夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

サタデー・ナイト・フィーバー(映画)

 土曜の夜だから今日見るしかないと思いました。

白く輝くスーツに身を包み、厚底靴でハッスル!
ジョン・トラボルタを一躍スターダムに押し上げた、あの名作が帰ってきた。
1人の若者の成長をクールなダンスシーンを織り交ぜながら描いた青春ストーリー、『サタデー・ナイト・フィーバー』。
塗料店で働くトニー・マニロの唯一の楽しみは、仕事の後、ディスコに繰り出して踊り明かすことだったが、
彼はそんな先の見えない退屈な日々から抜け出したいと思い始めていた……。
繊細な心を持つ主人公、トニーを演じたトラボルタは本作でアカデミー賞(R)主演男優賞にノミネート。
ビー・ジーズによるサウンドトラックも名盤となり、
サタデー・ナイト・フィーバー』はアメリカン・カルチャーの殿堂入りを果たし、伝説の映画となった。

 うちの母(このブログでおなじみのネタバレ好きかつホラー好きで娘への情操教育がかなりおかしかった人かつ中洲のディスコクイーンだったらしい。自称)がずっと「この映画のトラボルタはよかった」と褒めまくってダンスのステップも教えてくれていましたが、一緒に見ることはなかったな。トラボルタをちゃんと映画で見たのは「パルプ・フィクション」が最初じゃないか。いや、「グリース」は見たわ。

もしかしたら「ゴールデン洋画劇場」でやっていたのをチラチラ見たかもしれない。

 

そのくらいの感じで見ました。ビージーズは子どもの頃から大好き!

 

主人公のトニーは女の子の視線を集めるのは好きだけど、そんなに執着はない見た目に拘りナルシスト気味のダンスバカで、カメラの撮り方とかはトラボルタをめっちゃアイドル扱いしてサービスショット多め。日本人が好むビジュアルとは思えないけど当時日本でも人気があったからゴールデン洋画劇場で複数回放映されたんじゃないかな。

序盤で一緒に踊るアネットといい、当時は比較的ふくよかな女性でもちゃんと取り上げられていてダンスが上手ならOKって感じがよいけど(アネット、上沼恵美子さんにちょっと似てる)、男性の台詞の端々で、字幕じゃなくて原語で女性に対する物言いがなかなかひどい。特にトニーのバカ友達。

ステファニーのダンスレッスン用の衣装を見てそういえば向こうではやたらノーブラなのを思い出しました。ディスコにストリップがあるのがいいな。そのダンサーはむちゃくちゃ体が綺麗でした。

 

その時代の労働状況やディスコブーム、人気の映画や俳優など風俗もわかって懐かしいと言うより年代的に未知の感じが強いです。

 

ステファニーのほうがちょっと年上で顔もおばさんっぽいが、トラボルタが今も通じる柔らかくてニヤついた笑顔なのでこれは誰とも仲良くなれる要素がある。役柄的にすげーおバカっぽいけどこんな子いるわ

ステファニーとの初めてのダンスシーンでトラボルタはソシアルダンスの基礎もちゃんとあるんやなあと感心しておりました。トラボルタはハスキーなのもいいですね。

 

酒、女、喧嘩と旧世紀の青春が良くも悪くも活写してる感じ。ダンスの練習シーンとかダンスコンテストに向けて距離を縮めたりあるのかと思ったら「世界にひとつのプレイブック」より練習シーンはないのは当時のディスコダンスは即興性が強いのかしらん。(比べてみたのはあれもダンスコンテストが控えていたからなんだけど、ダンスの出来は段違い…あれ好きです。めっちゃヘタやん!!っていう)

 

ダンスコンテストのダンスがやたらしっとりしていてクライマックスで長々とブチューーーーとチッスして見つめ合うのはアリなの???あれで賞取れるの??って思ったらその理由を見透かしたトニーの態度が男前。ダンスに関してはストイックなのね…

 

ディスコいうよりソシアルダンスに近い気がする。中盤の方でトラボルタが踊っていた振りがだんだん周りに伝染していって一緒に踊っていくのは盆踊りを思い出しました。盆踊りもあんなふうにみんなが覚えていって最終的に同じ踊りになっていくからな。

 

ハードな展開も多くて当時の閉塞的で鬱屈を抱えているのも感じられたけど終わり方が前向きでベタベタはしてなくていまでも通用しますね。わりと好きな終わり方。

映画としては母がそんなに褒めてなかったのでどうかと思ったけど猥雑さも含め良かった。

お兄さんが神父を辞めても全然許せるとか、プエルトリカンを差別することに心の底では疑問に思っていたり、若さもあるんだろうけど人間としての良心とか感性がわりとちゃんとしているから、ステファニーも一緒にいて安心感があると思ったのかもね。話は薄っぺらいしおバカだけど、悪くない魅力がある。

 

ダンスシーンはなによりもソロでめっちゃ踊ってるのがよかったのであのシーンだけ何回も見たいと思いました。サントラももちろん聴きたい。いいですねえビージーズ

ビージーズのステイン・アライブといえばPVがただ歩いているだけというので星野源さんがおげんさんといっしょで取り上げていて笑ってもーたけどこの映画の冒頭もかっこいいトラボルタがペンキを片手にかっこよく歩いてるシーンが長々と撮られていてかっこいいけどいろいろ面白かったです。冒頭のチャラいトラボルタとソロダンスのトラボルタは今見てもいいぞ!

 

馬鹿な友達と縁を切りたいというのは「トレインスポッティング」でも扱われていて、底辺の若者の中にある普遍のテーマなのかもしれません。日本ではヤンキー社会とか。なかなか足が洗えないんですよね…

 

見ないまま死なないで良かったです。昔の映画は話は知ってるけど見たことないってことが多いけどこれはそれではもったいないね。

 

ここからかなり恰幅が良くなってパルプ・フィクションに出るのだけど、あの時のダンスシーンも良かったなあ。

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