夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

女王陛下のお気に入り

 すごく見たかったやつ。

女王陛下のお気に入り (字幕版)

女王陛下のお気に入り (字幕版)

  • 発売日: 2019/05/15
  • メディア: Prime Video
 
女王陛下のお気に入り (吹替版)

女王陛下のお気に入り (吹替版)

  • 発売日: 2019/05/15
  • メディア: Prime Video
 

時は18世紀初頭、アン女王が統治するイングランドはフランスと交戦中だった。アン女王を意のままに操り、絶大なる権力を握る女官長のレディ・サラ。そこにサラの従妹で上流階級から没落したアビゲイルがやってきて、召使として働くことになる。サラに気に入られ侍女に昇格したアビゲイルだったが、ある夜、アン女王とサラが友情以上の親密さを露わにする様子を目撃してしまう。サラが議会へ出ている間、アン女王の遊び相手を命じられたアビゲイルは少しずつ女王の心をつかんでいった。権力に翳りが見えたサラに、大きな危機が訪れる。それはいつの間にか野心を目覚めさせていたアビゲイルの思いがけない行動だった……。

底辺を知った女性のしたたかな下剋上ってだけでは終わらない、なかなか考えさせられるすれ違いのラブストーリーだったわ。

男も女も関係く大概の人は腹黒く、権力と権力者からの寵愛を求めるものだけどこういう歴史ものがいちばんわかりやすく人間の汚らしさを描いているので多少残酷でも見ちゃう。

 

アン女王の治世って全然知らなかったんだけど(薔薇戦争ヘンリー8世ヴィクトリア女王の治世にはちょっとだけ詳しい)サラとアビゲイルという女性がお気に入りだったというのは史実どおりらしい。その隆盛と凋落が描かれているのだけど、アビゲイルのすさまじい野望を表現するくだりで男性の性欲処理を本当にただの性欲処理として描いているシーンが可笑しかったわ…ばちばち引っ叩いてるし。

 

ラブストーリーとして見ていると、嘘をついても甘やかして愛してくれる人と、本音でぶつかって、ひどいことを言うけど嘘をつかない人どちらがいいか考えさせられる。権力がなかったら、お金がなかったらってたらればは関係なく、事実としてお金があって権力もあったら案外前者を選ぶのかもしれないね。本人が感じている寂しさにもよるけれども。

 

アン女王の演技でアカデミー主演女優賞を受賞したけれど、私は吹き替えで見たのでどこまでの演技を評価するべきかちょっとむずかしい。でも吹き替えの声優さんの演技も凄まじく、女優さんはその時々の機微を自然に演じていて情緒不安定で面倒くさくてわがままでかなり可哀想な人なんだけど可愛らしさも感じてくる。よぼよぼでヒステリーなのに。

で、この演技を見ていると更年期とか中高年のオバちゃんのパワハラとか思い出して暗澹たる思いにもなったのでした。

 

でも、ラブストーリーよ。レイチェル・ワイズがもうかっこよくてね!衣装もいちいちかっこいい。デニムを使いましたとか時代考証をちょっと無視してるところも私は好き。

エマ・ストーンはもともと美人だと思ったことがないけどこの話でも美人じゃあなかったわ。ただしとてもうまい。主役3人の演技が化け物級なんだけど若さという場数不足を全然感じさせなかったわ。体を張った嘘がめちゃくそ怖かったわ。

 

あと宮廷のバカさ加減を表現したと思う、貴族の緩んだ体のおっさんがすっぽんぽんで股のイチモツを片手で隠して果物を大勢に投げられるのを逃げてキャッキャいうてるシーンがしばらく悪夢に出てきそうです。