夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

24020 ハーラン・コーベン「THE MATCH」 感想

ちょっと前に読んだ作品の続編をとっとと読みました。

タイトルと装画の趣向が二作でぜんぜん違うので、これだけで続編だとわかりにくくない??

leira3mitz37.hatenablog.com

 幼い頃に独り森で育った過去を持つ天才調査員ワイルド。コスタリカでの新生活を終えてアメリカに帰国した彼は、DNA鑑定サイトを使い生みの親を捜していた。亡き親友の母・豪腕弁護士ヘスターの協力を得て、父親と思われる男を捜し出したものの、母親が誰なのか、なぜ自分が森に捨てられたのかはわからないままだった。そんななかで母方の血縁者と思しき男PBからの4か月前のメールに気づいたワイルドは、彼と連絡を取ろうとする。PBはリアリティ番組のスターだったが、あることが原因で大炎上し、行方がわからなくなっていた。PBの周辺調査を進めるワイルドだが、やがて思わぬ事件に巻き込まれてしまう…。
 一度読み出したらページをめくる手が止まらない!世界的ヒットメーカー、ハーラン・コーベンが放つ、傑作ミステリ『森から来た少年』待望の続編

前作の事件は絡まないものの、主人公ワイルドの生まれの秘密に迫るので前作を読んでいたほうが登場人物の関係性など把握できていてわかりやすいです。すぐにこちらに取り掛かってよかった。ワイルドを取り巻く登場人物を忘れないうちに読んだほうがいい。女性の協力者が強いこと強いこと。弁護士は友達とか身内にいたほうがいいと思ってしまう。

 

読者にしかわからない事実があったり、すごく大事なところで場面が切り替わったり読み手を引き付ける描き方が巧みで、ぐいぐい引き込まれるのは前作より強いかも。思いも寄らない展開が続き、ヒヤヒヤすることも多い。

リアリティ番組の演出の影響やSNSでの誹謗中傷が取り上げられているので、日本でも起こった痛ましい事件に似ているし、それに寄せた某漫画を思い出したり。

そこに潜む承認欲求を想像すると、もしかして事件の真実は…と自分が推理したことがあたったのでそこが気持ちよかったな。そういう「犯人当て」みたいな要素もあります。

 

ワイルドはただ自分の血縁者を探したかっただけなのに思いも寄らない展開になっていき、事件やトラブルがじゃんじゃん起こるのでこの物語はどう収束するんだろう?と残りページの少なさに不安を感じながらも読み進めたら、まあ綺麗に片付いたので驚きました。

 

終盤の「説明」に具体性が欠けてるのはそういう必要に迫られているから、というのがなんともうまいですよね。なんか思いつかなかったのかも!って思ったり、具体的に書くと状況の説得力が薄まるという理由があるから、とも思える。でも納得はできる。

 

その辺を経ても最後まで面白く読めました。

このシリーズはこれで終わりなのかな、ヘスターの活躍をもっと見たかった。過去作にいくつか登場しているようなのでまた読みます。

ハーラン・コーベンの書き方、キャラクターの描き方と私の趣味の相性がいいみたい。マイロン・ボライターシリーズも読みましょう…