夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

「この世界の片隅に」のあとにリアル「この世界の片隅に」トーク

 長崎の被曝3世で広島で育ち、反戦主義の母親に育てられたので幼少の頃からもういやっちゅーくらい平和教育反戦教育を受けてきたので、正直戦争映画はもうええわいって気持ちだったのだけど、大好きな細谷佳正氏とのんちゃんと小野さんが出演されているし、見た人の誰もが勧めてくるもんだから見る気はあった。

そしてYahoo!のプレミアム会員だといまはかんたんなエントリーで無料で見られるよということで(その分お高いソフトバンクの通信費を払っているけれど)今日ようやく見ました。

 映画自体は思ったよりファンタジーな演出もあってびっくりしたけれど、別に美化もしていないしライトでもないし。そこで10代後半→20代前半を生きたおっとりした女性の目線かなあって。

小姑のキツさもリアルで田舎の家あるあるって感じじゃのう、って苦笑いしつつ(私は世界で一番優しい小姑であることに定評があるよ!!)国の情勢とか本当に遠くの話で、ただ空襲が脅威で食べ物などに困るのが目の前にある問題だったんだなって。

主人公が江波の出身だと知ってそれだけで「ああ…」って心配しちゃうくらいにはあの頃のことは知識としてあるので日付とかが出てくるたびに緊張してしまった。あれは過ぎてしまった後に生きている我々にしかない緊張感なんだろうか。

 

最後の最後まで真摯には見るけれど胸を揺さぶられることはさほどない、ただ真摯に見るのみであると思っていたけれど、最後の展開で大泣きをしてしまった。

何も失わずに済む人は殆どいなかっただろうけれど、失うだけでは済まなかった人も多かったと思いたいのであった。

 

うちの戦前生まれの父方の祖母と週に1度お喋りをする時間を持っているので視聴が終わった後話をしていると、自然と昭和19年から20年の話になって、映画の話をしたら呉の工廠で働いていた人とその家族が地元に引っ越してきたという話を教えてくれて、すずさんみたいな人がそこかしこにいたんだなあという実感が。

うちの祖母ははるみさんよりちょっと年上くらいか。

当時の空襲や防空壕の様子をいろいろ話してくれたけれど、地元は空襲の被害がなくていろいろと免れたらしい。同じ広島にいても、原子爆弾がどれだけの被害をもたらしたかはろくに知らなかったそうだ。

片や母方は祖母とその母と弟妹は多少爆心地とは離れていても光を浴びて全員被曝したのだけど。曾祖母は数十年生きたけれど最後はひどい病気に苦しんで亡くなってしまった。祖母は存命で特に大きな病気になってはいないけれど、リウマチで長い間苦しんでいる。因果関係はわからないが母親は大きな病気にかかって寛解した経験がある。

 

父方のおばあちゃんはそこまでひどい目に遭っていないけれどいろいろ見ては来ているので「戦争だけはいかん」としょっちゅう云っている。というか「いかん」と言わない戦争体験者ってほとんどいないだろう。

なんで抵抗できない一般市民がひどい目に遭うのか、その辺の不条理を偉い人たちはちゃんと認識してほしいものだな。

 

備後ネイティヴだけど安芸訛りに寄せていたような気がするほそやんの演技に惚れ惚れして、のんちゃんの演技がのんちゃんにしかできないもので素晴らしかったです。

子供の頃から広島で育つとハンパない平和教育を受けるのでいまさらな気持ちもあったけれど、やっぱり見てよかったとは思うよ。