夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

「光る君へ」17話 「うつろい」感想

994年から995年

乙丸でかした!道長がまひろを寝ずの看病をしたという話し聞いて微笑むの、そりゃあそこは喜ぶでしょうよ!

どう進展がなくとも嬉しいものでしょう。

御殿の改修にはめちゃくちゃお金を使って道長に衷心されたのにゆとりがないって言っちゃう道隆が本当にだめな政治家で見ているとムカつくなあと思っていたら、井浦新さんご本人も「権力をうまく扱いきれてない」と理解していてやっぱりなあと思った次第。親から譲られた権力の扱い方が下手でした。

なのに道兼への見方がわりとしっかりしていて緊迫した怒鳴り合いだったのに笑ってもーた!

 

明子女王、表情が柔らかくなりましたね。俊賢が要領がいい兄なんだよねえ、しかも立場的に道長にもいい影響がある。地味な役かと思ったらなんのなんの。

そして倫子様が太っ腹でね!太い太い実家があるから財産もばっちりあるんだけどここでこういう立ち回りもしてるところが倫子様の今後の大出世にもつながるんだろうな。

しかし倫子様の探りからの道長の偽り、倫子様が目がちょいちょい怖い…

 

またも道長、心の声でまひろを案じるんだけど、いつも心の声で喋るときはまひろがらみなのよね!!

為時パパ、道長の妾になったほうがまひろの幸せだと判断したんだろうな。まあ相手があの家なら…って妻の仇とか自分の出世を阻んだ奴の家やぞとも思うんだけど、自分のことはどうでもいいのが為時パパなんだろうな。道長の人となりも知っているだろうし。あの濃いキャラの兄弟の中にあって善良だものね。

 

百舌彦に頼み事をする道長が空々しいのが立場がある人が浮気してる感強かったな。そして百舌彦のイヤイヤ来た感じが可愛い。何が可愛いって水干が脛の丈なのが可愛い。乙丸の水干姿も可愛い、W可愛い。

乙丸、まひろには暴露しちゃったけどまひろの幸せを一番に考えているから道長には止めようとするところが序盤の頃とブレてないですよね。あの立場で貴族に対しておやめくださいってはっきり言ってた。この作中で一番かっこいいのは乙丸だろうなあ…

一番美しいのは一条天皇だけどな。

おおっと…気を抜けばすぐに一条天皇が出てくるわ。

百舌彦も感謝されて悪い気はしないけれど、乙丸の気持ちを汲んだり自分の意志もあるのか道長に言われて来たとは言わないの。でもわかるよねえ。

 

道長悲田院に来たことから、7年前(!)の自分との約束を守っていることを察してそりゃあねえ、嫌にはならんわ。(道兼も来てたことを教えたくてウズウズする)でも弁えちゃってるから父親から促されててもめちゃくちゃ丁寧にはぐらかす。

この話しが来週登場予定の蔵之介の耳に入るかどうかが気になるね!為時パパが相談するかどうか。あ、そういえば道長とまひろが外で会っているのを知ってたわ、蔵之介!

こりゃあ来週以降が楽しみですな…!

 

思春期後期の兄弟は両親がアツアツなのを見るのはだいたいいたたまれない。

年齢的にはまだまだ少年の気もする伊周隆家がどこの女の家に行くかとかその女が誰かわかったあとの話しぶりがおっさん!早くから出仕し、大人の世界にいたからかもしれないけど。それと本妻の家だと子どもがうるさいとかワンオペを強いる非協力的な夫を想起されてますます徳がない気がする。

 

推しに夢中のサマー少納言、金田との関わりもそぞろでねちこいアプローチに「深い仲になったからと言って自分の女みたいに言わないで」と目つきも冷めてる。推し活してるとその辺疎かになる気持ちはよく分かる…

 

道隆の病床に晴明が呼ばれるシーンで、貴子の衣装に見入ってしまった。派手さはないけど織りが美しい。衣装の貧富の差が見れば見るほどわかりやすいなんてお金のかかったドラマだなあ。

そしてここの道隆と晴明のやりとりが見どころ。父兼家とは全然ちがって晴明がつまんなそうというか忌々しそうに対応している。そして道隆の病みメイクが深い。

呪いそうな相手が全員自分のきょうだいなのがやるせないが、罪悪感より逆恨みを感じる。

ここから自分の館に戻って行くときのやれやれ感たっぷりの表情からの館ですまるに祈祷を丸投げにして穢れをふいっと祓うところまで、晴明にしか出来ない振る舞いで「光る君へ」の世界観がグッと広がります。初恋こじらせてる二人が主役のドラマとは思えない存在感。すまるが誠実な対応をするところが良かったので今後も活躍してほしい。

ふいっと払った瞬間BGMが途切れたのがかっこよかったな。

この「穢れ」に対する考え方が疫病の避け方にも通じているような。

 

長徳=長毒ってこじつけとも思えるけど、日本人はこういうこじつけ大好きだから…後々方広寺鐘銘事件につながる言いがかり文化ですよね。

ここの公卿のやり取りを蔵人頭の俊賢が仕事をしながら何気なく聞いているのも伏線ですよね。彼がいろいろ耳を澄ませているから政治の流れがよく読めるし、公卿たちの意向もわかる。俊賢のセリフ=政治の動きって見方もできるかも。

そしてこのやり取りを聞いているのは俊賢だけではないのよね。

美しい一条天皇ですよ。

ここで有能な実資に未熟と言い切られた帝、憂いを帯びて美しいのだけど、ここで他の公卿の話しも聞くことで関白の言いなりにならない人になっていったんだな。

 

