコメは心に良いのかも。推しと彼氏両方愛せるような感じ?ドクミもそうでしたね。

ドクミはドルヲタとしても美味しかったなー。私は「うたの☆プリンスさまっ」が大好きなので、そこで置き換えると羨ましい事態ですよ。

 

そこそこのスパイスはあるけど変な波風は立たず、事件も過剰にドラマチックではない。ドラマチックなのは主人公二人の関係性だけというのもよかった。じっくり堪能できました。キム・ジェウクさんもパク・ミニョンさんも見るに堪える美しさでさー。演技もうまいし、満足納得。脇役もみんな魅力的でした。

 

よし、もう1周しよう!

21019 モラヴィア「薔薇とハナムグリ」#光文社古典新訳文庫 #KindlePaperwhite

お風呂で短めの小説を読むのにKindle Paperwhiteは良いということを再認識して活用中。

昨日でアガサ・クリスティの「火曜クラブ」を読み終わったので次は何読もーって選んだ結果がこちら。

官能的な寓話「薔薇とハナムグリ」、眠り続けるモグラの怪物の夢に操られる島民の混乱を描く「夢に生きる島」。ほかに「部屋に生えた木」「ワニ」「疫病」「蛸の言い分」など、シュールで風刺のきいた世界が堪能できる20世紀を代表する作家モラヴィアの傑作短篇15作。「読まねば恥辱」級の面白さ!

「部屋に生えた木」

 おとぎ話のような、ヨーロッパの映画を見ているような、変なところで反りが合わないカップルの話。関係性や展開が何を表現したいのかいろいろ考察したくなる内容です。読書会向き。

 

「怠け者の夢」

 怠惰のありようが私にとってはちょっとうらやましいが、怠惰がすぎて人間関係がこじれてるのは「怠惰ってそんなもんですよ」と思わなくもない。楽しく読めたのですが、朝お風呂で読んで特に眠りたくもないのに睡眠欲マシマシ。睡眠テロやと思います。

 

「薔薇とハナムグリ

 暗喩に満ちた官能的な表現が美しく、想像力をかき立てられる。何も知らない状態で読んでほしい。性癖に関する懊悩や態度は切なく、こういったものは昔からついてまわっていたんでしょうね。表題作だけあってこれだけでもこの本は読む価値あり。

 

「パパーロ」

「部屋に生えた木」にちょっと似たところがありつつもこちらのほうがグロテスクでホラーR指定。「ここまで頑張ったんだから」というものに見切りをつける勇気について最近よく考えるのだけど、枢軸国のお国柄はそこの引き際が下手なのかもしれないと、この作品の主人公一家の性根が枢軸国のお国柄ゆえかどうかはわかんないながら思いました。

 

「清麗閣」

貴族と富裕層の美しい結婚式が催される場所が清麗閣という格式あるホテルなのだけど、新婦の母はもっと現代的で高級なホテルが良かったわあとかなるほど新婦の母らしいぼやきを繰り返し、彼女の視点で披露宴の模様が描写されるんだけど事態はだんだん私にとってメシウマな、とんでもねー展開に。

おぞましいけどこういうの好物なんですわー夢に出てきそうだけど面白かった。

 

「夢に生きる島」

異常論文系キターーーーーーー!!!

でかいモグラと王の娘の間にできた子どもが寝ながら統治する島の特異性について語られてます。すごく変な話で異常論文でもとりわけ好き!という感じではなかったけれど、でも謎の生態と影響を受ける国民たちの話は面白いんですよ。

 

「ワニ」

半沢直樹1期の社宅で頑張る上戸彩のような境遇の女性が夫の上司の妻に招待されてお呼ばれし、ぜひともパワーゾーンの薫陶を受けようと思っていたらとんでもねーシュールと言うか不条理な世界が地味に繰り広げられていて、こういうのコントでありそうと思ったのでした。

 

「疫病」

これも異常論文かな。めっちゃ臭くなる感染症について、罹患者と罹患者の周りの人の反応と研究者とキャリアについて、まず感染症についての説明から、罹患者に関する貴重な資料として一人の罹患者について語られる。コロナに置き換え可能なところもあっていま読むと興味深い。そういう単語は使われていないけれど、いまなら多くの人がわかる「集団免疫の獲得」についての説明もあり。これから読むにうってつけの題材で面白かったです。

 

