夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

魔道祖師(原作)についていろいろ吐き出したい(長編注意)

きたよ。

とうとうブログに吐き出すときが。

このブログあるあるなんですが、途轍もないクソデカ感情にぶち当たるとしばらく抜け出せなくなり、ブログに思いの丈を吐き出すまでちょっとした騒ぎになります。

別にBLとかだけじゃなくて、でも恋愛ものばかりですよね、そりゃあ。

ここからネタバレ全開であくまで自分の思い込みと解釈で胸に溜まったあれやこれやを吐き出していきます。解釈違いが堪えられない人とかは引き返すといいです。共有したいとかじゃなくて、吐き出して今日はぐっすり寝たいんです。いつもぐっすり寝てるけど寝る前につい読んじゃって夜ふかし気味なんですよ…

 

思いの外大長編になったので、ブログトップから入るとめちゃくちゃ邪魔だと思うので畳みます(単品で見る場合は畳まれないらしい)

この物語は魏無羨の視点が主で、過去に自分が関与してない部分ですら様々な技を駆使してご本人が追体験するくらいなので、自分の目で見たもの以外は正確に語れないなか、様々な匂わせとこっそり付け加えられる事実がちょっとだけ開陳されるのを読者だけが気づいて知っていくところがあります。

その匂わせの部分がこう、ガツンと来るんですよ!

 

魏無羨が再会して以来ほとんどそばを離れない藍忘機、前世では仲が悪かった(と魏無羨は覚えている)だけに自分が甦ったとバレるのも困るし早々に嫌われたいと自分の体の元の持ち主が悪評高い断袖(男色をこう呼ぶのはなにか曰くがあると思うんですが、イメージ的に銀魂に出た、袖を自力で破ってオシャレだと勘違いしてる鯱を思い出すのよね)であることを利用してあれやこれやと藍忘機に迫るのですが、態度が硬いものの強い拒否はしない。その素振りを見てると「これ藍忘機にはキツいんでしょうなあ」て思っちゃうの。こっちは藍忘機が魏無羨であることを気づいているだろうし、魏無羨のことが大好きなのは察しちゃってるから。寝込みを襲うしすぐに抱きつくし当時としては心にもない甘い言葉をささやくし、そんなことを長年ずーーーーっと好きだった人にやられてごらんなさい。我慢強いからなんとか凌げたけれど我慢しきれない我慢強さがちょいちょい垣間見えるのを勝手に見つけて「んんんんん!!!」と声にならない声をあげる私。

 

初めて魏無羨の前で酒に酔ったときに彼のおもしろ酒癖が露呈するんですが、正直で無垢なのはもともとなんでしょうがそこに無防備が足されて自制心が減るとあんなに面白くなるとはと思うくらい天然の魏無羨好き好きマシーンになるんですよね。

近づく男は凶屍の温寧でもどつくし(力がハンパないのですごい吹っ飛び方をする)扉は蹴るし(素面でも魏無羨を抱えていて必要な場合は蹴る、実は口より手や足が出るほうが早いという話)本人は鈍いから気づかないけど魏無羨を「私のもの」と堂々と言っちゃう。

ここまでわりとわかりやすいのに肝心の魏無羨は藍忘機が自分のことを大好きだとなかなか気づけないのは藍忘機が自分に好意を持っているわけがないという前提があるのだろうけど薄々気づくのが4巻序盤てのが遅いよ!!2ヶ月一緒にいて酔っ払ってる藍湛にムラムラしてキスまでしちゃってるのに4巻て!!3巻過去の話が怒涛過ぎてそこに気が向くどころではなかったんだろうけども!でもどこまでも気づかないのって罪だよー?こういう恋愛モノの好かれる側の鈍感ぶりについて私の好きな声優さんがありがちだってネタにしてたのすごく面白かった。(「なにか言ったか?」「なんでもない!」って台詞のやり取りありがちとか。この作品ではないですけどね)

 

このキスしちゃうシーンもさー!

