怖がりなのに怪奇小説大好きなのだけど怖がりなのでなかなか読むタイミングがない。が、それってただの言い訳で、別に寝る前に読んでもいいんですよ。特にいま、日常がスリラーかホラーかってくらいだから怖いものって怖くないんじゃない?って話してて。
装画が美しいけどこれって死体なんだろうなー(呑気な見解)
全13編、書いているのは一応知っている著名なロシア文学の作家ばかりです。ロシア文学はそこまで読んだことがないけど子供の頃からちょっとずつだけ馴染みがあって、「イワンのばか」とか「せむしの仔馬」とか読んだりね、最近は「戦争と平和」とかね。
本当は「ヴィイ」が読める本を探して東京創元社の怪奇小説傑作集も買っていたのですが、こちらにも所収。なんでヴィイが気になるかって、そらーFGOのサーヴァント、アナスタシア(ロシア最後の皇帝の娘が英霊になって召喚された)の宝具名が「ヴィイ、ヴィイ、ヴィイ」だからですよ。なんですか私は赤羽さんですか。
順番通りコンスタントに読むかどうかはわかんないですけど、とりあえず1作めを読みました。
「葬儀屋」 アレクサンドル・セルゲイヴィチ・プーシキン
いまNHK総合で放映している「歌わない方」と言われるレミゼのジャベール警部を演じている人がアフリカ系なんだけど、いかに多様性礼賛の風潮を反映した作品作りって言ってもフランス革命からわりと時間が経ってないころのフランスの警部がアフリカ系ってことがあるのかいなとちょっと首を傾げたあとで、そういえばプーシキンのおじいさんの例もあるしあまり気にしなくてもいいのかもしれないね、と思ったばかりタイミング。気になるならウィキペディアを参照。(ちなみにドラマはCMでしか見てませんよ。ファンティーヌが歯を抜くシーンがどうしても正視できず、どの作品も見られない。話を聞いただけで悲鳴が出るわ、これのほうが怪談だわ)
いきなり脱線したけど、お話はごくごく短いなかでロシアの葬儀のしきたりやご近所付き合い(この辺の気持ちのざわつきは洋の東西とか時代とか関係ないね、雑なからかいにはいじられた方はモヤッとするもんですわ)、からのシャイニングじみた展開からの、柔らかいオチ。
怖さ度では緩いけれど、映像化したらちょっと怖いかもだ。短い話なのに当時の街に住む人の様子が垣間見え、民族や宗教も絡まっていて、その頃のロシアのことを全然知らなくてもとっつきにくいことはなかったです。でもああいうオチって、あの頃から普通にあったのかなあ?って。はしりがプーシキンだったらおもしろいけれど、民話的でもあるか。
って感じの…(以下オチのネタバレ反転)
夢オチ。
そういう落とし方をすると怖くないから今どきだったらもう一捻りしちゃうんだけどそこは大昔のお話なので、ひねらなくてそれもまた味わいがあるかもだ。翻訳自体もちょっと古いので(たぶん75年くらい前の翻訳だと思う)使われている漢字、当て字も興味深く、怪談というより短くて面白い古典を読んでいる感触でした。