夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

ハル・ハートリー「愛・アマチュア」感想

リアルタイムに見損なって幾星霜、ずーっと頭に引っかかっていた作品をやっと見られました。

ニューヨークの路地で倒れていた記憶を失った男トーマスは、元修道尼のポルノ作家イザベラに保護される。
その頃、トーマスの妻ソフィアは、犯罪組織に関わる残虐な夫を窓から突き落としたことをトーマスの経理エドワードに語っていた…。

リアルタイムに見ていたらまた感想が違ってたと思いますが、変な映画やなあ…というのが感想です。

ちょっとヌーベルバーグの雰囲気もありながら、でも英語だし、そこかしこがアメリカだし、でも主役はイザベル・ユペールだわと。作風がチープなんだけど、大好きなグランドセントラル駅が見られたのは良かった。

ヨーロッパとアメリカがごたまぜになってあの頃好かれていた作風なんだろうなという感じ。

 

それぞれが悪手を選んでごちゃごちゃした挙げ句のラストになんとも言えないんですが、暴力のシーンがダバダバしていてそこがえらくリアルで笑ってしまったり。

スタイリッシュではないんですよね。みんな拳銃に慣れてない感じもよい。

エドワードがオランダ人に追い詰められるシーンなんか本当にダバダバしてた。アンガールズ田中さんを思い出してしまった…

 

イザベル・ユペールが元修道女の役なので人に対して慈悲があるのが、無味な顔立ちと表情からちょっとギャップがあるのがよくて逆に変な安心感がありました。実際にこういう人に助けられるなら信用しちゃうだろうなあ、と。だからわけがわからないながらも頼っちゃうソフィア(子供の頃のナタリー・ポートマンみたいなボブヘアがとても美しい。体の形もすごく好み)の気持ちもちょっとわかる。

 

漸くなんだか良さがわかってきたかも、ってところであのどうしようもないラストだったので、あらあら…という気持ちで見終わりました。

 

見ても見なくてもきっと私の人生は変わらないけれど、「あれ見たいのにずっと見られてないままデータ配信もされず風化されるのかなあ」と気になっていたものが見られてよかったです。(データ配信されています。U-NEXTで)