酔っ払った藍忘機が都合の悪いことを魏無羨に言われて聴かないふりが極まって魏無羨の口を塞いだら舐められたのがきっかけで、舐められたことに非常に狼狽するんだけどその仕草がもう乙女で可愛いったらないのよ。そこからバカップルでも最近ではやらない室内追いかけっこからの自分から捕まりにいく藍忘機の可愛さたるや、わしゃあこのシーンで何回床を転げ回ったかわからん。

自分から捕まりにいったのにそれを外そうとする魏無羨を阻止する怪力っぷりは可愛さからちょっと外れているけど500kgのものを片手で持ち上げられるらしいので…

初見ではまさかキスするとは思わなかったからそこからの展開で魏無羨も何かに付けて無自覚に好きだよねえ、普通じゃれていていたずらしたく思っても恋愛対象じゃないとそこまでいかんて、と冷静に思う反面「やりおったーーーー!」てぶっ倒れたもんです。

 

藍忘機が飲んだあとの記憶を失くす(しかもなにか問題行動を起こす)というのを自覚した上で魏無羨の勧めたお酒は断らないのは、前世で飲むことがなかったことに後悔していたのとか魏無羨が解釈したように信頼しているからか、「天が定めし者、つまり心から愛する人の前でだけはなにも律する必要はない」と思っているからか。

酔っ払った藍忘機はさらに可愛いので番外編でも見たかったなあ…

 

こういうサービスがあるから過去の苦難に満ちた重々しい展開も受け止められるところがあると思います。

再会したときの魏無羨が藍忘機を「万年喪主」と心のなかで呼んだときの藍忘機はまさに気分が万年喪主だったので致し方なく、「妻を亡くして苦しみと深い憎しみの底にいるかの表情」と感じたのもその妻こそ魏無羨じゃんと私じゃなくても呼んだ人たちからの総ツッコミがあることは往々にしてわかるよね。

そういうふうに、随所に散りばめられた「12年前にものすごい失恋をした藍忘機」の悲哀を察する私がそれに気づかず見たまんま彼の謎の好意やなにかを押し殺している感じを心のなかで不思議そうに指摘する魏無羨に疲れるくらいツッコミいれていると重たさも払拭されるのですよ。

過去の様々なことを後悔していまは魏無羨を完全に受け入れて陰になり日向になり彼を守り続け、本人に気づかれない程度に好意がだだ漏れなのを察して床の上を転がりまわると。

 

この2巻の装画のお花も押し花にして本の栞にしてるんだよ…!鬼道を使ってえげつなく温家に復讐を果たした魏無羨がそのまま鬼道を嗜み屍人の女性を侍らせて、彼のテリトリーである雲夢にいるのをそれとなく様子を見に来た(と私は解釈してるけど大体の読み手はそう解釈するよなあ??)藍忘機をからかって芍薬の花を送ったやつなのに大事に大事に…

 

2巻でついムラムラして(言い方)藍忘機が酔っ払うと後に記憶を失くすのを分かった上で勢いでキスしちゃった今生の魏無羨ですが、3巻で過去既に藍忘機が魏無羨に彼が気づかないまま強引に唇を奪っていたことが判明します。まあようそんなシチュエーション思いつくわとびっくりするけど魏無羨が調子に乗って目隠しして狩りをしているのに乗っかっちゃったという…

すぐあとに激しく後悔して木に八つ当たりをしたりするのを魏無羨に目撃されてそこからの思春期(いや彼ら20歳とかでしたね)トークがもうひどくて。魏無羨の察しの悪さや性根の軽さのせいでこの二人は4巻まですれ違うことも多々あるんですよね。魏無羨は誠実で優しい人なんだけど、つい茶化したり自分を貶める振る舞いをしがちなのよね。

 

そんな彼が藍忘機への気持ちに気づくのが、3巻で、それまで自分が藍忘機にいたずらしたいという気持ちがなんなのか全然気づいていなかったんだけど、子どもが大好きな相手にちょっかい出すのと同じと幸せそうな農家のご家庭に(スイカ泥棒しようとして)成り行き上忍び込む形で彼らの営みと会話から気づいてしまう。

前世に出会った直後から衝突をしながらもちょっかいかけずにいられない、今生でもついつい藍忘機を困らせるようなことをやってしまうのは好きな人の気を引きたいからだというが鈍感さとつながっているのはキャラ描写ちゃんとしてるなとは思います。

ここで農家に忍び込むのも美味しいシチュエーションで、そうする必要がないのに忍び込んじゃうし藍忘機を押し倒すし、軽くだまくらかして隠れたり、農家のご主人の名前が「ラン兄ちゃん」だからってふざけて藍忘機の耳元で囁くときも心情については詳らかにはしないけどメロメロなんじゃねーのと私は思うわけですよ。

