夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

24026 M.V.クレイヴン「グレイラットの殺人」 感想

700ページがそんなに長くなく感じる。

売春宿で殺されたサミット関係者の男。テロを警戒する政府はポーに捜査を命じる。ポーは3年前の強盗殺人事件との関連を疑い……

ワシントン・ポー部長刑事のシリーズこれで4作目。

相変わらずおもしろかったです。途中で犯人を当てたけどそれだけでは終わらなかったのも良かった。読んでいる間に「そんな知識がその人にあるんだあ」くらい思っていたのですが、そういう読者の疑問点にもちゃんと答えをくれる周到さ。好きですわ。

 

読んでいる間のメモ書きはThreadsの読書垢に書いているのですが、スレッドで事件の核心に触れているので注意。

www.threads.net

シリーズを通してポーのプライベートにある問題も徐々に進行しているのも見どころなんですが、そこもちゃんと動きがありました。

そういうエピソードが架空の人物であるポー部長刑事に血肉を与えるし、事件との関わり、考え方一つ一つもなんだか血が通っている人のようで、とんがっているし頑固な超アナログ人間だけど好もしい人なんですよね。

相棒のティリーがどんどん天才ぶりに拍車がかかるのが心配なレベルだけど、今回も浮世離れしていて可愛いところもふんだんにあり、大活躍でした。本当にポーの家族みたい。姪っ子って感じ。

 

事件自体は本当にありそうだし、イギリスが抱えている政治的な問題も、書かれてみれば確かにと思うしアメリカって本当…!って呆れる部分もあり、知れてよかった。

殺人事件がものすごい形で終わりましたが、大がかりで、なぜこの事件にポーが呼ばれたのかという疑問点までちゃんと答えがあって良かったです。

そのへんがよくわからない作品だってあるじゃないですか。たまたま居合わせた凄腕探偵とか。

 

次回作もすぐに発売とのことなので、いつ読もうか検討中。いつものことながら読みたい本が渋滞中です。今度は400ページ上下巻らしい。だんだん太くなっていく…

1〜3作目はポーとその周りの人たちが大きく絡んでしまう事件で、4作目はそうじゃなかったけど5作目は作中でも強烈な印象を残す病理学者エステル・ドイルが容疑者らしいので、そこからどう話が展開していくのか楽しみです。

今度も隠匿される真実はあるのか?とか。

さすがにしばらくはメロディ・リー捜査官は出ないだろうな。立ち回りに無駄がなくて邪魔でもなくて好きでした。