夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

23007 23008 墨香銅臭「魔道祖師 3」「魔道祖師 4」ネタバレあり 感想

あっという間に読むんですよねえ。

3巻は凄惨で切ない過去が強め特に過去で魏無羨と藍忘機が離れ離れになる瞬間とか泣き所も多くてしみじみ読まされていたんですが、4巻でだいぶ記憶が吹っ飛びましたね。

 

そういう体験をされた方、他にいらっしゃらないかしら。

 

直接台詞を口にしなくても藍忘機がどれだけ辛くて悲しかったかがよく分かる。そんな気持ちを引きずって4巻に進んだら…魏無羨の奔放なキャラの奔放な発言によって重めの展開がとんでもねーものに。

 

自然の成り行きで魏無羨は藍忘機への気持ちを徐々に自覚していくんだけど藍忘機が再会からずっと好意的でそばにいるにしてもどういう考えでそうしてるのか測りかねているところでずっと巻き込まれている事件もいよいよ佳境に。

 

しかし魏無羨は事件そのものよりどちらかと言うと藍忘機の気持ちのほうが気になるということで藍忘機の酒癖を利用して彼の本心を聞き出そうとするんだけどそれがやっぱり恋してるから聞き出すのも怖くなっちゃうということでただただめちゃくちゃイチャイチャしてる、でもいまその瞬間でも藍忘機のお兄さん藍曦臣はわりとピンチに陥ってるんですけど。

 

その後酒で酔ってる人にとんでもねーことをやってしまったということで気まずくなった魏無羨が一人ででかけて、ワケアリの義理の甥っ子金陵と藍曦臣のピンチの場面に出くわして一緒にピンチに陥るんだけど、どんなにピンチであっても私は頭の隅っこで「この人さっきまであなたの弟とめちゃくちゃエッチなことをしてた」というのがチラつくんですよ。

 

藍忘機が魏無羨と一緒に行動してない、一人で歩いているところだったって聴いただけで何かがあったとわかっちゃうお兄ちゃんがすごいんですが、口数が少なく表情も殆どない藍忘機の代わりに彼の気持ち、魏無羨の前世の晩年になにがあったのかを教えてくれるんですよ。

もうそこに金陵がいようが真犯人の金光瑶とその下っ端たちがいようがお構いなしですよ。性別が同じだとかどうとかもういいんですよ。藍忘機がどれだけ魏無羨を想っていたかが伝わって読み手の私は「だよね!だよね!」と萌えのボルテージが上がりつつも、そこで魏無羨が藍忘機の気持ちを踏みにじっていたことを自覚するところで、いつも慮りかたがわりと空振っているんだけど想っている気持ちはすごくあるというのをこっちに感じさせるのが上手だなとしみじみ感じながらも「でもさっきめっちゃエッチなことをしてましたよね」とツッコミ入れているんですよね。

 

そこからピンチクライマックスなときに藍忘機が助けに来てくれるんだけどそこでちゃんとさっきエッチなことをしてましたというのを周り全員に知らしめてしまう魏無羨のあのキャラクターとあの言葉選びよ。そこから本当にお話の方向性がどれだけ重くても魏無羨と藍忘機はもう相思相愛バカップル化しちゃうからちょいちょい面白くなっちゃうんですよね。

藍忘機よかったね!報われたね!って思うばかりながら、居合わせた藍曦臣と金陵の気持ちを思うといたたまれないところがありました。

 

お話は綺麗に収束し、こいつ怪しいなと思っていた聶懐柔はあのキャラだけに引き金を引いた「かも」しれない、で済ませたのも想像の余地がある程度なのもそのへんのさじ加減がうまかったな。魏無羨の根底にある諦念と疲労感とかが英雄やりすぎて死んじゃって生き返った結果なのが切ないながら、今度は長生きしてくれ…っておもう。

 

終盤の展開はBLBLしていて藍忘機すげえな(すごいですよね!?)、ってなるんですが、番外編でもこのカップルこそ「このあとめちゃくちゃセックスした」ってのがピッタリハマるなと思うような話からそこまでやるかと慄くような淫夢ネタまで。わかったのはたぶん藍忘機と魏無羨はお互い一目惚れで魏無羨はずーっと自覚がないまま藍忘機が大好きだったってことでした。

魏無羨は他人の体に蘇ったからもともとの魏無羨の体とは違うんだけどそこは別にいいんだな、って思う部分も淫夢によりちょっと解決(?)溜飲を下げる(?)のもよし。

あの番外編だけヤマもオチもイミもなかったな。

 

あんまり触れなかったけれど10代の弟子たちが本当に魅力的で、大きな秘密を持っている藍思追は序盤からいい子で愛されキャラなのが、終盤でその理由がわかる、そのエピソードひとつひとつにウルウルしてました。いい子に育ったねえ…温寧との関係ややりとりが可愛いですよね。

金陵も複雑ながら魅力的で、弟子たちが揃うとわちゃわちゃしていて楽しそうだったな。

 

丁寧でちゃんとしてBLの要素もそういうのが好きな人が満足するレベルじゃないのかな、私は夜中に読んで寝られなくなってしまったけども。藍忘機すげえ!って。

面白かったし、いいシーンは全部しおりで留めたので(電子書籍はそういうところが便利)都度読み返したいと思います。

たぶんこの先生の次の作品も近々読むんじゃないかな。いま活動されていないのが残念ですね。久々に寝食を忘れて読んだので、体重が2,5kg落ちました。