夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

ブレードランナー ファイナルカットをIMAXで見てきた

 私は把握しているだけで幼稚園の頃からSFが大好きでした。恋愛マンガや小説も好きだけどSFも大好物。幼稚園の頃に竹宮恵子先生の「地球へ…」のアニメ映画が公開されて行きたくて大暴れした覚えがあります。

 

平成の始まるころ、いまはお婿になっているろくちゃんと出会ったのですが、ちょうどその頃にたぶん雑誌Oliveの記事でこの作品の存在を知り、好みの予感がしてレンタル(当時はビデオ。そして一番最初のヴァージョン)見てどハマリして、ろくちゃんとこんなかっこいい作品をビデオでしか見られないことを非常に残念に思ったものでした。当時「劇場で見たかった映画」として話題にしていたのがスターウォーズブレードランナーだったんですけど、スターウォーズはデジタルリマスター版のリバイバルファントム・メナスをやってた頃かなあ?見られたのでそれは叶ったんですけど、まさか「ブレードランナー」を今になって、しかもIMAXで見られるとは思いませんでした。

まあ、DVDでディレクターズカットとファイナルカットを持っているんですけどね。

 まず最初からもう、鳥肌たちますよ。

私には工場萌え属性もあるんですけどその原点がブレードランナーの都市のイメージなんですよ。初めて夜の新幹線徳山駅から工場を見たときにもう、如何ともしがたい、魂の震えを感じたんですけど、「ブレードランナーみたい」って思ったものでした。あとFF7神羅ビル。

何度も見ているから話の筋は知っているんだけど見どころはいっぱいあるから最初のおっかない面接からの雨の街に溶け込むデッカード、そして「2杯で十分ですよ」キター!!日本語より後で喋る英語のほうがうまいやーつ!

って内心キャッキャ言いながら見ていたんですけど、やはり綺麗な映像、迫力ある音源で次第にのめり込んで行って、先日亡くなったルドガー・ハウアーの鬼気迫る演技、困惑顔や時折優しさを魅せるデッカード、悲しみを背負った雰囲気のあるレーチェル、超絶可愛いプリス!そして至るところに神が宿っている美術に見惚れていました。

 

やっぱりさー、クライマックスのロイとデッカードの戦いで、ロイが切ないんですよ。

戦いっつーか追っかけっこって感じのほうが強いけど。ロイが圧倒的に強い。でも寿命がそこまで来てる。本人も気づいている。タイレル博士もぶっ殺しちゃったし(あの殺し方トラウマだわ)絶望していながらも、タイレル博士と同じ水準の知能を活かした詩のような美しい言葉を発する。胸に白い鳩を抱いて。あの鳩も電気じかけなのかしら。

雨に打たれてうなだれるロイ、飛び立つ鳩、美しかったなあ…

 

今回はIMAX版をちゃんと見ておかないとたぶん一生後悔する、人生の思い出づくりにこの映画は必要だとお婿と言いながら見に行ったんですが、見に行ってよかった。

学生の頃プリスのメイクをやりたかったけどあんなに可愛くないからなあと断念した覚えがあるんだけど今のほうがもっと出来ないから若気の至りでやっておけばよかった。

 

レーチェルを演じたショーン・ヤングが記憶にあるより演技が良かったです。

多少強引なデッカードとレーチェルの恋愛模様ですが、それでもハリソン・フォードだと説得力があるというか…強気な男性って感じの名台詞がハリソン・フォードは目立つじゃないですか。

スターウォーズの「愛してるわ」「知ってる」とか。

ブレードランナーだと「キスしてと言え」とか。

陰鬱な表情のレーチェルがレオナルド・ダ・ヴィンチが描いた洗礼者ヨハネのように美しいんですよね。ヨハネは笑みを見せてるけど、髪型と顔に落ちる影のせいかな、ヨハネを思い出しちゃった。横顔の構図とかはリッタの聖母みたいだったけど。

絵画とか彫刻のような美しさだからやはりレプリカントにふさわしいんでしょうね。

リオンをぶっ殺しちゃったときの表情とか瞳のゆらぎがとてもよかった。

後々バットマンキャットウーマンをやりたくてその扮装をしてアプローチしたのが滑ったというエピソードを持っているショーン・ヤングですが、この役は本当に当たっていたなあと。

 

ひとつ気になったのが日本語のガヤの使い回しがなくなっていたような。

あれ日本語がわかるとかなりひっかかるから直したのかな。

 

大きな画面で見てるとセバスチャンの家のデザイン、中のおもちゃたちのグロテスクながらも可愛げがあるところに統一感があるところも一つ一つ楽しめてうっとりしてました。あのなかに溶け込むプリスがまた可愛いんだ。あとでえげつない攻撃するけど。

 

レプリカントの狂気を秘めた雰囲気、触るもの皆傷つける存在感がただのSFじゃなくてスリラーなところもある。蛇のお姉さんもリオンも怖いのよね。作り物の雰囲気がちょっとだけある。そこがうまい。

デッカードが蛇のお姉さんをぶっ殺したことに罪悪感や嫌悪感を持つのが、レプリカントを人のように見做しているところがあるようにとれて後々レーチェルを守ることも納得がいくのだけど、割と最近リドリー・スコットがいまさらぶっちゃけた「デッカードレプリカント」説でいうと、自覚はないものの知らず識らず同族殺しの嫌悪感を持ったのかもしれないね。

 

つーかあの説を初めて知ったとき、ろくちゃんと全力で「勘弁して!」と叫んだものでした。

 

たぶん2週間限りなので、多少遠出してもIMAXで見たらいいと思う。

同時期に4DXでマトリックスが見られますが、マトリックスはリアルタイムで2回くらい劇場で見ているのでまあいいか、って。4DX酔うかもしれないしな…

25年キアヌのファンだから、思い出すと複数回見ている映画が「スピード」一つだけではないのよ。「雲の中で散歩」まで見てる。

 

そしていまIMAXを見ようとすると、おそらくもれなく「アナベル」の予告編を見てしまうからホラーが苦手な人はご注意な!(←ホラー映画超苦手なひと。なんならブレードランナータイレル博士のぶっ殺され方は目を塞いでやりすごす)

 

 

 一昨日、1冊11円とか訳わかんねー価格でKindleで売っていたので買いました。

でも子供の頃にちゃんと読んでおけばよかった作品です。今の時代に大人になって読むと、設定や展開など「他の作品でも読んだことがある」気になるんですよ。この作品が原点だろうに。