男の子は皆好きな子にばかり意地悪するもんだという農家の主人の話に笑顔が固まる魏無羨ですが、特にその気持ちに気づいても反発はしなくてわりとあっさり受け入れているんですよね。ちょっと悩んだり不思議に思ったりはあったみたいですが、言葉にするより体が勝手に動いちゃってる感じ。

 

笛の音で魏無羨が甦ったと確信した藍忘機が彼を姑蘇に連れて帰ったさいにエスパー並みに藍忘機の気持ちを読み取れる兄にすごく嬉しそうと指摘されてそりゃ12年前に死んだ大好きな人が外見は違うとはいえ甦ってくれたら喜びもひとしおでしょうよ!ってわかるの読み手だけ。

藍忘機はお母さんからしょっちゅうからかわれていたという下りがあったから、からかわれることに特別な感情を呼び起こされて、他の人はやらないけれど魏無羨はめちゃめちゃからかってくるし絡んでくるから惹かれたのかなと思ったのだけど、1年ぶりに再会したときに抹額を取られて辱めを受けたみたいなトラブルになったときはどういう気持だったのかなあとちょっと気になっています。

番外編でその合間に藍忘機は魏無羨からもらったうさぎに「いい名前」をつけて可愛がっているし、蓮の花托を求めてめっちゃ歩くしで十分大好きなので好きな人に大事なものを奪われて狼狽しただけとか謡の羽衣みたいな感じかといろいろ想像の余地があるんですよね。そのときに魏無羨は魏無羨でずーっと藍忘機のことばかり話してるし、適当に作った歌も藍忘機のことを唄ってるし、女の子に構われているのに藍忘機のことを考えているしで自覚はしてないけどめっちゃ好きじゃん!と思わせるところがたまりませんなあへっへっへ。

 

3巻は過去の悲劇のラッシュのなか、現在側では正体が露見して逃亡中の魏無羨が藍忘機により姑蘇に匿われるのですが、そこで藍忘機がルンルンで(私にはそう見える…私も兄上並みに彼の感情がわかる…)天子笑を魏無羨に与えるシーンが好きです。飲んでほしかったんでしょうね、いつかあげるときのために自分の部屋に隠していたの可愛いが過ぎて愛おしい。

 

3巻の終盤で魏無羨が大量の彷屍と戦ったりしてヘトヘトになってぶっ倒れたくだりで、ああいう意識のないときの藍忘機の振る舞いがすげええええええええええええ甘いのもっとやれー!と思ったのに魏無羨が目を覚ましてしまってそっと離れるの惜しいと思ったら魏無羨も実は寝たフリをしていたところがあったので残念に思ったって展開であなた達いいいいいい!とまた床を転げ回りましたね。藍忘機はわりと気安く魏無羨をお姫様抱っこしますね。

あー、彼らの弟弟子たちになりたい。魏無羨のことが大好きで心配でそばを離れたくなかったけど寝言で呼ぶほどの魏無羨と寝言でもちゃんと返事をする藍忘機を気遣ってそっと二人きりにしたい。(このときの弟子たちの声にならない会話が超可愛かった)

 

そんな私が今度は宿屋の女将さんになりたい人生だったと思わされたのが4巻

この装画のシーンこそ二人が結婚してるんだと思うとな…傍に身内もいるからいい証人(みんな生きるか死ぬかってときだったけど)

 

4巻序盤、魏無羨が生前長く暮らした蓮花塢へ行き、自分がどんなふうに暮らしていたかを藍忘機に伝えて歩く中で、思い出深い木に登ります。幼い頃に寝床を追い出されてそこに登る羽目になったことはあえて話さず、笑ってごまかす魏無羨のそういうところが切ない。そして木から落ち慣れているのも切ない。受け止めてくれる人が出来てよかったよねと私が思うよりも深く魏無羨もそう思ってんの。でも藍忘機は「ありがとう」と言われて心中穏やかではない。

 

藍忘機は魏無羨から「ありがとう」と言われて突き放された過去に相当傷ついていて、またそこで線引きされるのではと恐れているのが、3巻でのやさぐれた魏無羨の振る舞いややり取りから私も察しちゃうんですよ。3巻でいよいよ夷陵老祖の進退がまずく、前世での彼らの関わりが最後という瞬間の藍忘機の悲痛な思いが言葉や心理描写がなくても伝わってくるの本当に心臓がキリキリした。