「いまわのきわ」

評論家をやっている友人の今際の際の告白をショートショートで。人への影響について考えさせられるけど、誰かの助言やコントロールに惑わされないで自分の好きなことをするのがいいよね、と私は思いました。

 

このあたりで半分なんだけど、大好き!と思うよりすこし遠い距離で面白いと思っています。異常論文もあるけど、よだれが出るタイプではない(私は異常論文がよだれが出るほど好きな変態)

 

「ショーウィンドウのなかの幸せ」

これがいままでの作品の中で表題作と同じくらい好きかも。すべての人に読んでもらいたい気がする。もちろんお婿にも読んでもらうし、親友にもこの本をプレゼントするつもり。

 

「二つの宝」

世にも奇妙な物語」みたいな不気味で悪夢のような物語でした。若い女性と結婚する富裕層がちょいちょい出てくるけどやっぱり書き手の想像しやすいひどい目に合うおっさんのテンプレなのかな。設定や世界観の描写がしっかりしていて面白かったです。

 

「蛸の言い分」

釣られて食べられる直前の蛸が釣った人間に対して蛸としての生き様を語る話。信仰や信条について面白おかしく書いてるけれど、なにしろ食べられる直前なので悲哀もある。蛸の行き着いた答えが今の私の実生活でも思い当たるふしがあり(日本人の多くに思い当たるふしがあるでしょう)ちょっと考えちゃう。

 

「春物ラインナップ」

流行を追いたい若妻とそれを否定したい20歳年上の夫の対話なんだけど、これがぎょっとする内容で。知らない状態で読んでほしいからなにも書きたくないけど強烈な風刺作品です。面白いよ!

 

「月の”特派員”による初の地球からのリポート」

こちらはひどくて親しみやすい異常論文でした。非常に興味深いし、読ませたい政治家集団がいるかもだ。特に文化面の話。

 

「記念碑」

 対話形式の構成で主人公=作者と観光ガイドの二人のやりとりが表現されていて、旅先での一コマなんだけどどこで何を見ているかがポイント。信じているものやルールがいかに不完全で独善的かを考えてしまう。これは面白かったです。

 

 

まとめ

全15話読了。全体的に夢に見そうな展開の中に暗喩を感じるものがあり、シュールかつ風刺が効いていながら大変読みやすく、楽しいというより面白く読めました。ところどころ官能的なのもよい。

性的マイノリティにも言及されていて、とても「いま」という気になるけど変な宗教的な道徳の押しつけが横行するようになったころからこの問題はずっと潜んでいたんですよね。

 

異常論文って世界のどこに潜んでいるかわからないところもまた魅力で、こうやってたまたま見つけられたらラッキーですね。どこまで収集できるかな。

お風呂で読むのはうってつけで、1話読み終わったらちょうど温もっている感じです。

「シャン・チー テン・リングスの伝説」(映画)

Disny+で見られるから久々に見放題再開。トニー・レオンが出るというのでな…

 

シャン・チー(シム・リウ)は捨て去ったはずの過去と向き合い、危険なテン・リングスの組織を率いる彼の父親と対峙することとなる。

 

 シャン・チーが大人になってからはアメリカで倹しく暮らすアジア系の青年として振る舞っているので、めっちゃ王のブラックパンサーよりリアル。お話を説明していく構成に工夫があり、キャストも魅力的。

だけどアクションは大味でサンフランシスコで坂道を利用したカーアクションは面白いけどなんかどこかで見たことがある感じがつきまとい、事件が大きくなっても家族内のマッチポンプロード・オブ・ザ・リングサウロンの指輪みたいで、モチーフがそんなにおもんないしツッコミどころも多い。年に1回道が開くとかそんなんなくても行けてるじゃんとか、行きたいところへ導くのがペンダントなのもどこかで見たことがあるし。人数が多ければいいってもんじゃないけどアクションシーンが全部人数少なめだし、ブラックパンサーでも思ったけどよその民族文化を取り入れるとしっくりしない。ブラックパンサーでは先進すぎて、こっちでは旧時代くさすぎる。

ある年代より上だとこれが頭をよぎるシーンなかった?

 

そんな既視感をずーっと抱えつつも、トニー・レオンの佇まいや甘いマスクからは想像つかないようなアクションは長年好きなだけに嬉しいし、ミシェル・ヨー様もそこにいるだけで説得力があるし、シム・リウやオークワフィナ、妹役の人だって魅力的で彼らの好演で面白く見られるエンタメ作品になっていた…かなあ?ベン・キングズレーが面白かったけどもったいない使い方とも思う。すごく良かったけどな!子供の頃から知っている俳優さんだけど老けないなー!

