夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

「光る君へ」20話 「望みの先に」感想

今回から「後編」に書かれているあらすじになるようですよ

996年(長徳二年←長毒と揶揄された元号まだ使われているしこれで「長徳の変」って言われているし、中関白家には忌まわしい元号になったね)

 

活き活きと矢を射る隆家とんでもないなー、本当に最高の表情で何回見ても笑う。

花山院、自分がやましいことをしているから事を荒立てたくないのに従者が殺されちゃったので流石になかったことにはならなかった!(そして花山院の出番これで終わりなの残念、もう出る機会なさげ??)

 

自分の子どもが過ちを犯したときにどう振る舞うかで人としての器が見えてくるものだけど、高階貴子は意外にも賢くなかったのが残念。妙に盲目的になるのだけど、それが母親ってものなんだろうか。

そしてバイアスがかかってる母にあっけらかんとヤバい事実を語る隆家、器がでかすぎるのかバカなのかわからん!!!面白いからどっちでもいい!

逆ギレする伊周に対してやれやれってなってるけど隆家の態度悪すぎておもしろい。反省のハの字もない…

 

金田が道長に報告しにきたのは友達だから政敵の失態をいち早く耳に入れたかったからなんだろうけど、このときのために友達、仲間の設定だったのかも。伊周と隆家は終わりだなと言ったときの金田の嬉しそうな顔と忍び笑い、のちの沙汰を告げるときの溜めといい、なかなかのいけず。

 

伊周隆家のやらかしにあきれ果てて口角あがっちゃう今回も美しさがハンパない一条天皇、気苦労がずっと絶えないなー!ただただ定子様と幸せに暮らしたいだろうに。

最近ロバート秋山さんがもともと実資なのではと思っちゃうくらい実資にしか見えなくないですか?梅宮辰夫さんと同じお腹であっても実資のお腹が梅宮辰夫さんのお腹なのではと思ってしまう。

 

このときの一条天皇の表情、私も同じ状況だったらこんなになるわというくらい的確で中の人の演技がしっくりするのが嬉しい。その役その役で必要な雰囲気を見事に出せる方だよ。アップが見ごたえある。

そして花山院が出家してもなお女性のもとに通っていることとか伊周の勘違いを聞いてサマー少納言が剣呑な表情になり、定子様が嘆かわしげな表情をされるのも、言外の思いが表現されていて理解が捗る。定子様の目が潤んでいたのも、呼吸が粗くなっていたのも大げさではない演技に惚れ惚れしてしまったな。

 

金田が沙汰を告げるシーンの満を持している感じ、溜め、全部その場を掌握していてここも惚れ惚れするんですが、なによりこの人の家の外で起こったこと(しかもわりと当事者)を蔵人の職務とはいえ自分で沙汰を言いに来たのがなかなか痛快。中関白家が落ちぶれる決定打として彼が申し渡すのが適任だったんだろうな。その場にいたから言い逃れもできないし。こういう配置が絶妙。

 

そんな大事件をよそに為時パパは出世、国司になります。国司というと今で言うところの県知事でいいのかな。すげーじゃん!

本来越前の国司になるはずだった人は詮子様の差し金による人事だったけど、実は不適格だったと知れたときの源国盛の人のぼんやりとした反応が人任せで申文を作る人らしい感じが出ていて説得力がある。このあとお役目を奪われてショックで死んだという話があるけど、平安貴族って心労とかストレスですぐ死ぬよね…

そのあとの仲の良いきょうだいのダジャレ混じりのやりとり、あれアドリブだったらますます吉田羊さんが大好きなんだけど(オヤジギャグに弱い吾)

伊周の処分を気にする詮子様、厳罰を望んでるくさい。またも私怨か。それに対して寛容な沙汰を望む道長は、そうすることで帝が尊くなるほうを重要視するのが大局を見ている感じがして良いですね。政敵を追い込むより人材としてうまく使いたいのは仕事が出来る管理職らしい。

そういう道長の意志を知らされたあとの詮子様の表情がやや長く映ったのがその後に起こることの匂わせっぽい。

 

蔵之介が話す為時パパの過去がなかなか吉田松陰のようで面白かった。死ななくてよかった。

まひろと蔵之介が仲よさげなのを寝たふりをして見ている為時パパ。

蔵之介がまひろにヒントをもたらす…!

 

申文をうんざりげに見る道長の表情が昔と変わらず可愛げがある

行成が手抜きを促してもちゃんと受け入れるのを見てそういうところが好き!って表情になるのこっちがニヤついてしまうやろー!!行成今週も幸せそう。

 

つーか自分で淡路守になりたいって申文を書いたのにその除目が気に入らねえってなに?ってなるところをこれ本人が書いたんじゃなくてその娘で自分の元カノの筆跡では?って気づくとそれまでダルそうだったのにエンジンかかっちゃう道長…!!今週のみちまひも、道長がむちゃくちゃまひろのことが好きでよろしいな!!まひろはどうにかして宋人に絡みたいとか道長に対してそんなに気持ちが出てないのにな!