それを経ての藍忘機の恐れに気づくとNGワードにゾクゾクしてくるようになるんですよ…

 

木の下で藍忘機への思いをいよいよ自覚した魏無羨がそのまま彼を育ててくれた江夫妻(妻めっちゃ怖かった…常に激おこだけど本当は筋は通す不器用な人ってのが悲しかった)のお墓みたいなところに連れて行ってお墓参りをしながら心のなかでは藍忘機をパートナーとして紹介しているとこ、この子付き合うとかそういうのすっ飛ばしてすぐに結婚したいタイプなんだ!と驚いたり。

その直後に彼らの後を追っていた江澄が姿を表して彼らを痛烈に皮肉って攻撃するんだけど、そのときに藍忘機を守りたいあまりに友達だ、と言っちゃうとまた藍忘機が傷つくんですよねえ。こういうちょっとしたすれ違いが切ない。傷つくけどすごく好きなのは変わらないし、江澄が魏無羨を罵倒すると怒って守ろうとするの。

でも木の下でガッツリ抱き合っていたのを見られていたことで魏無羨が相当狼狽しちゃう。そらーああいうのは兄弟(みたいなもの)に見られた上に責められると辛いしその矛先が藍忘機にも向いていると思うと守るために逆上してしまうものですよ。

そこで江澄視点の彼らの描写にうつるんですが、抱き合い方が普通じゃないってよ。

あーその瞬間をなにか、動画で見たかった!

江澄視点の彼らの関係性にときめきつつも出歯亀になっちゃってる江澄がシリアス展開なのになんか可笑しくて。

友達だと魏無羨に言われた藍忘機の表情が固まったのは江澄のせいだと魏無羨は思うんだけど、そういう気づけなさが此処から先もちょいちょい出てくるのよね

 

義理の兄弟でマジ喧嘩の果てにもともと体調を崩していた魏無羨は顔中から血を吹き出してぶっ倒れてそこからすったもんだがあって、藍忘機と江澄は魏無羨の一番の秘密を知ってしまう。ここは読者の私にとっても衝撃的で、明かされなかっただけで魏無羨はとんでもないことをやり遂げていて、表面上のチャラさや明るさからは気づけない人としての器のデカさというか、とんでもない悲しみを抱えていたことを知ってしゅんとしてしまうのでした。クソでか感情とはまた違う気もするけれど、彼もまた重たいものを抱えていたんですね。

 

だいたいさあ、魏無羨も大概なんですよ。自覚がないだけで藍忘機大好きなんですよね。再会したきっかけも我を失ったまま現れた凶屍の温寧を落ち着かせるために急ごしらえの笛で奏でたのが藍忘機が以前魏無羨に歌って聴かせた曲で、たった一度聴かせただけなのに彼の中で落ち着く美しい曲として印象づいていたんですよ。それで相手が魏無羨だと気づけたんだからもう藍忘機自分で自分をグッジョブ!って思うでしょ。

最初はばれないうちに藍忘機から逃げようとしていたけどたぶん離れたら離れたでちょっかいかけるきっかけを探して何かと近くにいたんじゃないかなって思わずにいられない。

 

魏無羨のために珍しく大声出すくらいキレて江澄とガチ喧嘩する藍忘機ですが、義理の兄弟とはいえ江澄と仲が良くていつも一緒だったとか魏無羨とはいろいろありすぎて憎んでいるし死ぬきっかけを作ったのが江澄だけに藍忘機の彼に対する印象は最悪なんだろうなと随所で感じます。魏無羨の隠していた秘密を知るとさらにおもしろくなかっただろうなと慮らずにいられない。

温寧が真実を告げたシーンは勇敢でしたね。江澄にとんでもねー枷をあたえちゃう。

藍忘機は自分は魏無羨を失ったあとに残ったのは彼のくれた芍薬の押し花くらいで、酔っ払って陳情(笛)を探し求めたり同じ場所に焼印を押しちゃうくらい繋がりを求めていたのに江澄は望む望まざる関係なく金丹なんて大事なものを譲られているわ、後々に判明するけど笛も持っているわで恋愛感情はお互いにないにしろ(江澄はわからんけど、と余地を残す我)魏無羨と相当なつながりを持っている江澄をそらー好きになれないでしょうよ。

