アマプラで見られるので、原作を読んで「あれ脚色だったの?」ってびっくりしたのもあり、すごく久々に視聴しました。主演:石坂浩二、島田陽子、あおい輝彦、高峰三枝子 ほかに注目するべき配役は地井武男、加藤武、坂口良子、三谷昇、小林昭二(敬称略)
エヴァンゲリオンは犬神家リスペクトだったのか、と新発見しつつそういえばシンジくんとアスカのシンクロの回も犬神家だったなと思いだした。
私が中学生の頃に何度も読んだ上條淳士先生の漫画「To-y」で主人公の藤井冬威が信州の旧家の生まれで、従姉妹のアイドル日出郎がそこの跡継ぎでお母さんの髪型が松子そのままで、一族の集まりで全員がスケキヨのマスクを被って「あ”お”ぬ”ま”し”す”ま”た”!!」って云っているシーンがあってすごく好きなんだけど、だいたい私がこの映画をスケキヨの正体が静馬ってのをいつまでも引きずっているのはこの漫画のせいだよねと改めて思い返したりもした。
To-y 30th AnniversaryEdition 1 (小学館クリエイティブ単行本)
- 作者: 上條淳士
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2015/12/21
- メディア: 単行本
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とんでもねー美女と描写された珠世を演じる島田陽子の透明感のある美貌もいいんだけど、私が注目してしまうのはやはり高峰三枝子。そしてお話の緩急で言うところの「緩」担当の存在だった坂口良子。
昭和の大女優の風格無くしては松子は演じられないのかもな。目先の欲に突き動かされただけとは言い難い、それまでの生き様や子供への思いが滲んでいて原作の雰囲気より重たく渋く、美しかったです。
坂口良子はむっちゃくちゃ可愛かった…いてもいなくてもいい存在のはずが、マスコット的な役割として、気持ち悪い殺人だらけの作品に明るさを与えているのでした。大好きな女優さんなので見ていて嬉しい。
そして40年前の石坂浩二!若い頃の石坂浩二はわりと見ているつもりだったのだけど、改めて見たらトニー・レオンに似たところがあって非常に好み。フケ散らしていても清潔感あるんですけど。品があるんですけど。不潔な感じがする、謎を解く以外あんまり美点がない感じの金田一さんとはちょっとちがう好青年の雰囲気がバリバリだったんだけど。
原作の方は昨日のブログで指摘したとおり、金田一耕助が謎をといた感じがあまりなく、事実が明るみになるところへちょいちょい「そういえばアレは?」ってツッコミを入れて事実をちょっと掘り下げて読者に伝えるって感じの役割だったので、「金田一あんまり謎を解いていない問題」を感じていたのだけど、映画の方では明るみになる事実を金田一がいろいろ調べて得て行って「よし!わかった!」でおなじみの加藤武(大好き!)や弁護士に教えたり、真犯人に指摘したりしていてなるほど名探偵らしい感じでした。手柄全部持っていった感じ。主役補正。
あとお琴の先生がちょっと違っていたり(岸田今日子が演じていたがあの程度だとなんじゃありゃ、もったいないと思うのであった)神主の軽はずみも抑えられていて大滝秀治さんが良識ある感じの神主さんになっていた。キャラとしての掘り下げがあんまりなかった。それじゃなくても2時間33分もあるんだから掘り下げるの無理ですよな。
昭和な感じがする演出はいろいろと不気味だったけれど特撮要素がある猟奇的な死体はけっこう作りが雑で、特に菊人形は怖いというより「雑ゥ!!」って印象だった。
地井武男が北の国から以降のイメージとは違って健康的な雰囲気があって原作より気さくな感じがあった。原作より気さくな感じは役者本人を反映させたのかもと、ご本人の人柄をろくに知らないながらも思ってしまったり。
昭和の邦画なのでポロリもあるのだけどその淫靡な感じ、子供の頃に「見てはいけないものを気まずい雰囲気の中見る」というのを味わったのが蘇りつつ、いまはこんなの本当になくなったなーって。
ところで、昨日からゲーマー的にざわついていたのが、ウィキペディアの「犬神家の一族(1976年の映画)」の出演俳優の欄。
警察官役に「宮本茂」そしてその名前に貼られたリンクが任天堂の神・宮本茂。
これが気になって見たというところもあったんだけど、結論をさっくり書いちゃうと同姓同名の別人でした。年齢的に出てもおかしくはないが(三ツ矢雄二さんが子役で出演されている)むしろなぜリンクを貼られているんだと気になるところ。リンクの生みの親だけに、宮本茂という名前があれば彼にリンクされるのか(うまいこと書いたつもり)
その警官役というのは、菊人形の下の方を見つけた子供が通報して駆けつけた警官だと思うのだけど、アラサーって感じの人でした。ほかの刑事役も一応みたけど宮本さんみたいな顔の人はおらず。
こんなことを任天堂に電話して問い合わせるのも申し訳ないしな…気になる人は映画をチェックしましょう。面白いよ。
でも私が強い印象を持った青沼静馬のあのシーンは、うろおぼえながらなんか違う気がするので、もしかしたら古谷一行版のほうを見たイメージなのかも?と思って調べたらスケキヨのマスクのイメージは市川崑版で間違いなかった。
肝心のスケキヨ。当時アイドルだったあおい輝彦が演じているのだけど、実は私はあおい輝彦のファンなので彼目当てに見たところもあったのだけど、見たあとの結論は「あおい輝彦はある程度年食ったほうが雰囲気あっていい」でした。
日テレの年末スペシャル時代劇「忠臣蔵」で赤埴源蔵役を演じていたのがとてもよかったのだ。そののちに水戸黄門で助さんを演じることになるんだけど、軽妙な色男が似合う。
犬神家のスケキヨは役柄的にもキョドっていて正解なんだけど、美男というより怖いお母さんと静馬相手にキョドっている雰囲気が強くて丸顔がかわいくて珠世さんがキュンとするよりいろいろ心配になる感じであった。
それにしても年末時代劇の忠臣蔵は良かったなあ。
大石内蔵助を助さんであり黄門様でもある里見浩太朗が演じ、その息子をあの頃はよかった坂上忍が演じていた。
そして清水一学を堀内正美さんが演じていてな…初めて見たんだけど「なにこの麗人!」って。
大河でよくイケメンを使って盛り上がっているけれど、年末時代劇もどれだけ美男に萌えるかってところがあったな。その次の年の白虎隊もだ。
そんな昭和の思い出も引っ張り出しながらも楽しめました。2時間33分と長時間の映画だし話も原作を昨日読んだから知っているのにぜんぜんダレずに見られました。ところどころで加藤武さんがいい味だしていたのと、重ね重ね、坂口良子さんがちょいちょい出ていたのが効いていた。