夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

「光る君へ」16話 「華の影」感想

今週もめちゃめちゃおもしろかったですね!そして一条天皇美しかったですね!!!

さわさんが道綱のおバカのせいでコンプレックスをたくさん刺激されて拗ねるんだけど、変なプライドがなくて僻みと怒りと悲しみをぶつけるところが素直で性格が悪くない、まひろが非オタに気遣うことなくうっかりオタクが推しと話していることでテンションが上ってしまったばかりに。

藤原道綱母にああやってファンがキャッキャ言うのはまひろに限った話しではなかっただろうからその中からおバカで可愛い息子がおいしくいただいたことがあったのかもしれないなーなんてしょーもないことを考えてしまう。せっかく楽しかった女の子同士の関係が水を差すのはお馬鹿さんで空気を読まないボンボンなのよ…でも道綱好きだけどな!!!

 

ところで、家にいるときの為時、無位無官だけどそんなに困ってなさそうというか、浮世離れしてるというか、高潔さがあるよねと思っていたら今回その持ち味がとんでもなく活かされることになりましたね。

とうとうまひろが執筆してる!

お、紫式部日記書いちゃう?ってワクワクしました。

和泉式部日記は持ってるけどこちらは持ってないので気になってまいりました。

 

994年

隆家せいじんのすがたが初登場。こちら、不祥事で代役を務めることになった竜星涼さんが演じていらっしゃるんだけど、そーいえばアンナチュラルの葬儀屋さんとクソがのふたりだ!!!アンナチュラルのときの謎めいて顔が小さい葬儀屋さんに惚れ込んだので嬉しい。

 

が!隆家、出たその瞬間からこいつ不遜というより自分以外を馬鹿に思っているような感じ悪いというか生意気なのが表情に出ていて目を奪われましたね。すごい表情。私、もともと演じるはずだった永山さんも好きな俳優さんだけど、彼はわりと汚れてない役のイメージがあったので、ここでこの役を演じていたら面白いことになっていたかもしれないので残念ではある。いやもう竜星涼さんがピッタリかも。兄が三浦翔平さんで弟が永山さんだったら顔立ちが濃いめで画面がうるさかったかもしれないしなー…ややあっさり目で細身で顔が小さいので収まりがいい。

そしてキョウリュウレッドとキョウリュウグリーンであるよ!!!

伊周隆家が不遜で傲慢で勘違い野郎くさい雰囲気を出しまくっているのに対比して従兄弟にあたる一条天皇はひたすらキラキラしていて妻大好きで美しくて…画面が華やぐよね

隆家の表情だけで視聴者の私のざわざわした気持ちを一気に払拭したあとにぶっこまれる行成の古今和歌集を見る美しい一条天皇

香炉峰のくだりを実写化してくれてありがたい。しかも完璧な配役と演技で。あのドヤ顔サマー少納言本当に私を高ぶらせてくれるわ…

伊周の直衣姿がどういうことかというのは、これまでの兼家、道隆で察することができるのも語り方がうまいよね。しかし、隆家(この時数えで16歳)急に出てきてその態度というかキャラ、これまでの短い間にどういう育ち方したんだ…

 

行成が帝に惚れ惚れするのはわかるけど、道長推しなのが公任と金田にもふつーに把握されているのびっくりした。でも道長気づいてないよね!?

公任の話し方、台詞回しが本当に好きなんですよね。この方も不遜ではあるけど、でも弁えているというか品がまだある感じがする。伊周は時々ボロが表情に現れるからなあ。目がガンギマリになる。

 

ここで更に驚いたのは、まだ道長が彰子様を入内させようとかまったく思っていないところ。倫子様もまったくそういう野望がない。自分もそういう縁談を嫌がったものね。

でも未来を知っている吾、ここからどうやって…と思いながらチラつく詮子様(兼家そっくり)。

 

中関白家VS詮子様の様子を見ちゃう道綱!怖いお母さんを見てると居心地が悪くて悲しいけどそんな表情も美しい一条天皇というシーン、隆家の態度の悪さと伊周のガンギマリの目にハラハラ、ちょっとイライラする中で道綱がここを見ていたことでついでに話しちゃう石山寺のことで100点満点の当て馬ムーブを見せてくれるので、道綱が道綱で良かったと思ったのでした。

 

ま ひ ろ !この言い方、半角空白がよく似合う!