でもそういう気持ちを出さずに金丹を取り出したときに痛くなかったらいいなくらい思っているの。そして相当の苦痛を伴ったと知って狼狽しちゃう。普段ろくに感情が表に出ない藍忘機が。霊力が使えなくなったのは薄々分かっていたけどその理由と過程の苛酷さに自分も傷ついている感じが取れてしまった。愛してるんだねえ…

 

意識を取り戻した魏無羨は蓮花塢から離れて川を船で移動していると気づいたあと、血まみれの自分が藍忘機の服を汚さないよう気遣うとこいいですよね。気遣いすぎて江澄が言った彼らの仲を揶揄する言葉を気にするなって言っちゃう。藍忘機はそう言われる方が心中穏やかじゃないのにね。でも魏無羨にはわからない。

まあまさか相手が自分のことを想っているってお互いわかんないからね、すれ違いがひどい。魏無羨は藍忘機が自分のことを他の人とは明らかに違うくらい自分のことを大事に思ってくれているのは分かっているけど、それが友情に寄るものなのか愛情に寄るものなのか判らないし、友情に寄るものだったと判るのが怖い。恋の不安を初めて感じてる魏無羨ですよ。

友達の関係として良好なものを築けているからそれを壊すかもしれないと魏無羨の方は心配するし、藍忘機は気にするなと言われて魏無羨が友達としての気遣いをしていることに傷ついてる。そこがわからないけどいろいろ考えちゃて傍に温寧がいることなんかまったく気づかないの。もう藍忘機のことしか考えてない(まあ、藍忘機と江澄の喧嘩に温寧が介入したのは気づいてなかったし…)。

 

そこから雲萍城でデートとお泊り(としか私には思えない)になるのですが、その前に蓮池でのくだりは番外編を読んだあとに読み返すと楽しい。嬉しかったでしょうね…って。割と法外なことも許しちゃうところに藍忘機の深い深い愛を感じる。蓮の実ってそんなにおいしいんだなあ。蓮の実が気になるのですが、集合体恐怖症なのでいらん画像を見つけてしまいそうで検索できない。

かなり消耗を感じる魏無羨が2日間自分を守り続けている藍忘機も気遣っていい宿でお泊りをすることを選ぶんですが(支払いは藍忘機)お部屋を一つとるか二つにするかでかなりの緊張をしてしまう。江澄に余計なことを言われずギクシャクしなかったら普通に一部屋で良かったけれど、藍忘機は選択権を魏無羨に委ねてだまーーーってるの。二部屋に分けられたら傷つくだろうなとそこで一旦私に想像させる。

そこまでで魏無羨による過去の振り返りが展開されるんだけど、魏無羨が生まれてはじめて恥を知るのが人に恋を自覚してなの可笑しくて。そこからの一部屋にするか二部屋にするかの逡巡ももう友達を好きになって変になってる人なんですよね。

そのときの二人の雰囲気がびっみょーーーーーだったんでしょうね。ベテラン女将から見てね。気遣いが的を射て広いひと部屋(なのに寝床は一つ)を充てがいました。グッジョブ女将!

寝床がひとつなのを困ってもなんでもう一つ寝床がないの?とは思わないし注文もしない魏無羨も相当テンパってるけどこっそり強い酒を頼んじゃう。

彼の体調の確認のために藍忘機が脈をとるのが無茶苦茶長いのが慎重に確認しているのかそれともなにとか思いながらも触れられてちょっと緊張する魏無羨がお礼を言うと藍忘機も緊張する「ありがとう」恐怖症。本当にトラウマなんでしょうね。それを見てお兄さんが心配なんだーくらいしか思わないのは仕方ないけどまたすれ違ってる。

まあまさか長い間自分の言う「ありがとう」に傷ついてきてるとは思わないでしょ。

 

そこからお兄さんの心配と真犯人金光瑤の行動の異様さを藍忘機が指摘することになるんだけど、実は魏無羨は金光瑤の事情より自分が男性を好きになってしまっていることのほうが気になってそれどころじゃないところがひどくて可笑しい。自分の甦ったときに得た体の持ち主が断袖だったからかとか。自覚が遅いだけで前世からあなた藍忘機のことが大好きなんですけどね。

