夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

アデル、ブルーは熱い色

 評判は聞いていたんだけどどんな映画か全く知らずに見ようとしたらR-18でLGBTを扱っていると知ってよしよしよし!って見ている。

アデル、ブルーは熱い色 [DVD]

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高校生のアデルは、交差点ですれ違ったブルーの髪の女性エマと視線を交わした瞬間、心を奪われた。偶然にもバーで再会を果たし、知的でミステリアスなエマにますます魅了されていく。週末、ふたりきりでデートに出かけ、見つめ合い、キスを交わし、そして互いを求めあった。初めて知る愛の歓び。情熱と刺激に包まれた運命的な愛に、アデルは身も心ものめりこんでいく……。
【R-18】

 

レア・セドゥがエマね。お互い一目惚れの瞬間がそれとわかる出だしの授業の前置きと目線の絡み合いで引き込まれてしまう。男とセックスしてもなんだか満たされず、悲しくなっているアデルが女友達とのキスで自分のセクシュアリティをすこし自覚し、そこからのエマとの再会ってロマンティック。

学校の友達(女子たち)がセックスするのしないのばっか話ししていて下世話なおばさんみたいで本当に17歳のリセエンヌかよと思いつつも日本もぶっちゃければそんなにかわらないかと思ったり。そういう人に限ってブサイクで性格が良くないのよね。*1

アデルが文系女子なので文学や哲学の話がたくさん引用されて字幕追うのが楽しい。たまに社会運動に参加したりしているところも海外の学生さんはええのうと思うのであった。授業もすごく踏み込んで学生さんの意見を聞いていて真剣に勉強させている感じが良い。アデルも学業に真剣で打ち込んでいる感じがするとこ好き。アデルが合格するしないの話をしていたのはバカロレアのことだろうな、というのが分かる程度にはおフランスが好きザンス。

 

で、アデルとエマはすんごくセックスするんですけど。レア・セドゥのセックスは豪快です。体が女性同士のセックスもまた綺麗だなーって。気持ちよさそうならなんでも綺麗に見えるのだけど。*2

アデルの家のご飯が美味しそう。お互いの両親と会食してそのあとセックスとかすごく愛し合っていて良いなあと思う瞬間。キスも大変生々しく、そして楽しそうなのでええのう、と思って見ていました。ネトフリは無修正でアデルが剃毛をしています。

アデルも料理上手という設定がいい。ボロネーゼ美味しそう。時間の経過がエマの髪の色とアデルの環境の変化でしか気づけないというところがさすがフランス映画…

 

思うんですけど、学生のうちから非英語圏の文化的な映画をたくさん見ておけばいいんですよね。ものの考え方に広がりができるというか。違う文化、空気の流れの違いとか、言葉のかけ方の違いとか知るといいのに。

私は学生の頃に年間500本くらい映画を見ていて、そのうちの1割位が非英語圏の作品で、母親は英語しか聞き取れないから、聞き取れない言語の映画は見たがらなかったのでろくちゃんと見ることが多かった。親友は親友で別の機会に同じ映画を見ていたり。

性格が良くなったとか悪くなったとかじゃなくて、見識が広くなるのは広くならないよりはいいような。

 

日常的なシーンも文化的な会話がかわされるその会話が面白い。フランス映画なのにアメリカへのあこがれを隠していないのが意外で時代が変わったのかと思ったら監督がチュニジア系の人なのでそういうこだわりとかがないのかも。

 

よくある恋愛模様で、大きな物語の変転がないし日常風景の描写が多いにもかかわらず、長さをあまり感じない映画だった。レア・セドゥのちょっと不器用な不良少年みたいなところが魅力的だったなー。主人公のアデルはいつも口が開いている子なのだけど、ソフィー・マルソーを思い出してしまった。半開きの口ってアンニュイに見えるけど人によってはすごくお馬鹿に見えるので注意が必要よね。そのあどけない感じの雰囲気からか、教師になってからも学生っぽさがあまり抜けない感じがあり、寂しくて愚かな行為をしてもそういうことしそうな雰囲気がありました。

 

思ったより素敵な映画だったな。なにを見たくて見るか、によるけれど。夏のなんもない日曜日にクーラーのかかった部屋で見るにはちょうどいい映画です。

*1:私が高校生の時はそこまで赤裸々に話す相手はいなかったけれど、出席番号順で前後の席だった女の子が、たかがそれだけの関係の私に中学生ですでに非処女だと教えてくれたの思い出した。偏差値高いいい学校だったんだけど、進んでる子は進んでたね…確かに色っぽくて優しい子でした。

*2:何度だって書くけど今まで見た映画で一番美しいセックスをしているのは「ライブ・フレッシュ」

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 でした