あの道長の表情見た!?

 

ついぞ見かけぬいい女=まひろという評価にも驚いたんだけど(私的に作中で平安的に一番美しいのは倫子様でいい女、という表現が合う人はまだいないと思っている。まひろはいい女かもしれないけれど、まだ若いからなあ)話しちゃう相手が本当、フィクションサイコー!ってなるよね。

さわさんと間違うというドジを踏まなかったらどうなってたことやら…

自分の失敗談を陽気に語る道綱本当に可愛いよね!!!!今回は良くやった!

 

さわさんに文をガン無視されるの、まひろも前に道長にやってたからその気持ちわかっていそう。ちゃんと助言する乙丸はいい従者なんだよね。

そこからの美しい一条天皇と定子様の閨!というくだりで放火事件発生。

すっかりオトナな雰囲気の一条天皇と定子様(一条天皇14歳!)ですが、この放火事件ってカタがつくのかなあ。あの時代って何でも化け物のせいとか呪いのせいにしちゃうけど、それを詮子様(女院に敬称つけない)のせいと匂わせる隆家、叔母になにか意地悪されたん?道兼のように汚れ役の立ち位置に配されているわけでもないだろうになあ。

でも妬まれることはいいことってそれわかる!って思っちゃった。嫉妬されることはステイタスだものな。

光が強ければ影が濃くなるというセリフ、影が同じ方を向いてると話していた道兼を思い出しました。

 

美しい一条天皇は疫病で苦しむ民を憂い、寄り添おうとしているのは後々の子孫のお姿を思い起こされるなあ。それにしても美しいな…いちいち見とれてます。美しいばっかり言ってごめんなさい。

でもこの作中で一番美しいことになっているのは道長だと思いますよ。つまり倫子様と道長は顔面が強い。平安最強の顔面夫婦だと思っています。

初めての大河とは思えない佇まい、優しく聡明な表情から民を憂うより皇子を作れとやんわり言われたときのやや切り離された感じの差異がいい…何回も書くけど私、塩野瑛久さんがこの役を演じなかったらこの作品を見ていなかったので!!!噛み締めてるんですよ!

 

そして伊周が10代で内大臣に。親バカにもほどがある。出世させすぎやろ。兼家だってそこまではやらなかったぞ。不遜さもピークに極まり、実の叔母に向けたようなガンギマリの目を今度は叔父の道兼に向けるんだけど、おまいの悪事知っとるんやぞという匂わせぶりが性格わっるう…って

疫病に対するスタンスもその時代ってそういうもんだとは思うけどありえねー根拠の正常性バイアスで(まだ罹ったことないけど)コロナを経た視聴者の私、眉をひそめてまう。

これまで道兼に対しては下がったりちょっと絆されたり下がったりひどすぎて笑ったり下がったり下がったり、やれやれ…って感じだったけど、ここで甥っ子になめられてるのを見たり、ちょっとあとで死亡フラグが立ってる週刊少年ジャンプのライバルキャラみたいな佇まいとセリフを見せられると一気に絆されるよね。伊周の鼻っ柱ぶん殴っておしまい、ってなるよね。たぶん鼻っ柱をぶん殴るの彼の役目じゃないんだけど。

 

そこから勢いよく襲い来る悲劇、可愛い子どもが亡くなってしまうことをちゃんと映像にする作品はもう名作の風格が出てますよね…節子思い出しちゃった。

コロナを経たわたし、「乙丸がいちばんうつりそう」と真顔で思う。清明がやったことはロックダウンだったしな。つーか道隆も罹ったらヤバい。

時代劇で江戸時代の医者がマスクみたいなのをしているけど、古くからあの習慣はあったのか、とマスクを見るとホッとしてしまうし、マスクをしない、覆いもしない、素手で触れるまひろを見てヒヤヒヤする。コロナで鍛えられた視聴者は面構えが違う…という気持ちで見た人、私以外にもいたでしょうね。

この疫病は天然痘なのでジェンナーの話しが頭をチラつく吾。ついでに「ヨコハマ物語」も頭をチラつく。大和和紀先生つながり。

 

道隆がちょいちょい糖尿病っぽさを見せながらイキってるのが気になるんだな…

自分の政治の才能のなさを棚上げして道長パワハラする道隆と顔がわりとゼロ距離なの、昔だったら緊迫感あふれる構図なんだけど、出川さんと上島さんのやりとりを何度も見ているわたしには…(察して)

 

上の兄貴が感じ悪くて凹んでいたら、それまで虐待してきていた二番目の兄に優しくされるという…優しくされると人は優しく出来るという好例。ここの道兼はかっこいい。ここへ来て急に挽回するのがエグい。どちらもこちらの感情を揺さぶってくる演者さんが素晴らしい。

 

で、汚れ=穢れも厭わない兄が悲田院に向かうんだけど、ここ、副音声と道兼にご注目ください。もうストップ高なんですよ!!!