この、他の男のことはなんとも思わないし自分は女性が好きだと思っていた(けど特定の人を好きとは思わなかった)人が誰よりも好きになったのがたまたま同性でしたってシチュエーションが私は大好物でね。藍忘機もそうなんじゃないのかなーと思うんですが、自覚が早かったから同性同士のセックスのやり方をちゃんとご存知だったのは後で知るという…あの差が面白かったな。

 

消耗しているからと寝床を譲られて寝転がっても、どうにも寝付けず藍忘機と一緒でないと寝付けないことを自覚してしまう魏無羨、それいま言っちゃえよって思った我。そこでハッピーエンドだったのになと思いつつもこじれるから面白いんですよね。

強いお酒を飲ませて酔わせた藍忘機が胸に秘めていた「子供の頃に魏無羨と一緒にいたらやりたかったこと」をあれこれやっちゃってそれに振り回されるのが魏無羨。いたずらしようとすると振り回されてなかなかうまく行かないの本当にうまく話を運ぶなあって感激してしまう。

強いお酒を飲ませて無防備になった藍忘機に自分のことをどう思っているか訊きたいけれど、期待していない返事が返ってくるかと思うと怖くて訊かれないという恋するがゆえのチキンぶり。藍忘機は藍忘機でお金を全部魏無羨にあげようとしたり床に穴を開けてまで迫ろうとするも例の「ありがとう」で拗ねたり可愛い。

鶏を捕まえてプレゼントするのはあれプロポーズなんでしょ?魏無羨は気づかなかったけど。二人はお互い片想いみたいなところがあるけど読者の私は相思相愛だってわかっちゃってるから二人のすれ違いと一方通行でいちいちハラハラドキドキしているんですよ。

 

子どもに返ったようにはしゃいで汚れたからと綺麗好きの藍忘機のために沐浴できるように用意するも、魏無羨が入れてくれないと入らないと察するように少ない言葉と薄い態度で表現するの、本人のキャラクターはブレないところが上手だなと思います。

ここからはね、とんでもねーすったもんだがあるんですけど(私、ここからの文字通りの濡れ場シーンが大好きなんですが、言及しても仕方がないやりとりでこの二人すげえなあとしか言いようがない)、魏無羨の理性がふっとぶとお互い歯止めが効かなくなってしまうのに、藍忘機は酒でおかしくなってるって魏無羨が思い込んで罪悪感もあるのが注目するところですね。

おかげで気持ちよくことに及んでなんとなく通じたと思っても感謝の言葉を伝えただけで藍忘機の酔いが冷めてしまって、こういうときってちゃんと話し合えばすぐにハッピーエンドを迎えるんですが、そういうわけにはいかないからすれ違っちゃう。

藍忘機は自分が記憶はないものの酔っ払って魏無羨に迫ったら付き合ってくれたくらいに受け取ったとかここまでやって「ありがとう」ならこれで終わりって意味にも取れるしともうどうしようもない罪悪感と喪失感しかないよね。

魏無羨は魏無羨で酔って自我と本来の個性と意志を失っている相手にいたずらしてしまったみたいに思われたとか心配事があるのにひどいことをさせてしまったとか元からあった罪悪感が全面に出ちゃって自分が期待したような感情はないと勝手に解釈して傷つきながら取り繕おうとして珍しくガクブルになっちゃってるの。恋を知ると臆病になるよねえ…

それでも汚しちゃったからって藍忘機が気遣うの読者の私がなにその神対応って思うんだけど気を使わせちゃったって魏無羨が拒絶するの、それ完璧傷つけてるからやめてあげてってなるよね。

 

友達としての関係を壊したくない、気まずくさせたくないという気持ちから生来あるチャラさでやり過ごそうとするも、藍忘機がそこでなにか行動へ移そうとしたのに!いいところで女将の介入というお約束が。

 

宿の女将として適切過ぎる仕事ができるキャラ、女将が現れて部屋がとんでもねーことになっていて衝撃を受けるんだけど部屋が水浸しだわ床に穴が空いているわ(それで漏水)見て見ぬ振りしてるけどお客様の肌に歯型があったり唇はちょっと腫れていたりするんでしょ?お察しもいいとこなのにプロだからそこは無視して適切な配慮と対応をするの。ああこの女将になりたい。お金をしっかりもらって納得しながらお片付けをしたい。いままでこういう同性同士のカップルもたくさん来たんだろうなあというのもこっちが察します。

