夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

「Little Women」(ストーリー・オブ・マイ・ライフ 私の若草物語)(映画)感想

 小学2年の頃から小学生の間何度となく原作を読んでいたのですが、続編があると知ったのはかなり後で。この作品は2作目と1作めの内容を行ったり来たりしています。

 どうりで年齢層高めのキャスティングだなと思った。

原作では私はジョーに共感し、生意気で憎らしい妹がいるのでエイミーが好きじゃなくて、ベスが可愛くて可愛くてしょうがなかった。小2のときに読んでベスの「しょうこうねつ」に随分心を痛めたものだった。メグ?あんまりピンとこないお姉さんだった。私もお姉さんだけど、キャラがちがう。

読んだきっかけが母の「私は若草物語を読む子どもが大好き」だったので随分単純に唆されたのだけど、おかげで今に至る感じ。

1作めってベスが病気から回復して、ピアノをくれたおじいさんが喜んでマーチ父が帰ってきてハッピーエンドだったからすごく好きだったんだけど、今日のいままでベスが猩紅熱以来体が弱って早くに亡くなるとは思わなかった。続編に興味を持つには知ったのが遅かった。名作劇場の「ナンとジョー先生」が続編のアニメ化だと思わなかったしな…

 もうまるで長く元気でいると思いこんでいた古い友達がとっくに死んでいた、みたいな衝撃をいま受けているのですが(いや南北戦争のころの話だしなんなら作者も初めて読んだ時点でとっくの大昔に亡くなっている)2作目も含めるとこの作品は子供向けとは言い難く、どちらかというと演じる女性たちの年齢に近い人や過ぎてしまった私の心にかなり響く内容となっております。

エイミーが印象よりかなり皮肉で美味しい役回りだったり、ローリーはイメージ通りだったり。

結婚を経済と表現するところが当時だとなるほど。オールドミス(死語)が当時は本当に生きにくい社会だったのだけどラストでマーチ家の姉妹のうしろにそれぞれの夫がいるのが私的になんだか重々しかったけれど、でも主役として輝いていたのは彼女たちだった。

 

ガラスの仮面でも再現された、クリスマスの会話が見事だったな。記憶にある通りだった。

私は本当にベスが大好きだったからおとなしくて控えめで優しかった彼女がいなくなったところで喪失感でいっぱいになって未だに引きずっているし、大きく共感したジョーが大人の私が見るとちょっと面倒くさくて頑固でプライドが高くて家族思いでいまの自分と乖離したのも寂しく思ったり。頭の半分で映画として味わいながらも子供の頃から思い入れがある作品だけにかなり揺さぶられております。

 

でも原稿を燃やしたエイミーは相変わらずこのクソガキ…!って思ってまうけどな。氷が割れて溺れたエイミーが助かってジョーと和解するシーンで、そりゃあ死ななくてよかったとは思ったけど私は「これくらいじゃ許さん」ってくらい原稿を燃やす下りは嫌いだった。

成長したエイミーは美しく、演じる俳優さんもかなり魅力的でした。皆驚くほど少女時代と大人になった姿のギャップがちゃんとあって素晴らしかった。ちゃんと現代に生きる人のこころに訴えかけられる内容と構成。この歳に見てよかったけど若い人がじゃんじゃん見たほうがいいかもね。

 

ベス本当に好きだったなあ…長生きして幸せになってほしかった。他の姉妹たちは放っておいても大丈夫だと子供心になんの心配もしてなかったわ。いまはローリーのおじいちゃんと同じ気持ちです。