親友は劇場へ見に行きいたく感銘をうけ、私はブレードランナーと劇場版おっさんずラブを選んでしまって今日まで見てませんでした。
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親友やお婿にも語ったことだけど、私にはこのブログでも時々登場するホラー映画とネタバレが大好きな母親がいます。子供のお宮参りに「俺たちに明日はない」のボニーのコスプレをするような人です。片手で私を抱っこしてカメラを藪睨みしている写真が残っているのですが、かっこいいやらこわいやらとんちきやらでなんともいえない。
その母が、まだ小学校に上がらない娘に何度となく話していたのが「シャロン・テート事件」でした。なぜ、実際あった残酷でショッキングな事件を幼少の娘に語るのか、母よ。どんな殺され方をされたかもわりと克明に。なんでやねん。*1
お婿はうちの母をよく知っているので「やりかねん…」と。
親友もうちの母をよく知っているのでドン引きでした。
だから同年代のよほどの猟奇殺人マニアでないかぎりはそんなに知らないシャロン・テート事件をよく知る私が劇場で見たがらないのもさもありなんでしょ。
そこを押して親友が「れーちゃんも劇場に見に行ったほうがいいよ」と助言してくれていたのですが、映画ではマーゴット・ロビーが華々しく美しく演じるのを何かしらの媒体で見かける度に胸が痛んでいたので今日まで…引き伸ばしたのだけど。
やっぱり劇場で見ておけばよかった。でもその理由を親友が教えてしまえばそれはネタバレになるからそれしか言えないわな。
泣き虫ディカプと飄々としつつ得体が知れないブラピの怪演とほとんど接触なく美しく知的で可愛らしいマーゴット・ロビー。ラスト5分がすごいと言われていたけど何が起こるねんと不穏な気分で、とにかく美しいマーゴットがまばゆいけどタランティーノ本当に美人を美しく撮るよね、足のきれいな人を足のきれいなように撮るよね、と感心したり。ヒッピーの女の子たちの生々しい若さと猥雑さの撮り方も見事。その中に天才ダコタ・ファニングがいて普段の可愛らしさが鳴りを潜めているのにびっくりしたり。
昔からクエンティン・タランティーノ監督作品(脚本のみのものも)は何が起こるのかわからないのが魅力でしたが、この作品もそうで、あるべきラストに向かっているのだろうと思っていたらそこに架空の俳優とその仲良しスタントマンがいるというだけで違う世界のお話したり得たのだと最後の最後に気付かされたのでした。そしてこれは本来はこういう展開であってほしかったという願望というか、祈りというか。
自分の出ている映画で自分がドジをする演技を笑う観客の反応を見て喜ぶような可愛らしい人が身ごもっていた赤ちゃんとともに残酷な殺され方をするなんて、この世界ではありえない。自分の行く末を案じて不安で泣いちゃう俳優が自分の家を襲撃に来た謎のヒッピーを火炎放射器で成敗できる世界では彼女たちは死なないなんて。
ブラピとわんことディカプとイタリア妻にコテンパン(死語?)にされた3人は、タランティーノがそうしたかったのかもしれない。デス・プルーフのラストシーンみたいなものだ。あれもすっごくすっごくスッキリする。今回カート・ラッセルはまともな役だったけどな。
本当に劇場で見ておけばよかった。もう何十年もショックを受けっぱなしだった私は劇場で救われたかもしれない。いま家で救われているけれど。
あと母親から聞かされてあんまり調べる気にもなれなかったんだけど、チャールズ・マンソンは自分では手を下してなかったんですね。ヘルター・スケルターを初めて聴いたときに非常に不穏なものを感じで、調べたら彼の好きな曲だったとかで。私も好きですけどね、ビートルズの曲のなかでも一番かっこいいんじゃない?(個人の見解です)
チャールズ・マンソンの顔も吐き気がするほど嫌いだし、なるべく耳にも目にもいれないように努めていたところがありました。
でも子供の頃から知っている事件に関する映画でこれほど気持ちが鎮まるとは思わなかった。起こってしまった現実は変わらないんだけどな。
音楽は相変わらずどれもかっこいい。終盤とんでもないけどBGVでずっと流しておきたい気もする。
子供と犬に優しい(抵抗してバチバチ頭を殴られていたけどあの犬種はそのくらいじゃひるまないよな…)作品でした。ブラピが若い娘を車に乗せて誘われても年齢を確認して下手な手を打たないようにするのもまた安心感というか…これがディカプのスタントマンという仕事に対する責任感にもよるものだったとしたら、これをお手本にするべき俳優は日本にもごろごろいるんじゃない?
でもイングロリアス・バスターズでは序盤に子供がひどい殺され方したよね?そこで見るのやめたんだけど。あれを乗り越えて見たい気はする。