私が読むのにこれ以上ぴったりな作品ってなかなかないかもしれない。
韓国のRIDIBOOKS 2018年BL小説大賞受賞作がついに日本上陸。
2進法の世界で生きるコンピュータ言語ネイティブの「チュ・サンウ」の日常に、同じ大学でグラフィックデザインを学ぶ感覚で生きる先輩「チャン・ジェヨン」がウイルスのように侵入してきた。
サンウは人生を狂わすセマンティックエラー(文法的には正しくとも機能しないコンピュータ構文)を正すことができるのか……。
2進法のサンウの視点と総天然色のジェヨンの視点が織りなす、コミカルラブコメディ!
ここ数年韓国ドラマに馴染んでいる、ゲーム大好き、プログラミングかじってる、サンウの性格というか考え方を「変」と思えない自分の思考と嗜好と特性があると、この作品に非常にフィットするんですよ。
サンウのほうがかなり杓子定規だけど、私もルーティーンに拘りがあったり潔癖なところがある、合理的で感情に流されることが殆どなく、感情的な人を見て困惑するし理解できないし寄り添わないタイプなのでこの2進数男の生き様をちょっと他人のように思えない。
大学で相当変な人扱いをうけるのでなかなか痛々しい気もするけど(私はもうちょっと社会性があるはず…)細かいルーティーンを侵害されることの気持ち悪さや腹立たしさはわかるぞと、おそらく読者の半分以上が共感しない部分に共感し、サンウの生活を引っ掻き回しながら距離を縮めていくジェヨンが恋に落ちていくのを固唾をのんで見守っておりました…
韓国ドラマをよく見ているので話に出てくる韓国独特の上下関係の徹底しているところや呼び方も注釈があっても読まなくてもよく、プログラミング用語も全部わかるしゲーム用語も全部わかるのでなにも突っかかることなく楽しめる。なんならちゃんと訳された言葉を「これ韓国語だったらこう言ってる」とか、外来語が韓国訛りで頭に入ってきたりするのが楽しい。これを読むためにいままでドラマを見ていたのかもしれんと思うほど楽しい。
ある種生きづらさを抱えている割にあまりに周りに興味がないからうまく折り合いがついている(この辺がものすごく共感するところ)、わりと人の心がなくてロボットのようなサンウが徐々にジェヨンに惹かれていくけれどこれがあくまで性的なものであって情緒的とか愛情とかは自覚がない様子が見て取れるからサンウに恋しているジェヨンもそこをわかった上で関係性を築こうとしているのが、恋愛上手で熟れているらしいのにいじらしい。当て馬の女の子をものすごく牽制するところとか面白かったなあ。
章立てが2進数と光の三原色と突然のフランス語なんですが、私はフラ語も齧ってるのでマジでこの作品、私にやさしいなと思ってしまった瞬間でしたね。
ものすごい波風が立つことはないのですが、ジェヨンが留学することが決まっていて時限的であったり、サンウのキャラクターが独特すぎてある意味ずっとすれ違いっぱなしみたいなところがあるのでその辺に引き込まれる要素があります。
2巻で完結で、分冊版では完結しているみたいですが来月まとめて発売されるらしい。
別に追加の小冊子がつくとかないのでそんなん先が気になれば分冊版を買いますよねえ…
ここからが続きです。
ここで完結。
私のような好条件そろってる読者じゃなくても二人の関係の行方は気になること請け合いだから、BLが好きなら読めばいいじゃんて思ってます。
どうぞどうぞ。
しかし…サンウが散々変人扱いを受けるので、読んでる序盤で「わーい、わたしそっくりー!」とニコニコしていたのがだんだん萎んでいったな…まあ、親友とお婿という理解者がいるからいいか!!
とっとと分冊版で買うので続きが楽しみデース!