夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

「光る君へ」14話 「星落ちてなお」感想

990年 鉢合わせたそのままの続きかどうかがまず心配でしたが、続きでした!!

なんとかふたりともお互いをスルーしたけどその後上の空の道長、何かを察する倫子様、「ああ、よい風だ」ってまひろに会えて超嬉しいの隠さず清々しさ丸出しなのどうなの!!笑う!!娘が初めて?パパと呼ぶ瞬間ってお父さん的には人生でもなかなかない喜ばしい瞬間なのにそれを逃すほどにアンタ!

 

副音声さん「まひろが去った廊下に目を向ける」

道長〜そういうとこやぞ!!まひろ好きすぎ!

 

まひろは自分が断ったのに断られたと言わないといけなかったから方便を言う以外に心情を見せる感じはないけど心穏やかではないよね。

 

今回、大きなことといえば兼家の死と道兼の凋落と道隆の独裁の始まりなんですが、「道綱道綱」「日記に書け」も見どころかなー

蔵之介が出世して九州に行っちゃったとかも。

 

兼家役の段田安則さんの演技が素晴らしかったなあ。先々週までのギラギラした姿とは打って変わってヨボヨボ。でも言うことは言うし言わないことは言わないの。

道兼に立場をわからせたのはちょっと気持ちよかった。道兼が可哀想だったけど。

道隆が狼狽えていたけど花山天皇のよしこさまを呪ったときには一緒にいたやんね。なんか自分だけ穢れを知らない体でいるのが長男っぽーいと白けた目を向けてしまう私であった…(自分の父という長男に私怨がある坂田)

道兼が汚れ役なのをわからせるの、死を間際にして息子の罪に対してケリを付けた感じで私は気に入りました。自分には用済みなんだな。

ああいう席で「とっとと死ね」と言っちゃうところが子どもだし浅薄だし政治家に向いておらず、そりゃあ道でばったり自分の通行のじゃまをした子どもの母親に手をかけるような奴だよね、人物造形にブレがない。可哀想なところもあるけど救われないほうがいい気がしてくる。

 

為時パパといとのくだりや、道綱母の「道綱、道綱」と蜻蛉日記を読んだよアピールする兼家のやりとり、「いまの歌、何?」って蜻蛉日記を知らない道綱とずっと和ませていくけどこれがないとやっとれんところがある。

だってすぐに呪詛する明子女王が出るし空気の温度差激しいのよ。

 

赤い月は満月であったほうがいいと思うゼルダの伝説クラスタ

「リンク…リンク…」

明子女王マジでこわいガノンドロフかよ

 

人の死体ってこのようにゆるい大の字なの自然だなあと惚れ惚れしちゃった。これで本当は生きた人が演じてるんだからすごいね。段田さんが本当にすごい。これまでなんかいつもバイブレーターとして見る人としか思ってなかったけどむちゃくちゃすごい役者さんなんだと、ええもん見せてもらえて感謝しちゃった。演技が好きになれる悪役は洋の東西を問わず役者そのものを好きになれますね。

 

道長は倫子様にも明子女王にもそこそこの情はあるけどそこそこしかないのだけど、穢れに頓着しないのが明子女王の琴線に触れた模様。穢れに頓着しない理由は根深い理由が別にあるけどそんなのわかってるの視聴者だけだからね。

倫子様は準北の方であり自分より身分の高い明子女王を意識してるけど器のデカさを見せて健気だなあ…でも道長はふたりともそんなに眼中にないのが、二人の女性にとってはお互いに相手に気持ちがあると錯覚することになるんだろうな。でも明子女王はまひろの存在に気づくのは確実なので私は倫子様が気づくXデーが怖い。

 

道兼に三行半を突きつける妻(実の叔母)の、出ていくのが心底嬉しそうな意地悪な表情がすごく好きです。おめーなんか捨ててやるしおめーの出世のためにかわいい娘を使うものかという意思の現れ、立ち回りの良さが兼家の妹!って感じ。そうなのよ、兼家の妹なのよ、この方。そりゃあ父親の喪に服さないのもいい気はしないよね…

史実だとこの元妻兼叔母、再婚後は道長と懇意になるっぽく、そこからの縁で尊子が一条天皇に輿入れするらしい。そこが描写されるかどうかはわかんないけど、あのジトッとした笑顔は印象に残りました。私も釣られてああいう顔で見てた。

道兼可哀想なところもあるけど、徳がないのでこういう目に遭ってもなんか意地悪な気持ちで見てしまう。

 