 

道長、元カノの手紙をうまく隠しているつもりなんだろうけどかなり前から倫子様に見られているの気づいてないんだろうなー

もはや熱いラブレターを強めの漢詩で返されていたやりとりも懐かしい…かかるBGMも優しいんだわ。ため息ついてさー。好きだねえ…

 

ここからの詮子様の伏せり方が寝込んだ兼家という前科があるので怪しいんだな。

倫子は口が軽いと指摘されて謝ったあとに倫子様がじっと見るの、表情は可愛らしいんだけどちょっと含みがある気がする。私の気のせいではなくのちのフラグだったりする。

 

為時パパが適任とはいえ大出世するのはまひろが仕掛けたのを元カレの道長が応じたって流れになるのが、「ツーと言えばカー」って感じ?他の人事はプライベートを反映させないのにまひろが絡むと適任とはいえだ、権力を持っちゃうと融通効かせるねえ!エモい!

これによって為時パパが異例の大出世という史実がしっくりきちゃうの謎の超解釈だな…この作品こういう、もともとこうだったほうが納得がいってしまう超解釈が多い。奇跡のよう。

 

まひろのよっしゃ!って表情がいい。

さすがにこれはおかしいぞと感じた賢い為時パパ、ついにまひろと道長の関係に言及する…が、さすが賢く人間が出来ているので立ち入りすぎず、ただ誠実に受け止めようとするのに憧れる。深い。なんだか感動する。

そしてまひろの告白になんか泣いちゃう為時パパ。この作中で一番好きかもしれん…

 

詮子様が薬湯を飲まないのは円融天皇が薬を盛られていたからという結構まえのエピソードもちゃんと忘れてない。

ここ、倫子様が探偵だけでなく霊感まで!?と戦いたけどどちらかというとやはり探偵だったっぽい。晴明と同じ。

しかし呪詛ってそうとわからなくても雰囲気が禍々しいよね!!

呪詛を見たときの詮子様の反応がガチっぽいけど、すぐに中宮と伊周の話しを持ち出した辺り呪詛は詮子様の差し金っぽい。大げさに騒ぎすぎ、それを倫子様がわりと冷静な表情で一瞥する。でけえ声で詮子様が「許すまじ!」って言ってるけど倫子様はどこまでも冷静に道長に自分に任せろといい、ちょっとしたやり取りの末に「あ」と察する道長、笑って頷く倫子様、わかっちゃった感出すあたりがやっぱり詮子様の差し金と私は解釈したんですが、一部解釈では倫子様も一枚噛んでるように見えているらしい。

でもそれだったら道長が嫌うと思うんですよね、道長が嫌うことは倫子様はしないような気がするので、これは詮子様のスタンドプレーで、呪われたことをすぐに言いふらしたのも詮子様、ここは自分がおさめると倫子様が言ったのは、その自作自演のボロが出ないようにもするためじゃないかな…

事を荒立てないようにしたにもかかわらず、実資の耳に入っちゃった。なんで?って顔の道長

 

定子様は内裏に入るときも夜、出るときも夜なんだなー…

ここで口添えを頼む(賄賂付き)のが金田なのが、一番頼みやすかったのかな。このあとサマー少納言にスパイせえと言いやすい関係だったからここで使われたんだろうな。

憔悴している伊周、言いがかり系呪詛では前回のブーメランなんですよね。言いがかり系呪詛が効くのはこういう、追い打ちをかけたいときなので前回は無駄だったんだな、こういうところで政治の上手い下手が演出されるのが面白い。

 

中宮を見限れなんてサマー少納言の推し活に理解がないにもほどがある。それなのにモブ女房から裏切り者扱いを受けるのが、前回の鋲事件が伏線になっていて説得力をもたせる。サマー少納言が宿下がりを促される流れもちゃんとしている。

 

伊周が弟の不心得と不手際を自分のものとして受け止めるのは潔いしちゃんと仲が良い兄弟なんだなって思わせられる。兼家だったら矢面に立たせてたし汚れ役にさせたでしょう。

(私の中にどーーーしても兼家の影が消えないの、兼家が濃すぎたな!おもしろかったし!)

前回までの尊大さがなりを潜めて、プライドはどこへ行ったん?ってくらいの振る舞いに演者の三浦翔平さんが際立つなー。

「お決めになるのは帝ゆえ」って、関白じゃないのをことさらアピール。関白として帝や政治を操りたかった伊周には事実上最高権力者の右大臣なら出来ると勘違いしてるところとか、帝に信じてくれと伝えるように言うても花山院に弓を仕掛けた時点で信用もなにも、前回の不敬なマタハラで信頼もなにもというのがちょっとわかってないのがやっぱり甘いかも。やっぱり行いって大事だなー

 