定子様に対して政治的スタンスを見せずに穏やかに対応しているときの微笑み、素敵でしたね。相手が関白の娘だからその辺は心が開けないのが気の毒ではある。

 

道隆の病状について話をする残りのきょうだい、詮子様が道隆の後継についてとっとと立ち回っているのがさすが兼家に一番似ている人だけあり、そんな彼女に惚れ惚れする兄と弟の声が揃うのが無駄に可愛い。だってこの人たち過去にいろいろあったのにさあ、道兼がすっかりまるくなっちゃってえ…(でも来週…(´;ω;`)ウッ…

道兼を伊周よりマシと判断したのをはっきりと本人の前で言うところとか詮子様のそういうところが好きです。

 

これに対して定子様も伊周より立ち回りがうまく、先例を調べて伊周の立場を守ろうとしているあたりに中関白家の中では一番の知性と策士なのを伺わされます。調子に乗って白い直衣を着るようなことをせず、密かに地盤を固めるとか出来ていたんじゃないかな。嫁姑の冷戦が強くさせたというけど、これも兼家のDNAじゃね??

 

道隆は道隆で道兼に伊周の立場を託そうとする。どうする道兼!?と思ったら中の人御本人も仰ってたので笑いました。

 

まひろとさわさんの再会、ますますシスターフッドが強固なものに。さわさんが藤原道綱母とまひろの会話で置いてけぼりをくらい、道綱に人違いされてたことてまひろに近づきたいとまひろの美しい文を写したとか、先週の文の返却の理由がいじらしくて一気にさわさんの株がストップ高ですよ。

権力闘争してる朝廷とは違ってまひろの周りは心温まる感じがしますね、為時パパが絡んでもそんな感じ。

 

自分の書いた文がさわさんを動かしたことにワクワクするまひろと道長がまた同じ空を見ていたっぽいです。まひろがなにかしら覚醒した模様。いづれの御時にかいっちゃう?(いってない)

 

さーてここから道隆の晩節大汚し、井浦新さん渾身の荒ぶりが見られますよ。御簾越しの一条天皇がまた美しいんだわ。

井浦新さんはすごい俳優さんになったなあ…わたし、井浦新さんはARATAさんでモデルさんをされていたときに、当時やたらハーフのモデルさんが多い中で独特の雰囲気のある日本人のモデルさんとして活躍されていてその頃から存じ上げていたのですが、「ピンポン」あたりから俳優としても活躍されるようになって、劇場に見に行って「メガネええな…」と思ったものでした。最近ではクソがの印象が強いんですが、おっさんずラブでも渋めの声でボケたことを真顔で言うのが好きで。

この作品での役柄は、しばらく呑気に育った長男って感じだったのが調子に乗って偉そうになり、晩年は後継のために理性を失うほど荒ぶるという変化を見せて結果的に強い印象が残りました。

蔵人頭って話しをし易い立場なのかな、花山天皇と道兼もそんな関係性を表向きは築いていたし。また、蔵人頭が公卿たちへの拡声器にもなるのかな、だから自分の意見を大っぴらじゃない方法で届けるために利用しているのかも。自分も若いと揶揄されるから、その世話役の関白も若いようでは確かに役者不足になるんですよね。一条天皇は聡明だからそこを間違えたくないと思っていらっしゃると。

で、その意志の強さが出た目つきが美しいんだわ…

 

いよいよおかしくなった道隆が定子様に「皇子を産め」と詰め寄る際に、サマー少納言がアイコンタクトで御簾を下げさせた振る舞いが出来る女房で素敵でした。相手の都合を考えないとか空気を読まないような物言いをするのはありゃあわざとなんだろうな!笑

定子様は定子様で、乱心する道隆に対して毅然とマジレスするあたりが清少納言の推しだけある。道隆の振る舞いに対してサマー少納言が憂いをにじませながら厳しい目つきをしていて定子様は冷然と見つめているのも印象的でした。普段からそういう圧に耐えているのかも、と察する。

 

一条天皇はとても賢い折衷案を提示するのですが、これが後々伊周が後継になれない流れになっていくの、いろいろ理由はあるけど定子様の思惑通りにはいかなかったあたりに妻の事情と国の政治を綺麗に線引できていてますます魅力を感じる。

 

公卿たちの流行り病に対する噂話、とてもカジュアルに感じるのは道綱のゆるいトークスキルのせいなんだろうけど、公卿が疫病に罹った話しがコロナ禍そのものでしたね。会ったときにはまだ罹ってなかったよね?ってちょっとビビってんの。実資がまた歯に衣着せず正論を言っちゃう。伊周はここでも横柄だそうです(副音声より)たしかにしらっとしてる。

それにしても、「おっさんずラブリターンズ」と並行して撮っていたなんてよ…

俳優さんすごいな。

 

関白の荒ぶりが極まって帝の御簾を上げて詰め寄るシーンはとてもショッキング。あんな不敬な振る舞い私も初めて見たよ!(わたし内裏のなにを知ってるんや

瞠目してる一条天皇とか普段見られない表情だったな…

鬼気迫りすぎなのよ道隆。

このシーンのインパクトが強くて、亡くなるときに妻と仲睦まじく和歌を諳んじても雰囲気に飲まれなかったなあ…あっちゅうまだった。

キラキラしたままだったら良かったのにねえ。

 

さて次回、私はまさか道兼が亡くなることが悲しくなるとは思わなかったのですが、いまから悲しいです。

さわさんとまひろもまたなにかあるみたいだし。

 

ずっと面白いんですけど、これからどうなるんだろうなあ。