部屋を移ってくれと言われて気まずさから今度は2つ部屋を分けるように要望する魏無羨、それますます藍忘機を傷つけてるよと思いながらも確かに気まずいよね。とりあえずお互い取り繕って仕切り直しみたいな雰囲気になるも、別々の部屋になっても隣の部屋だと気配があるわ、余韻がすごいわ藍忘機のいい匂いが体に写ってるわで寝られないからと宿を抜け出してまう。まあそうなるわね。

 

その後藍忘機が酔っ払って落書きした場所へ行くと温寧がそれを消す作業をするために現れるの彼本当に可愛い。凶屍なのに気遣いの鬼将軍…

 

酔っ払った藍忘機がしでかしたあれやこれやを見てとても愛おしい気持ちになったり反省したりするの藍忘機に見てほしい瞬間でしたね。

温寧が魏無羨の姿を見ていろいろ察したことに気づいたけど女将もきっと察してるって気づいてほしいわ。そのまま観音廟へ八つ当たりをしに行って金陵と沢蕪君を助けようとして捕まっちゃうんだけど金光瑶にあれこれいうよりそのいろいろあった姿のままってのが私の頭にはあるわけで。

 

捕まっちゃって金光瑶にねっちり煽られる魏無羨。(なんか石田彰さんの声がしっくりハマるんですよね、セリフの数々が)全部筒抜けなの怖いけど過去に藍忘機がやらかしたことが大きいだけに知る人ぞ知るって感じだったのかな。そこで自分が過去の大事なことを忘れていることと、藍忘機の自分への気持ちをやっと知ることに。

 

やっとよ、やっと。私1巻から知ってたもん。

 

弟思いの沢蕪君が丁寧に説明してくれたので私の溜飲も下がるし沢蕪君ご本人の溜飲も下がったでしょうよ。

問題にあんまり関係ない金陵ですらなんだか二人の関係性に胸を打たれたっぽいのが後に描写されるんだけどぶっちゃけ何を聞かされているんだろうって気分もあるのではと思う中でちゃんと寄り添っていたのやっぱりこの子可愛いなって思うのです。自分の両親が死ぬきっかけを作ってしまった人だけど、憎みきれないし好意すら持ってしまうという素直な性分とかたまんない。

 

事実を知った魏無羨はもう捕まってる場合じゃねえ!ってところですが折よく藍忘機が助けに現れて金陵のテンションも内心ぶち上がりつつもなんとも言えない気分になっちゃう。若干のいたたまれなさがここから始まるのよね…

 

しかし魏無羨が金光瑶に人質にされちゃったのでめちゃくちゃ強い藍忘機も力を抑制させられます。でも捕まり続けることもなく好きな人に愛されているという絶大な自信を身に着けた魏無羨がとんでもねーことを言っちゃってその場にいる全員を固まらせて隙をついて逃げ出すと。

あのシーン、緊迫したシリアスな展開にそのセリフかよ!!ってびっくりしましたね。もう笑った笑った。

 

物語のクライマックスが全部観音廟で片付く展開も意外でしたけどね、長々と引っ張りたくなかったのか、金光瑶の処し方がもうこれしか思いつかなかったのか、主人公二人が相思相愛になったらもういいかってなったのか(それラノベあるあるかも)、自分の肉親も含む知り合いたちの前で突然とんでもない告白をされて固まり抱きつかれても嵩高な丸太のようになってしまう藍忘機の心中いかばかりか(めっちゃ面白い。笑いが止まらん)。

 

周りも風向きも天気ももわりと空気を読んで二人で大事な話ができる空間が出来たもののそこにお互い肉親(金陵は義理だけど甥っ子だし、精一杯の身内代表では)がいる中で思いを伝え合うんですが、魏無羨はどこまでも率直で恥じらいがなく、藍忘機は節度があって上品なのがいいですね。

魏無羨の「一生お前と一緒に夜狩がしたい」はもうプロポーズですものね。三本の指もね、身内もいることだし(金光瑶の顔をしているとはいえ)観音様の前だしで結婚の環境は綺麗に整っているんですよ。そうとは書かないけどそこまで伝えてくる描写力素敵だなーってニヤニヤ読んでる。

ながーーーーーーーーーーーーーーい間秘めていた思いが通じた藍忘機がちょっと泣いちゃうのも精一杯の感情の発露なんですよね。でもバッキバキの怪力で魏無羨を抱きしめちゃう。いつもめちゃくちゃ力強い。

