
- 作者: ヨハンテオリン,Johan Theorin,三角和代
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霧に包まれたエーランド島で、幼い少年が行方不明になった。それから二十数年後の秋、少年が事件当時に履いていた靴が、祖父の元船長イェルロフのもとに突然送られてくる。イェルロフは、自責の念を抱いて生きてきた次女で少年の母のユリアとともに、ふたたび孫を探しはじめる。長年の悲しみに正面から向き合おうと決めた二人を待つ真実とは?スウェーデン推理作家アカデミー賞、英国推理作家協会賞受賞の傑作ミステリ。
なぜ20年以上経ったいまになって物語が始まり、しかも当時にも疑われてもいい容疑者がいたのに(現在その人が疑われる方が不自然)老人ホームに入っているおじいちゃんが奮起して謎の究明に立ち上がるのか、しかもその容疑者、無理なくね?というのが相手がフィクションであるだけにツッコミを入れたくなるのだけど、そこを一個一個カバーしていくエピソード、セリフ、過去パートの存在という構成が巧みで気づいたらお話に入り込んでいて、ミステリを読むときに頭に浮かびがちな事件の究明に関する独自の推理や先読みを展開させてしまう。過疎化した夏だけのリゾート地に長く住む人たちの話だけにたんたんとしているのかと思ったら(イメージ的にアリステア・マクラウドみたいな)意外な展開でミステリらしさはそこかしこにあるし。
つまり面白いのであった。
過去パートの主役とも言える容疑者がもう、しょーもない奴なのだけど、こんなやつ日本以外にもいて犯罪を起こしうるのだと思うと国境や人種の違いに意味を感じなくなる。文化とか教育とか親のせいかもね。
子供を失った母親であるイェロフおじいちゃんの娘、ユリアがかなり悲惨なのだけど彼女が避けていた故郷への帰還が結果的に彼女の心にもたらすものがゆっくりしたテンポのお話にそっていて、この人のどんよりした暗さは疲れるけれど読み続けていてよかった。
イェロフおじいちゃんの行動力はリウマチと天候と老人ホームに収容されている身としていろいろ制約があり、作者がある程度の筋道を用意してそれを元におじいちゃんが事件を知っている人を追い詰めるのだけどおじいちゃんにしては冒険。頑張っている。その辺にスリルもありました。本人が云うように頭は衰えていない。
作品と自分との距離を感じつつも、作品についてあれこれ考えながら読むというのもまた楽しいんだなと思わされる。私は作品によっては感情移入しまくるほうだけどこれはそれほどではなかった。イェロフおじいちゃんには好意的だけど。
この作品はシリーズで、これ以降もイェロフおじいちゃんが出てくるらしい。
…つまりおじいちゃんの親戚なり知人になるのは危険ということか。コナンくんとか金田一少年のように。
でもこのおじいちゃん、大好き。コーヒー好きなのもよいし、否定しつつも事件究明を探偵よろしく楽しんでいる感じ、不謹慎だなと思ってはいてもやめられない感じ、嫌いじゃないです。

- 作者: ヨハンテオリン,Johan Theorin,三角和代
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