割と面白いのに読むのに時間がかかっている…本当なら今日で読み終わるつもりだったのにな。
SFが読みたい2018年版に目を通しているときに、ファンタジー部門で3位に挙げられていたこちらに注目。作者の名前に見覚えがあって調べたら評判のいい「テメレア戦記」の作者だと。
それで興味を持って入手、さっき上巻を読み終わりました。
静山社のファンタジーというとハリー・ポッターがかなり有名ですが、趣がぜんぜん違うしこちらはちょっとだけアダルトです。身の丈に合う大人の性の匂いがします。
10年に一度、領地の各村から挙げられた女性から一人を選ばれ、領主<ドラゴン>と暮らすことになる慣習があるが、今回は有力な候補がいてそれが親友のカシアであるから安心と親友と離ればなれになる悲しみと寂しさで<ドラゴン>の前に立ったが、選ばれたのは自分だった…!というまあよくある感じの出だしだけれど、そこからガチな魔法の修行が始まり、主人公は身汚い女の子でドラゴンはそういう名前ではあるものの、年齢不詳でいくつかわからんが若く見える魔術師で、彼は不穏な森から領地を守っているものの人間らしい感情の大部分は苛立ちとか怒りとかいったご機嫌斜めなものばかりで、この作品はどんな感じで進むのかわからんなーと思いながら読んでいたら、年齢不詳の魔術師が意外に初な小娘みたいなところがあるツンデレだった…!
描写にはないけれど、私は仮にこの<ドラゴン>をコリン・ファースに当てはめるとしっくりきてわくわくしちゃう感じです。
主人公のアグニシュカは小汚いんだけど、ガサツなだけで特別な才能を秘めているからドラゴンに選ばれたところがあるっぽい。しかしそれは女性的な魅力からという感じはなく、あくまで弟子として、という流れだったので特別な才能を持っている主人公にそんなに惹かれないからどうなんだろうなーと本当に手探りだったけれど、畳み掛けるように発生する事件、困難がわりと面白くて読み進めていったらツンがデレた(でもしょっちゅう怒っている)ので面白いの確定!
魔術の会得していく過程、コツの心得かたなどに個性があり、その細かい描写が魔法を使ったファンタジーが好きな人はうれしいだろうと思います。その辺がしっかりしているから、主人公に才能がある、それが芽生えるという展開も強引ではない。ここが強引だと一気に冷めるんだけれども、それはない。
花開く主人公の才能に戸惑いつつもデレるドラゴンに注目です。つづきを読むぞ!
2018/03/05 4:33
下巻は一気読みでした。
立て続けに起こるとんでもない困難に立ち向かう主人公がとてもたくましく、そらーツンがデレるわ。
勇敢さレベルが宮﨑駿ヒロイン並みでした。
「好きです」とか「愛している」って言葉がひとつもなくても成立する関係って素敵だけどそれを物語にはなかなかできない。それをやってのける筆力に唸ったけれど、わりとハードなファンタジーなので恋愛などを楽しみに読んだら痛い目に合いますが、デレるドラゴンの奥手な可愛さ、年齢が年齢なのでそこへ至る懊悩というか理性の壁をどんどんぶち破っていく主人公の可愛さ、女性としてのたくましさを文脈から垣間見てニヤつくことは出来ると思います。上手い人だなーって最後まで読んで唸ってしまった。
- 作者: ナオミノヴィク,Naomi Novik,那波かおり
- 出版社/メーカー: ヴィレッジブックス
- 発売日: 2007/12/01
- メディア: 単行本
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こちらもむちゃくちゃおもしろいと前から聞いているのでまた入手したいと思います。