バーフバリは履修済み(でも結構忘れてるのでまた見よう)
※ビームのことをビーマって書いてるのはFGOのせい。ご了承ください。
映画は2時間以内で終わらせてほしい私が!上映時間3時間の映画を見てまいりました。
見に行く過程とかはまたあとで。
こちらでは純粋に映画の感想を書こう。
アカデミー賞受賞前に「ナートゥ ナートゥ」はYoutubeで見まくっていたのだけど、ラーマーヤナはあえて調べずに。世界史の教師をしている先輩から「知らなくてもいいんじゃない?」とか言われて。
3時間の映画なんてもう一生劇場で見ることないんじゃないって言っていたけど、本当にあっという間だったな…特に1時間過ぎてからの疾走感がすごかった。
いろいろツッコミどころもあるんだけど、自分にとって良い作品って監督と言葉が通じてる気になるんですけどこの作品もそうでした。*1
「ああ、そういう映画なんだな」ってことで全てが納得行く感じ。
やくそうで一発で元気になるし、一週間に一度しか食事を与えられなくてもヨガの国だもんなー、で受け入れられる。トラや狼がCGであるのに優しさを感じられて、動物が可哀想なのが抑えられているのもありがたかった。
絶滅危惧種なのに!と思いながら「あ、100年前のインドだからそこまで減ってないのか」とバイアスがかかる自分はどうかと思ったけどな!
何年頃の出来事かが西暦が表示されるまでわりとずーっと気になっていて「バイクがあんな形なんだから」とか「この車だったら…」と映画を見ながら分析していて、国王がジョージというのは5世?6世?とかまで気にしていたら西暦1920年と表示されてやーっと納得したり。インド史そこまで詳しくないけどラクシュミー・バーイーとかセポイの反乱のころならなんとか…(作中よりずっと前だね)
全然予習しないで正解だったのは、ラーマが警察官で引くほど強い、話の流れからビーマと対立する勢力側なんだってのをその場で知っていけたあたりですね。
ラーマとビーマが初めて出会ったときの「出会ってしまった」雰囲気がバチバチで、実は対立する関係なのにそれを知ってるのは観客だけというのが私は好きで、お互いの正体に気づくまでハラハラするのがメシウマでした。これは良いブロマンスだと出会った瞬間から分かってしまった。あのボディランゲージで通じるんだもの、そりゃあ親友になれるよ。
ビーマが左手で食べるというエピソードでラーマの瞳が揺らめいたのを見たときになんて素晴らしい演技をなさるのかしら…!とときめき、ビーマが言葉が通じないながらもジェニーと話すときに首をゆらゆら揺らすのが可愛かったり、そして名物のナートゥナートゥで凄まじいステップで私も魅了され…
女の子たちがみんな楽しそうなのがいいよね。
字幕がないときに見ていても、ああ白人男性たちが失礼なことをやったんだなというのは分かってしまう。
総督夫妻がかなりのクソッタレでなーんの美点もないのがいっそすがすがしかったけど冒頭の夫人の言いっぷりから「え、剥製にしちゃうの?」って思ってもーた。ちがったけど結局えげつなかったな。夫人なかなかのキャラクターやったな…インディ・ジョーンズ最後の聖戦に出ていたとパンフを読んだら書いてあって「…ああ!」といろいろ思い出したり。
休憩が省略されているバージョンでしたが、休憩入る前の猛獣大暴れは肉を与えている伏線があったので理解は出来たけど「これマッリも襲われかねないのにようやるしまず探して時間がロスしとる!」とそこで笑いつつもいろいろ圧倒されていました。鎖を白人もビーマも使うけど、白人がヘッタクソでビーマが本当の使い方を教えたるわって見せるのがかっこよかったですね。
あの鎖で自滅してシカにやられた門番が最初に出たときの傍に居た女性がわりと現代的な佇まいだったけれどあれが1920年代のモガっぽかったのかも。ジェニーはあくまでお嬢さんという衣装だったのに対して彼女を先に見て時代がわからなくなったところがあったな。最初19世紀だと思ってたから。
ラーマにどでかい大義があるのは割と遅めにはっきりされるのも良かったですね。なにかあるけどビーマにとって味方にはならないのかってスリルを後半まで引っ張って、助けようとしているのにすれ違うくだりで私はもうボロボロに泣いていましたよ。
シータの機転でビーマたちが難を逃れ、わりと自然にラーマに対する誤解がとけるところとか。ああいうのに弱いんだわ…
そこからはラストまで本当にあっという間、体感5分くらいに思えたけどいろいろ突っ込みどころは多くて涙の乾かないうちに笑ってましたね。
すごい連携だったな…銃のリロードがシステマチックで力強いリロードのたびに笑ってしまった。
1回目のやくそうでの回復ぶりを見てるから2回めで「あーこりゃすぐに治るやつだ」と判るのが楽しい。ダークナイト・ライジングでブルース・ウェインがボロボロだったのに背中にパンチ一発で復活できたあの超展開に似てるけどこっちは納得できる。あれもアジア系の技術だったっけ?(アレにしょっちゅう文句言ってるけどけっこう好きだったりする)
まさかアレが致命的な武器になるとは思わないし、ラーマが弓もいけるのは納得だけどビーマも外さないんですね、と驚いたさ。大爆発が本当に清々しかったな…
終盤まで見ているとラーマが炎でビーマが水であるのがもうハマりすぎてその演出があるとなんだかホッとするというか、こっちも力がみなぎってくるような。
そしてエンドロール。すごかった…ええもん見せてもらってるのをひしひしと感じつつも、ガチガチの国威高揚でインドすげーなって思いました。もうどこを見れば良いのかわからなくなる…一瞬誰かわかんない人が出てきたけどああ監督だ!と分かったのでよかったけど良かったのか?
おもしろかったなー
私は日本人と白人の血を引いているから迫害する側の目線でも見てしまったけど、植民地支配は罪深いな。迫害してないところもあったかもしれないけど、だいたいありがた迷惑でしょ。迫害に関しては無関係に見える国に対しても申し訳ないと負い目を感じるくらいがいいのかも。繰り返さないように教訓にできるというか。ナートゥナートゥに敬意を払えて楽しめるのが丁度いいですね。
3時間あるし怖いシーンもたくさんあるけどお代わりしたい人の気持はわかる。私ももう一度劇場へ行こうかとちょっと考えたもの。行けなくはない…
見ないとわからない魅力がたくさんあるので劇場で見られてよかったです。
*1:私にとっては王家衛、スピルバーグ、デヴィッド・フィンチャー、ニール・ジョーダン、チャン・イーモウ、クシシュトフ・キェシロフスキが言葉が通じる感じ。言わんとしていることが特に説明がなくてもわかりやすい。他にもいるだろうけど忘れた。作家だったら圧倒的に夏目漱石先生