 

しかしオチの付け方のからっとしたところ、チャラいところはアメリカに住むアジア系って感じがして好きです。妹の身の処し方もすごくいい。

わざわざ変な国で暴れなくてももっと面白い味付けできたんじゃないかなー

 

トニー・レオンのアクションに「この人本当にこういうことできるの?」って怪しむ人は「グランド・マスター」を見てほしい。あの独特の眼差し、物憂げな佇まい、素敵だなーと思うでしょ?オフで役が抜けるとふにゃふにゃになるのもまたいいのよ。すげー憑依型なのよ。

美女と大恋愛(半分くらい悲恋)が似合う俳優さんなんですよね。

 

続編をするつもりらしいけどもうちょっとキレのある作品になるといいな。予算ないの?って思うところがちょいちょいあった。

「エターナル」見るまではDisny+を加入し続けると思うのでこれからしばらくもとを取るためにいろいろ消化します。(この「もとをとる」というケチくさい発想よ…)

劇場版「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」やっと見た!(ふんわりネタバレ)

久々に円盤をレンタルしました。

冒頭の10分はYouTubeで見ていたのでわかってはいるのにやっぱり泣いちゃう。

というかこの作品は絶対私を泣かせに来るだろうとわかっていたので予めタオル、淹れたての美味しいコーヒー、胡蝶しのぶさんが描かれたブルボンのプチシリーズのチョコラングドシャを携えて人を駄目にするソファに座って見ました。が、家で見てるもんだからTwitterで実況はするという、もうサガと言いましょうかね。相席食堂のノブと大悟のように「ちょっと待てぇ!」ってツッコミを入れたくなるところもやっぱりあるんですよ、どれだけ感動作でもだ。

 

だってギルベルト少佐を想うヴァイオレットちゃんって、そばにギルベルト少佐がいない(下手したら死んでる)だけにもはや推しを推すオタクに見えるんだもん…

推しの母の墓前を訪ねるヴァイオレットちゃんなんて聖地巡礼しているように見えるし推しのグッズが貰えるとホイホイ船を尋ねるヴァイオレットちゃんの表情がもう推しに萌えてるように見えるし教え子相手に少佐の話を聞くヴァイオレットちゃんの表情も「あーこういう顔私もするわ」って思って見てた。

うちわにギルベルト少佐の肖像が描かれたものを持っていないだけっていうふうに見えなくもなかった。

 

ボロッボロに泣きながらそんなことをチラチラ考えるし、ボロッボロに泣きながらぶどう畑での兄弟のやり取りで「そんなに離れてるのにそんな調子で会話して声が聞こえるん…?」とか船を追いかける少佐の声が届いたのを見て「いや、エンジン音うるさくて絶対ありえへん」とか思っちゃう自分がちょっと嫌でした。どーーーしても、そういうことに気づいちゃう。

 

でもアニメシリーズの最初から見ているだけにようやくたどり着いた結末に心から祝福が送れるね。一旦ヴァイオレットちゃんを拒絶したギルベルト少佐の気持ちは推して知るべしってところがあるが、4年の間にヴァイオレットちゃんも立派な女性になってよかったね!!

 

4年前のデコ出し少佐もかっこよかったんだけど前髪がおりて遊ばせてる(ように見える)少佐が色っぽいのよな!首筋とかうなじのラインの描き方もとても魅力的でした。浪川大輔さんの少佐の演技はアニメシリーズの頃から好きで、日頃は(ペルソナ4の番長は素晴らしいけど)さほど惚れ込むほどではない程度に好感を持っているのですが、ギルベルト少佐は最高やな!ともはや私が萌えておりました。

大好きな中田譲治様がギルベルト少佐のお父さん役で出演するという話だったけどさすがの存在感でした。あれだけで十分かっけえ!

