大好きなくせにあと延ばしにして8年読んでなかったなんてな
寒風が肌を刺す1月、デントン署管内はさながら犯罪見本市と化していた。幼い少女が行方不明になり、売春婦が次々に殺され、ショットガン強盗にフーリガンの一団、“怪盗枕カヴァー”といった傍迷惑な輩が好き勝手に暴れる始末。われらが名物親爺フロスト警部は、とことん無能な部下に手を焼きつつ、人手不足の影響でまたも休みなしの活動を強いられる…。大人気警察小説第5弾。
相変わらず起こる事件は凄惨ずくめで、プライドが高くて上に阿る上司からの圧という面倒と鼻っ柱の強い女性の相棒と無能な部下に手を焼く多忙の日々のフロスト警部の物語ですが、やっぱり面白い。なにが起こるかわからないというスリルもあり、フロストの立場がわりと常に中間管理職としてのピンチに塗れているのにどこかしら笑うに笑えないけど笑っちゃう展開もあり。
自分史上初で、犯罪者の自供中にずっと笑っちゃうってこともありました。だって、フロストが「もう面倒だからこいつが犯人ならいいのに」って気分で半ばやけっぱちでお前が犯人なんだろ、って匂わせたら本当に自供しちゃったんだもの。こんな刑事ドラマ、コントでもなかなかないわ。
女性の相棒や活躍する刑事、おまわりさんはわりと毎回出てくる(気がする)けれど今回は功名心が強いながら問題を抱え、署長からのいやな圧もかかってここからスカッとする展開にならないかしらと期待してる。署長マジで安定のクソ野郎ですわあ。でもその署長を凹ますような上には上がいるもので、警察の小汚い身内びいきも主人公のフロスト警部を救うならまあいいかと思ったり、フロスト警部が実はでかい勲章持ちなので、勲章持ちは不始末を起こしても守られがちという図式は最近どこかで見たなも思ったり。
面白いのでなるべく今日中に下巻も読み終わりたいです。
2021/11/14 20:12
下巻読了
面白いけど胸糞悪い事件ばかり、読みながらそういえばこのシリーズって終わりの数十ページで畳み掛けるように片付くんだったと思い出しました。
意外な犯人像が浮かび上がるわけだけど、まあ、事件が悲惨すぎて。読むのはメンタルがわりと丈夫なときのほうがいいですね。
ここ数年で世の中の意識が随分と変わり、署長のマレットのミソジニストぶりはこの時点でも唾棄すべき人柄として描かれていたけれど、フロストやポンコツすぎる部下のモーガンのさかりがついている様子も本能によるものだろうとはいえ、表現するとコンプラに引っかかるには十分のレベルになってしまいました。当時は許されていたかもしれないがいまは看過できない部分もあり、事件のモチーフ自体性的に搾取される女性たちがクローズアップされるのでフェミニストにはなかなかきつい作品と言えるでしょう。
下手したらこのシリーズはこんなに面白いのに埋もれていくかもしれない。
読んでいる最中、お腹が空いたので読書を一旦休んでご飯を用意している間にそう感じたのでした。
今回は今までより胸糞悪い署長のマレットがよく出て来てフロストに圧を与えるのがひどいように感じたり。「フロスト気質」のほうが追い詰め方がキツかったけど、こっちは出番が多かったから鬱陶しかったなあ。
次の巻で完結ですが、マレット滅びてくんねーかな
ミソジニストも自分の手柄のことばかり考えて部下の負担を考えないくそったれも嫌いなので、マレットへのヘイトだけがでかくなっていく感じでした。
ポンコツの部下に対して苛立ちながらも思いやりを持って接するフロストが健気だったなあ…