これ死ぬでしょ…ってなる。

そして成り行き上放っておけなくてボランティアに身を投じるノーマスクまひろと道兼が遭っちゃう??ってスリルがある中で、数年前に見た気がする医療従事者の疲弊が落とし込まれているかのような悲田院の窮状がリアル。

やっぱり穢れを気にしない道長(「死ぬ気がしない」って戦上手の英雄が言うセリフだよね)が合流しちゃう、まひろもまた穢れを気にしない人だものな!直秀の死、本当に意味強すぎ!

 

道兼道長、百舌彦が口と鼻を覆うのはウィルスに対する防御じゃなくて臭かったんじゃないかなと察してしまった。上流貴族とその従者だから、普段は絶対嗅がない臭いがしていたのでは。

 

そこからのいきなりの再会、いいところを見せようとしてるのに置いていかれる道兼のことがちょっと気になりながらも、みちまひ派の吾、もう少女漫画的シチュに振ってきたこの流れに乗っちゃうよ!あ、ちゃんと付き合い続けた乙丸が一番えらい!ってのは書いておこう。

 

まひろの実家に正体を明らかにしながら、昨日今日の関係ではございませんって匂いを振りまきながら親も女房も追い出しふたりきりでつきっきりってもう、熱い!!!

いとが道長を知らないってのもリアルだし、なんで大納言!?って困惑してる為時もリアル。だって父がアレで兄がアレで…ねえ!!!

でも道長と昨日今日の関係ではございませんという感じなのを察した父の振る舞いが最高でした。言葉に直接出さないけど娘のことをよく理解しているし、道長のこともちゃんと慮った結果の言葉がけ。自分の都合より相手と娘の立場を考えられる立派な父でした…

 

うなされるまひろにいろんな声をかけていたけど6年くらいまともに会話をしてなかっただろうから積もる話しやかけたい言葉もそらあたくさんあったことでしょう。でもいまがヤマ、ってしんどいときに生きる意味を問うのはしんどすぎるからやめてあげて!

(百舌彦と乙丸コンビはやっぱり並ぶのがいい)

 

峠を越えて持ち直したまひろの手を(親がいるから)握れなかったのがなんとも切ない。握ってもよかっただろうに、将来を約束できない間柄であるし相手の父親にこれ以上にない配慮をされると握れないものかな。そのへん分別があるんだなあ

 

そしてそのままウィルスを持ち込んだ状態で土御門殿は帰ってきた道長がソーシャルディスタンスを守るところ、アフターコロナの見方をしてるなあ。これコロナ前だったらこういう見方をあんまりしてないかも。

超大好きな女の看病をやりきった感をにじませながら素っ気なく引っ込んじゃう道長を見て妻の勘が冴える倫子様(with 小麻呂?と赤染衛門

、確信を得て笑っちゃうのは、ああいう場合笑うしか平常心を保てないものなんだろうな。ものすっっごく怖かったです。先週見た予告よりずっと怖かった。これ、相手がまひろだと知ったらどうなるんだ…!?

なんか為時が新潟に行くのが絶妙なタイミングのような気がするんですよねー

 

道長「ん」はなんの感情も乗ってないんですよね。あれこれからも気にしていこう。心の声で話しかけるのもまひろ相手の時だけじゃないかな。

 

そこからの次回予告、もうなにが起こるやら…金田がサマー少納言の胸を揉んだことと詮子様のターンと、久しくなかったね、驕り、ってのと、あとなんだっけ、来週も大変なのはわかるわい。

相変わらずあっという間に終わるし、内容に圧倒されてなんとか紀行は頭に入ってこないしで。毎週おもしろいし一条天皇は美しいし。ありがたいことです。

このドラマで道隆演じる井浦新さんはかなりの演技の幅を見せてくれましたが来週がクライマックスっぽい。楽しみです!三男の長男!