 

こうなるともうふたりとも怖いものがあんまりないから乱入した江澄が場を盛り上げた挙げ句盛り下げようが、金光瑶がどうなろうが、その下っ端が無駄にイキろうが相思相愛のバカップルと化しちゃうし藍忘機なんて最後の最後は片手だけで500kg持ち上げるくらいの怪力を発揮するんですよ。

バーサーカー凶屍兄上と観音様と金光瑶がカオスとなって沢蕪君が心をズタズタに傷つけられて収束という展開で、主人公二人はハッピーエンドで少年たちは可愛いし救われもするけど12年前から頑張ってた人はだいたいズタボロで終了を迎えて主人公二人は駆け落ちしちゃうという…

 

まあ、私は藍忘機が報われるならそれでよろしって思うけれども。

終盤の青姦(て表現する我よ)と焼き印の原因になった女の子との再会、二人をつなぐ曲のタイトルの素晴らしさまで彼らが幸せになってよかったなあと思って終わりました。

番外編もね、結婚後の日常とか良かったですね。香炉の話はとんでもなかったけどそういうのが大好きな人にはすごい燃料になったのでは。私はラストの番外編が好きだなあ。輪投げで藍忘機が欲しい物を狙ったら魏無羨の首に輪がかかるやつ(「かかったら私のもの」)とか、家宴で藍忘機が差し入れたものが彼の手料理だったのにあまり食べられなかったことを悔しがったら「また作る」というやりとりとか、「また」があるのがいいですよね。他でもこれで終わりじゃないって会話が度々出てくるのが嬉しい。

本当にいいハッピーエンドだったなあ…

 

 

さて。だいたい吐き出したぞ。

吐き出し足りない部分もあるけれども。

スッキリしたので…

こちらを手配したので近々読もうと思います。

あと魔道祖師のアニメとドラマ陳情令も見るんじゃないですかね。ラジオドラマの評判がいいですが、どうしようかなあってところ。お話はもう知ってるしな…BLじゃなくてブロマンスで留まっているほうが表現の抑制されている分いろいろ秘めたものを勝手に見出す楽しみもあるんですよね。

 

中国BLからしばらく離れたくないのと、天官賜福はまだ続刊しているので私は生殺しの世界に身を投じる事になるんですよ。台湾版の4巻の表紙見た??

あれ超やべえじゃん?台湾版の表紙そのままで日本版も売るつもりならとんでもねーのが面陳されるんですよ、本屋とかアニメイトで!腰がどうなってんの、90度折れてんの?(気になるのそこ)

でも大体半年に一度のタイミングで出て近々2巻ということはしばらく生殺しになるから怖いですよねえ…いままでそういう目に何度も遭っていたので、なるべくなら完結したものを一気に味わいたいのですが、まあ止められませんよ。

本当なら電子書籍で欲しかったのですが、紙のほうが1ヶ月発売が早いということで、やむを得ず紙で買うことになりそうです。好みじゃなかったら売れるからいいか…BLとかってサイコメトラーに買われると私の感情が伝わって恥ずかしいとかわけのわかんないことを危惧してあんまり売らないですけどね。同じ理由で中古も買いません。

この作品もクソでか感情モノということで、私の性癖には刺さるんでしょう。

 

藍忘機のクソでか感情はマジでデカかった…満足…

自分の感情の整理のために書いたけれど需要があるのかどうか知りません。

久しぶりに1万字超になりました。

ここで終わりにしとうございます。でも「あれ書き忘れた」って突然追記することがあるかもだ。

 

あー!一番書きたかったことを忘れてた

この作品を読みながらずっと聴いていたのが米津玄師さんの「Pale Blue」なんですよ。

Pale Blue

Pale Blue

  • 米津玄師
  • J-Pop
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

歌詞がわりと12年前の藍忘機の失恋ソングに聴こえる…もともとこの曲が大好きだったんですが、後半の「どれだけ生まれ変わろうとも意味がないくらい どこか導かれるように貴方と出逢いたい」ってところで心臓掴まれるんですよ。

紙銭を燃やさなかったのは彼の死を認めたくなかったのもあるだろうし、過去に全然素直じゃなかったのをずーーっと後悔していたんだろうなあと思うと読み終わってもなんだか泣けてくる。本当に報われてよかったし、そういう世界観で良かったですよね。