夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

金曜BLトーク 「セマンティックエラー」にドハマり 今週の「人渣反派自救系統」(分冊版4話)

この一週間、漫画もろくに読まずずーっとこちらを再読していました。

1回目を読み終わったときはどちらかと言うと私的な感想でふわっと済ませたけど、読み返すと私的な目線からは徐々に離れてごくごく普通のBL好きとしてしみじみと「この作品、超おもしろいな!?」と思うようになるんですよ。

 

主人公の受けのほう、チュ・サンウは人間性が乏しく社会性がなく、効率と合理的重視で、自分の決めたルール通りにルーティーンをこなすことを良しとする知能が高い大学生。本当に人の心がない。共感力なんてあるわけない、ある程度経験則から想像がつくことがあったり、常識的な見地から類推はできるかもしれないけど大概間違えている。他人に全然興味がないので人の顔と名前を覚えない。障害や病気じゃなくただ自分に必要がないから覚えない、それすごく羨ましい。覚えなくて良いことまでどうしても覚えてしまう自分にとっては都合よく不要なものは覚えず逆に厄介事が起こりかねないほうがいい。

 

そんな彼に惹かれたもののまるで覚えられずに二人の間にトラブルだけが起こり、それをきっかけにサンウのATフィールド(伝われ)に爪痕を残すべく行動に移した2歳先輩のチャン・ジェヨンが攻めの方ね。

だんだん好きな子を構いたいような感覚で距離を詰めていくジェヨン、逃げようとしても逃げられず逆にいなくなれば物足らなくなってくるサンウと人物造形と物語の組み立て方が非常にうまい。

 

ぶっちゃけサンウは発達障害ではと読み手の私は思うのだけど、そこは言及されず、あくまで個性として四角四面で共感力がない男に恋してしまったチャン・ジェヨンがサンウの個性を深く理解し、受容し、衝突しながらもサンウに尽くしていくのですが、このチャン・ジェヨンが大学で一番の美貌で実はスパダリの要素をふんだんに持つのも重要なポイントでしょう。

 

サンウの性格が特殊だからしょっちゅう衝突していてよく読んでないと気づかないところもあるけど、だいたいジェヨンがサンウに甘い。

サンウは元々ノンケというか一応付き合った女性はいるけれど誰のことも愛したことなんて全然ないのにジェヨンに振り回されて徐々にジェヨンに性的魅力を感じるようになってしまい、性欲を満たすため(恋の自覚ナシ)ジェヨンと関係を持とうとするが、読者の目で見ると自覚がないだけで恋してる。でも自覚がないだけに近々留学の予定があるジェヨンがいなくなったら性欲を紛らわせる代わりを探せば良いと堂々と相手にも言っちゃう無神経男なので関係が拗れる拗れる。

 

その拗れっぷりと成り行きが面白くて大変で、ズブズブとハマるのでした。

よく出来たラブコメで、本当にあってもおかしくない関係性だけに後日談もリアルな感じがします。

「美しい彼」も美しい人が心底惚れてしまう相手がど変人だったのだけど、美人と変人っていい化学反応が起こるものなのかしら。

 

二人の視点それぞれで恋の行方が語られ、中盤でサンウと後々添い遂げたいと思っている後輩女子と対決するジェヨンという面白い展開が後輩女子目線で描かれる回があるのだけど、ここでジェヨンがどれだけサンウのことが大好きなのかが後輩女子を通してわかっちゃって、構成がいいなあと感嘆したものでした。ここの回、本当に好き。

 

などとまとまりなく気に入ったところを綴るだけになっちゃったけどあと何周かしそうだな…小説って読むのに時間が掛かるからコスパがいいわと情緒のないことを思ってしまったりだ。

このくらい面白くて読ませるBL小説がその辺にごろごろあればいいんだけどな(さらに情緒のないことを思ってしまう)またなにか、面白そうなものを探してみましょう…

 

ということで、「美しい彼」とか好きだったらおすすめですね。韓国ドラマとかで韓国慣れしていたらさらにおすすめ。微妙に人間関係の価値観とかちがうからなあ。先輩後輩の上下関係がキツい。私も先輩と言ってもいくつも年が違うわけではなくて自分より突出してなにかが出来るわけでもないのに年齢が上なだけで偉そうにされるのが大嫌いと思いがちなんですが、韓国のほうがそれが許されない厳しさがあるんじゃないかと感じます。

そんな環境なのでサンウは随分生きづらいのではと慮るも、彼は彼の独自の自己肯定感で持って全然困ってないの。そしてとてつもなく困らせてめちゃくちゃにしてやったのがジェヨンという…

 

kindle unlimitedで読んであと1週間ほどでkindle unlimitedの契約が切れるのですが、面白かったので買おうかなあと思っています。2巻にあたる部分は分冊で買っちゃったしね。

 

さーて、今週の「人渣反派自救系統」分冊版4話は???

 

メタメタのコメディタッチが冴え渡る、師尊のツッコミがキレッキレのラッキースケベ回でしたね。らんま1/2のくだりは原書でもちゃんとありますからね。

ラッキースケベの度合いが、なんか古き良きジャンプのちょっとエッチなギャグ漫画ノリなんですよね…そこも含めてずっと笑いながら読んでしまいました。

これ続きどうだったっけ…

 

まあいいや、また来週!