ここからの帝と定子様のやりとりで泣ける。定子様の声の演技がたまらん。帝がマジで定子様が大好きなのが見て取れるのもいい。定子様の残念な兄弟のことはおいといて、この二人には幸せになってほしいとそりゃあ思うわけで。だからサマー少納言枕草子を手掛けるんだなと、ここもまた説得力がある。ああもう完璧。

定子様自身にはなんの落ち度もないものな。そして兄弟の助命をしたあとの振る舞いが美しい。立ち上がり方の頼りなさからの、これ以上は情にも訴えたくない感じ。そらーハグしたくなるて。バックハグじゃないの、正面から行くのがなるほど帝、まっすぐである。

 

伊周隆家の沙汰を聞いて反応する今日もかっこいい公任。今日の公任これだけ?でもかっこいい。思わず10秒バックしてもう1回見た。3回くらい。

行成が沙汰を言い渡すときの一条天皇の美貌もまた際立っていて、このシーンは美しさが大渋滞…のあとに、棚ぼた出世しちゃった道綱の不意の反応が可愛い!!

そしておなじく棚ぼたで出世しちゃった金田、今日の影の主役はこの人かもしれない。なにもかも美味しかった。

 

晴明と道長って特別な関係性を築いているように見えなかったけどここで呪詛が絡んでいるからといって個人的に会いに行って話ししているんだなあ。晴明は自分の仕事をしながら話半分で耳を貸してる感じ、恭しさがないのが親密さが垣間見える。すまるたんも全然恭しくなくて、くだけた態度っぽい。(すまるたんは式神なので道長には見えてないのかもしれない、って解釈もできるね!)禹歩って大貴族に背中を見せても全然無問題でやることなん?つーか兼家と違って道長が出向いているところ可愛いな?

呪詛なんかどうでもええわいって言っちゃう晴明、呪詛のからくりとか本質をわかっちゃってるのを忌憚なくぶっちゃけちゃう。

隆家は刀伊の入寇で大活躍するからそれを匂わされ、伊周は道長次第と言われては私が気になるからWikipediaで調べちゃったよ…

フランス革命でもそうなんだけど、結局強いところにいる貴族は見せしめという役割がない限りは返り咲くもんなんですよねー…

 

推しが自分を思うばかりに遠ざけようとするのは悲しいよなあと思っていたらそれよりまたも子供っぽい伊周の太宰府disで福岡生まれの私が過剰反応。太宰府はいいぞ。梅が枝餅が美味しい。あまりの美味しさに自分で作れるようになりました!その後冷凍食品で売っているのを地元で見つけて衝撃を受けた!

定子様がバカ兄弟に憂うの、めっっっっちゃ同情する吾

 

しかしそこからまひろをまきこんでコントの如く二条邸に潜入するとか、ここで歴史が動く瞬間をまひろが目の当たりにすることが後に源氏物語のヒントになるって流れなんでしょうか、超展開で面白い。でもこれまでのことがあるから無理はない。

言うことをきかない駄々っ子兄弟に手を焼いて検非違使に取り囲まれるとかカッコ悪い。

 

そしていい感じに潔く自分は出雲に行くと爽やかに立ち去る隆家よ。こいつとんでもないトリックスターでは。だいたいこいつのせいなのに、と視聴者がどれだけ思っただろうな(なんかそういうつぶやきをいっぱいいっぱい見た)

こういう、妙に憎めないところは竜星涼さんだから魅力もあるんだけど、本来演じるはずだった人が演じたらどうなってたんだろう…?ってここ数週間ずっと気になっている。それはそれで見たかったけど、こっちのほうがファイナルアンサーとして綺麗に収まってる。

 

貴子がなにもできないで座ったままなのが気の毒。着ているものがいつものあの素晴らしい装束だけに痛ましい。貴子の衣装、美しいですよね。

実資が来るのが、この人なら無駄に荒事にはならないし守れるものは守れるという信頼感があって帝が遣わせたのも納得がいく感じ。中宮を迎えに来たからそれらしい下人?も連れてる。

その前にまひろとサマー少納言が忍びやすくなる瞬間のために検非違使たちが集められたのも、この人が来るからなんだというのがわかる。ご都合感が打ち消されてるのがよい。

 

まひろとサマー少納言が見事にコントで隠密行動を取っているんだけど、そこでサマー少納言が推しの荒ぶりをみての表情が本当に素晴らしくて、サマー少納言は台詞もいいけど表情がいつもいいですよね。

定子様の表情が、往年の「かい…かん…!」に見えたけど快感じゃあないにしてもスッキリはしたかもしんないな?

 

つづく!

そして予告で松下洸平さんフーッ!

今までなるべく穏やかに振る舞っていたはずの一条天皇の慟哭!

「春はあけぼの」に悲しい背景を匂わされ、いまから泣きそう。

みちまひの吾、二人の抱擁にムムッとなりながらも、松下洸平さん登場とそのなんだかアンニュイな表情に浮き立つのであった!スカーレットから好きやねん!

 

という、情緒が忙しい数十秒でありましたね!!

 

今週もすごかった!話しの組み立てがうますぎる!ありがとう!おやすみなさい!