 

そして、お婿は横でずーーーーーっと泣いておりました。アンのママの手紙だけで駄目よねー。だから10話とかもう大変。川澄さんの声で「アン、」というセリフを聴くだけで泣ける。

 

アニメシリーズから劇場版に至るまでの間に京アニに起こったことを思うともうちょっと厳粛な気持ちになっちゃうけどそのへんはエンドロールで思い出したくらいで、お話に没頭してしまいました。それもまた、制作側もそのほうがいいと思ってくれるといいな。本当は忘れられないけどな。

 

ちょっとだけネタバレも踏んでいたし、だいたいの予想どおりの展開の中で大佐の態度の軟化が切なくも優しい気持ちにさせられたので予想通りだろうなーって思って見ないよりは見てよかったです。大佐にも幸あれ…あとホッジンズさんも。

 

見ている間のつぶやき↓(以下Twitterでスレッド化)

21016 21017 R.D.ウィングフィールド 「冬のフロスト」上下 ネタバレあり

大好きなくせにあと延ばしにして8年読んでなかったなんてな

寒風が肌を刺す1月、デントン署管内はさながら犯罪見本市と化していた。幼い少女が行方不明になり、売春婦が次々に殺され、ショットガン強盗にフーリガンの一団、“怪盗枕カヴァー”といった傍迷惑な輩が好き勝手に暴れる始末。われらが名物親爺フロスト警部は、とことん無能な部下に手を焼きつつ、人手不足の影響でまたも休みなしの活動を強いられる…。大人気警察小説第5弾。

 相変わらず起こる事件は凄惨ずくめで、プライドが高くて上に阿る上司からの圧という面倒と鼻っ柱の強い女性の相棒と無能な部下に手を焼く多忙の日々のフロスト警部の物語ですが、やっぱり面白い。なにが起こるかわからないというスリルもあり、フロストの立場がわりと常に中間管理職としてのピンチに塗れているのにどこかしら笑うに笑えないけど笑っちゃう展開もあり。

 自分史上初で、犯罪者の自供中にずっと笑っちゃうってこともありました。だって、フロストが「もう面倒だからこいつが犯人ならいいのに」って気分で半ばやけっぱちでお前が犯人なんだろ、って匂わせたら本当に自供しちゃったんだもの。こんな刑事ドラマ、コントでもなかなかないわ。

 女性の相棒や活躍する刑事、おまわりさんはわりと毎回出てくる(気がする)けれど今回は功名心が強いながら問題を抱え、署長からのいやな圧もかかってここからスカッとする展開にならないかしらと期待してる。署長マジで安定のクソ野郎ですわあ。でもその署長を凹ますような上には上がいるもので、警察の小汚い身内びいきも主人公のフロスト警部を救うならまあいいかと思ったり、フロスト警部が実はでかい勲章持ちなので、勲章持ちは不始末を起こしても守られがちという図式は最近どこかで見たなも思ったり。

 

面白いのでなるべく今日中に下巻も読み終わりたいです。

 

2021/11/14 20:12

下巻読了

面白いけど胸糞悪い事件ばかり、読みながらそういえばこのシリーズって終わりの数十ページで畳み掛けるように片付くんだったと思い出しました。

意外な犯人像が浮かび上がるわけだけど、まあ、事件が悲惨すぎて。読むのはメンタルがわりと丈夫なときのほうがいいですね。

ここ数年で世の中の意識が随分と変わり、署長のマレットのミソジニストぶりはこの時点でも唾棄すべき人柄として描かれていたけれど、フロストやポンコツすぎる部下のモーガンのさかりがついている様子も本能によるものだろうとはいえ、表現するとコンプラに引っかかるには十分のレベルになってしまいました。当時は許されていたかもしれないがいまは看過できない部分もあり、事件のモチーフ自体性的に搾取される女性たちがクローズアップされるのでフェミニストにはなかなかきつい作品と言えるでしょう。

 

下手したらこのシリーズはこんなに面白いのに埋もれていくかもしれない。

 

読んでいる最中、お腹が空いたので読書を一旦休んでご飯を用意している間にそう感じたのでした。

今回は今までより胸糞悪い署長のマレットがよく出て来てフロストに圧を与えるのがひどいように感じたり。「フロスト気質」のほうが追い詰め方がキツかったけど、こっちは出番が多かったから鬱陶しかったなあ。

 

次の巻で完結ですが、マレット滅びてくんねーかな

ミソジニストも自分の手柄のことばかり考えて部下の負担を考えないくそったれも嫌いなので、マレットへのヘイトだけがでかくなっていく感じでした。

ポンコツの部下に対して苛立ちながらも思いやりを持って接するフロストが健気だったなあ…