すごく有名な作品だからみんな見ているようで、有名な作品だということだけ知っているんじゃないのって疑っている映画No.1
ある日、ひっそりとした大邸宅で新聞王のケーンは「ばらのつぼみ」とつぶやきその生涯を終えた。
彼の生涯をまとめた記録映画のプロデューサーのロールストンは作品の試写を見て、どこか物足りない思いでいた。
「もっとケーンという人物に深く切り込んだ内容にしたい。彼は一体どんな男だったのか?」。
ケーンというほかに類を見ない人物の謎を解くヒントが、彼の遺した言葉「ばらのつぼみ」にあると確信をしたロールストンは、
記者のトンプソンにその秘密を解くように指示を下す。
トンプソンは、ケーンと近い関係にあった人々を訪ねていくのだが・・・。
私は子供の頃にやっていたのをチラッと見たかなあという程度。それよりイングリッシュアドベンチャーのおじさんの印象が強く、後にすごい俳優ですごい映画を作ったのだと知った感じ。私に映画を見せまくった母曰く「眠くなるわよ」って。
「マンク」が見たくて予習のつもりで見たのですが、当時としてはいろいろ斬新な作品だったんだろうなあというのはわかりました。カメラのアングルが一個一個面白い。煽りが多かったり、足元から動かないカメラで撮っていたり、顔のシルエットどアップの向こうで風景とか話し相手が喋っているのが映るとか。技術的なものはわからないけれど、これに影響を受けた人は多いんだろうな。
アメリカの映画ランキングで常時1位だそうだけど、木村拓哉のベストジーニストみたいなものじゃないのかなあと思うところも無きにしもあらず*1運良く子どもの頃に富を得た人がずっと求めたものというのは、ちょっと前までの成功した孤独な男性のよくある姿でした。母親が的確な判断をしたのだけど、怜悧すぎたとも思う。
あまりにもよくあるからありふれたものとして、今ではそんなに題材的に取り上げられなくなったかもしれない。悪いお金持ちより孤独なお金持ちってつまんない。でも見せ方がうまいから、チャールズ・フォスター・ケーンが最後まで心にあったものがなにかがわかるとかなり切ないんですが、いまの感覚で見ると「このおっさんへったくそやなあ」って思っちゃう。
偉大な作品かもしれないけど、好きな作品にはならないような気がする。2位はカサブランカだったりゴッドファーザーだったりするけど、そっちのほうが「好き」なのはわかる。でもどれもなんだかダンディズムとか男の美学とか男の孤独とかみたいな、男性目線があるような。
うちの母が一番好きな映画は↓これなんですよ。
彼は最高よ、とよく話していました。が、私にはこれを特に見せようとせずホラー映画ばっか。
「市民ケーン」を眠くなると表現し、好きなのはこれという人の方を私はやっぱり信じるかもしれない。撮り方とか作風とか演技とかも大事だけれど、どれだけその人の心に寄り添うかなのかもね。お金持ちのおっさんの不器用な孤独なんか知ったこっちゃない。
私がいままで見た映画で一番好きなのは↓こちら。
市民ケーンのちょっとあとの作品です。
やっぱり寂しい作品より愛とか誠実さに満ちた作品のほうが好きだわ。