まだ読んでなかったんかーーーーーーいって言われるやつ
伊藤計劃さんはね、「メタルギアソリッドガンズオブパトリオット」が超絶良すぎて、「ハーモニー」がキツいながらラストめちゃくちゃ好きで、こちらは冒頭から残酷な描写が続き、母を殺したとかいう表現があるから心が弱っていた私は読んでなかったんですよ。
屍者の帝国は厳密に言えば伊藤計劃さんの作品じゃないかもって思うから数に入れない。
9・11を経て、“テロとの戦い”は転機を迎えていた。先進諸国は徹底的な管理体制に移行してテロを一掃したが、後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加していた。
米軍大尉クラヴィス・シェパードは、その混乱の陰に常に存在が囁かれる謎の男、ジョン・ポールを追ってチェコへと向かう……彼の目的とはいったいなにか? 大量殺戮を引き起こす“虐殺の器官”とは?
特別な思い入れがある作家さんですが、これで長編全部読んじゃったのか。
最後まで残していたこちらもまた大変死をそばに感じる作品でしたが、人を殺すこと、生殺与奪に関する罪悪感とかに目を向けることに重きを置いているように感じました。向き合ってるんじゃなくて向いてる。
様々な技術や研究によって戦闘に差し支えない状態に仕上がって仕事をすることが出来ても母親の生命維持装置を外すことに関しては相当な罪悪感を持つとか、5部の顛末はなんとなく予想がつくのでそれまでの懊悩や煩悶よりちょいちょい挟まれる小ネタが非常に私好みのほうにきがちってしまいました。
まさかの時のスペイン宗教裁判って何巻だったっけ…超好きなのよ。
いい小ネタを仕込むなあって惚れ惚れしました。伊藤さんと私は同年代なんですが、ギリギリモンティ・パイソンの世代でもないんですよね。私は子供の頃にちらっと見たかな、くらい。でもバカ歩きとかも知ってた。
伊藤さんが生きていたら、いまの世界をどう感じるのかなと同世代だけに思うことが多い。いまの世界の有り様を踏まえてなにか書いて欲しい。
死へのメランコリックとかセンチメンタルな気持ちがいろいろ綯い交ぜになった内容だからそれに対していまはわりと私はいま冷静なので特に深く感じ入ることが出来なかったのだけど…
エピローグが、超好み!!!!!
エピローグが面白かった!最高!ここまで読んで良かった!
って思える作品でした。絶対この感想はあまり多くの人と共感を得られないと思うけど。私はこの読後感の気持ちよさを伊藤さんに伝えたいです。ありがとう、伊藤さん。