夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから(映画)

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TLですごく評判がよかったし、あらすじを知るだけでもう心惹かれた。

この映画、すごく好き。

アメフトの控え選手のポールが文才があって同級生のレポートの大半を代筆しているエリーに憧れの女の子、アスターへのラブレターの代筆を頼むのだけど、エリーもアスターに惹かれているから話がややこしくなっていくってストーリーなのだけど、ゲイとかレズビアンがどうのこうのじゃなくて三角関係がとても研ぎ澄まされていくのが丁寧に描かれていて、特にポールの人柄をエリーが深く認識していくにつれて名作に出会えた喜びで満たされてしまう、私が。

 

二人に愛されるアスターが説得力ある魅力的で知性的な女性でカーストのてっぺんのおそろい好きや異性の話しかしない女子たちなど周りの空気を息苦しく思いながらもそこにいるしかない諦めを抱えている。その雰囲気が見事に表現できる女優さんだった。

他のキャストもとても絶妙。エリーのお父さんがやつれた美男なのもよし

おそらく現代が舞台なのに田舎の高校だからか学生たちのセンスがクソダサいのに自分たちが一番かっこいいってカーストを作り出してるのが痛々しくて興味深い。かっこいいと決めるものはいったいなんなのだろう?その辺わざとダサく演出している感じがあるから滑稽に見えた。

 

話の骨格はシラノ・ド・ベルジュラックマイ・フェア・レディっぽいところもあり、人柄はいいけど教養が微妙なポールの知性を突貫工事で鍛えるエリーがポールになりすましてショートメールの遣り取りをするのだけど、引用するのがサルトルカズオ・イシグロなど確かにふつーの食べることと体を動かすことが好きな学生にはハードルが高い内容かもしれない。でも本人たちにとってはスリリングなやりとりなんだよね。

アスターはポールの後ろに見え隠れするエリーの存在が気になり、近づいていくのだけど森の中での長回しのやり取りがなかなか美しい。

 

ポールの性格の良さ、環境の良さが本当に好きで、エリーもいい子なんだけどポールのパーソナルスペースの狭さがエリーのお父さんも普通に受け入れる感じとか見ているこっちも癒やされてしまった。本当、ポールに出会えただけでもありがたい映画でした。

そんなに見てないけど今年見た映画の中では一番好き。いや、ここ数年でも一番かもね。

ラストのエリーとアスターのやりとり、アスターの素晴らしい笑顔、良かったなあ。

 

ちなみに、私も学生時代に「日の名残り」をレポートの課題に出されたけれど映画を見て書きましたわ…映画になってるって知らない人たちはかなり苦心したらしい。一応私は本も読んだけどな。

 

日の名残り (字幕版)

日の名残り (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 アンソニー・ホプキンスの作中のお父さんで衰えきった執事が劇中でサービスする予定の紅茶のカップによだれを落としてしまうというくだりが忘れられない…