その凋落を見て公任が「父の見る目がなかった」とようやく気づくのだけど、頭がいいはずなのに自分の目で見ず父親の言うことを鵜呑みにするところが残念なのよね。頭のいい人独特の早口のセリフ回しとか好きなんだけどなあ…馴染みのある道長がよもや頂点に立つなんて思いもよらないだろうな。

行成の分析が他の人も出来て当たり前のところがあるのにね…

 

伊周の出世に大してモブ女房たちの少女漫画みたいなささやき方が面白かったわー。キャッキャウフフしてる一条天皇と定子様とそれを穏やかに見守る伊周と母貴子という、道隆の一家が天皇を囲む様子が超気にいらないピリピリの詮子、「にぎやかでよいのう」も「やかましい」の裏返しに聞こえるの、京しぐさっぽくて好きです。

私もこういう痛烈な嫌味を言える人になりたい…

詮子が厳しいのはやっぱり道隆の隆盛が気に入らないのと自分は帝に愛されなかったけど自分の大事な息子が后とうまく行ってるのが気に入らないのと混ざってるんだろうなあ。道長の恋愛にキャッキャ言うてた詮子が…と思うと悲しい。

 

ピリピリから一転しての実資に新しい妻の日記コール、実資は世の中や貴族が感じた不条理を口にする役回りなんだろうな。

梅宮辰夫さんそっくりと言われるお腹を愛でる新しい妻、またパンチが効いてるのでこれからもちょいちょい出てほしい。

 

伊周の、できる子かもしれないけど傲慢だったり出世はしてあたりまえみたいなところがあったり、親には従順なところが長男の道隆の子どもであって三男からうまく立ち回って出世した兼家とは違う感じがするんだよね。生まれながら成功が決まっていると疑っていない感じがする。道長は出世はそこまで望んでいなくても世の中をいい方へ変えたいという意志があるので志がちがってくるのでここの格差が今後の展開に影響がでるんだろうなあ。

呑気に和歌の会で嫁探ししてるなんてゆるいわと、そりゃあサマー少納言がキレッキレに罵るよね。

道隆が漢詩の会のあのふたりの扱いがひどくて、私的にこの人には情を失いました。でもききょう様とまひろの再会の機会をあたえてくれてありがとうな!

 

「わたしたちはただのにぎやかしですわ、あほらし」

ここらへんからサマー少納言が本当に気持ちいいのでやっぱり好きだなあ、清少納言

下々の子に文字を教えることに対しても歯に衣着せない容赦ない感じが好きだし、夫と離縁して子どもを押し付ける、自分のために生きる道を見せるところとかあー気持ちいい。そういう親がいてもいいのよ。

 

百姓の子どもに文字を教えることの無意味さを父親にぶつけられるの、直秀が生きていたらやんわり言われたかもなあ。

同じく、直秀のことを思い出してしまう道長検非違使庁改革案。

どれだけ貴族以外が人とみなされていなかったかがよくわかる道隆の物言い、逆に貴族以外を重く思っている道長のほうが珍しいんだろうな。道隆がだんだん偉そうになるのが残念だけど、もともとこういう人でもあったな。これが貴族の普通だからな。

ふたりとも世の中のためになることをやりたいと志し、恋よりもそちらを取ったところがあるけれど最初はうまくいかないものなんだなあ、さすがドラマ…

ふたりとも離れたところで月を見るの、いつも象徴的。

 

それとは裏腹に、短いながらも隆盛のときをブイブイ言わせる道隆一家、いまから「久しからず」なフラグが立っていても、私は定子様以外にはなーーーーんとも思いませんの。定子様はサマー少納言目線で大好きだからなあ。しかも高畑充希さんだしな。

公卿たちが中宮はないわーってご意見なのをちゃんと「ありえぬ」といえる道長はよくやったと思いますよ。

 

公卿まったく無視して天皇に言わせちゃうやりかたを見せつけたの、新しい前例をつくっちゃったね…前例がないことは自分が前例になれば良いという考え方は好きだけど、自分の権力のためにそれをやるのは好きじゃないなあ。(と思いながら蔵人としてそこにいる公任に見とれる坂田)

 

来週、いよいよサマー少納言と定子様の邂逅、すごい表情だったな。待ちに待っていた瞬間でした。あの閨の二人はだれじゃろ。めっちゃガン見したけど誰かわかんなかった!わかった人いる??

サマー少納言に気を取られて我が本命、塩野瑛久一条天皇がとうとうお出ましになることに何回か予告編を見たあとで気づいた!おい!

今週も面白かったし(終盤すっかり兼家のことを忘れちゃってた!)、来週も楽しみですね。