夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

「ピノキオ」(韓国ドラマ)感想(ネタバレあり)

任天堂信者だから割とガチ目に「キノピオ」と書くところだった…

 

幼い頃に、火災事故と過熱する報道がきっかけで家族を失ったハミョン(イ・ジョンソク)は、
海で助けてくれたゴンピルの養子となりダルポと名前を変えて、生活することになる。
ゴンピルの孫で嘘をつくとしゃっくりがでてしまう“ピノキオ症候群"のイナ(パク・シネ)
と共に暮らすダルポは、 イナの母が当時報道を歪曲したチャオクだと知りつつも、イナを好きになっていく。
そしてイナとチャオクがきっかけで、放送記者になることに。
過去と直面するダルポ、母に利用される形で記者の夢が叶ったイナ、
イナに好意をもつボムジョ(キム・ヨングァン)、
ハミョンが自分のことを好きだと勘違いしてしまったユレ(イ・ユビ)、
それぞれが過酷な報道の世界へ飛び込む。成長していく4人が迎える結末とは?
そして恋の行方はーー! ?

 

 

 

イ・ジョンソクさんのドラマはこれで戦時中のやつと一番最新の作品以外全部見たことになったかも(映画は見てない)。あー惜しい。全部おもしろかった!

こちらは「君の声が聞こえる」のあとの作品で10年前かな、報道機関が舞台のお話だから令和おじさんの名前が一瞬出たり。そういう時期だったのかと思い返したり。

主人公のスペックの高さ、子供の頃に襲った悲劇、そのあとの顛末からピノキオ(作中の架空の特性で嘘をついたり納得いかない事象に出くわすとしゃっくりが止まらなくなる)であるイナと叔父と姪の関係になり、一緒に育ってふたりとも記者になるというのがとても丁寧に描かれ、ほとんどすべてのことが無駄でなく、様々な要素がラストにつながっていくのが本当に気持ちがいい。

 

主人公の恨みや悲しみ、憎しみや試される良心それらに折り合いをつけていくことがどう物語を変えていくのか。ずっと先が読めずハラハラしながら見守ってしまいました。

 

まーなによりも、キム・ヘスクさんがただのマザコンの財閥のおもしろい母で終わるわけがなかったな。息子を溺愛する母親にして巨大百貨店の会長の役で、可愛らしく優しい雰囲気がありながらも狡猾でサイコパスな部分も併せ持つ役を見事に演じていました。まさかラスボスになるとは序盤はまったく思わなかった…

イナの母親役の人も演技がうまくてキャラクター設定もよかったな。めちゃくちゃひどい記者なんだけど、実力はあるというかありすぎるがゆえにこういう人になってしまったという背景が見えるような。終盤の敗北を見せたときの力のない後ろ姿、その後のふるまいから見せる「倒れるときは前のめり」みたいな雰囲気、見事な演技だったなあ。

 

主人公たちの頑張りや真摯な態度も見る価値ありで、彼らを囲む家族たちが魅力的で特におじいちゃんがよかった。パク・ヘリョン作品でよくいる愛すべき年長者だった。

キム・ヘスクさんは他の作品で愛すべき年長者役を演じていたのだけど(一作品ではひどい亡くなり方をしたのも印象的…)、こちらでは半分おっかなかったなー。

ザコンの財閥の御曹司が溺愛されるだけある心が優しくて育ちの良さ丸出しのいい人だったのが魅力。

興味深いのが、その御曹司と主人公ハミョンのお兄さんの二人が主役のイ・ジョンソクさんより背が高いこと。イ・ジョンソクさんもかなり長身なのにそれより大きいからイ・ジョンソクさんがそこまで特別に見えないって韓国の俳優さんの層の厚さを感じました。ふたりとも魅力のあるイケメンだったしな…

 

パク・シネちゃんはどの作品に出ても自然体でしっくりハマるからすごい。あまり恵まれない役ばかりのイメージがあるけれども。誠実な役が似合うんですよね。

 

久々に夢中になって見たけど本当によく出来た、よく考えられた作品だったなあ。韓国ドラマは本当に面白い。細かいところまで広げられた人間関係の機微が全部無駄じゃないのが素晴らしかった。高校時代に起こったことも後で重要になってくるとかね。

ムカつくキャラがムカつくだけでは終わらせないのもよい。本当、良作です。

 

パク・ヘリョンさんは最近はネトフリ限定のドラマを手掛けているはずなのでそのうちまたネトフリを契約して見ようかなとは思っています。

イ・ジョンソクさんの最新の作品はディズニープラス限定なんですよね。それ以後はなにか頓挫したとか?

イ・ジョンソクさんのドラマに外れはないのでなるべく惜しまず見たいものですが、惜しんで見てない韓国ドラマが山程あるので、それらもグイグイ見ていきたいですね。とりあえず近々「私の夫と結婚して」は見たいわー!