夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

ペドロ・アルモドバル「神経衰弱ぎりぎりの女たち」(映画)何回目かの視聴

U-NEXTで視聴。10代の頃から何度も見ているけれど、けっこうくだらない内容なので細かい展開は忘れがち。

最後は優しい気持ちになるのがペドロ・アルモドバルの映画の特徴なのかもしれない。そうでない作品もあるけど、ちょっと切なさを抱えて優しい気持ちになる。

 

この作品も、割と普通であろうとする日本人の目線で見たらキレッキレでおっかないのですが、どうしようもないプレイボーイのおっさんに振り回されていた女性たちの愛憎がこんがらがって混乱するけれど最後には優しく終わるんですよ。

映画だけど演劇を見ているような気になるところがある。

 

初めて見たときから男がくだらなくてそれにブチ切れそうな女性たちの狂乱ぶりをまったく共感せずに見ていたんですけど、そういう男性もいますよね(というかイヴァンがうちの父になんとなく似てる)という気持ちを持ちながらなんとも言えず母と見ていて、また母がブチ切れて暴れるルチアになんだか似ていてどうしようもなさを抱えつつも、最後はペパの優しい笑顔と落ち着きに癒やされるんですよね。

 

どうしようもない恋愛に行き詰まったら見れば良いかも。私は行き詰まってはいないけど、清濁併せ呑んですべてを許すというか、優しく放っておくような気持ちになれる気がします。途中のむちゃくちゃな面白さでスッキリしたあとでね。

 

同じ理由で「アタメ」も「セクシリア」も好きなんですよね。「バチ当たり修道院の最期」だけ未だに見られてないのでなんとかして見たいなあ。

「KIKA」も「ハイヒール」も好き。一番好きなのは「オール・アバウト・マイ・マザー」です。

すごく辛くて涙が出ないほど苦しかったときにあの映画を見て随分楽になりました。あれにも超くだらない男が出てきたなあ…

「ライブ・フレッシュ」は私がいままでに見た映画でのセックス描写で一番好きです。とても美しいんです。

 

ということで、かなり前の映画ですけど、古さが異国情緒でかなり和らいでいるので誰かに見続けてほしいなあと思って記録しておきます。本当にどうでもいいお話なんですけど、すごく強烈で美しい一瞬がいろいろあるんですよね。