夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

ザ・コンサルタント

 発達障害児をポジティブに育てた結果

田舎町のしがない会計士クリスチャン・ウルフにある日、大企業からの財務調査の依頼が舞い込む。

調査をしたウルフは重大な不正を見つけるが、その依頼は何故か突然一方的に打ち切られてしまい、さらにその日から、ウルフは何者かに命を狙われるようになる。

実はウルフには、世界中の危険人物の裏帳簿を仕切り、年収10億円を稼ぎ出す命中率100%のスナイパーという、もう一つの顔があったのだ。

というあらすじですが、お話はわりかし重層的でベン・アフレックさん演じるウルフがめちゃくそ強い理由とかが回想などで分かるようになっていてそこに潜むものがとってもとってもとっても面白い。

ところどころで安易な仕掛けもあったり、回想部分の伏線と現在の部分で足らないパーツを埋めると結びつくものとかもあって明かされると「やっぱりなー」と思う部分もあるけれど、それでも引き込まれるし、一番緊迫するはずのシーンでびっくりするようにはなっている。

守らなければいけない女性が登場するのですが、ハリウッド映画あるあるの邪魔な感じは抑えられていました。そこが良かった。

無駄なものを排除するとどうしても伏線がバレバレになりがちだけれど、それでも無駄なものがない方がいい。

ベン・アフレックさんは肩幅のいかついゴリゴリのマッチョで顔立ちが割といいけれどキャラのつかみにくい雰囲気があるから(頭悪そうに見えて頭良さそうにも見える。目がわりといつも虚ろで力がない。口元もあんまり引き締まっているように感じない)こういう役柄に向いているんだろうな。

 

なぜベン・アフレックさんをさんづけするかって?

映画監督として尊敬しているからですよ。出る映画のチョイスが時々謎なんだけど、これは面白かった。

 

 

ここからネタバレ

 発達障害を持つ子供と健常の子供を軍人の父親が英才教育を施したらどっちもとんでもねー暗殺者に育ちました、人を殺しながら兄弟げんかはするわ、兄弟で思い出話をするわでそこを見せたくて作ったのではというほど面白い見せ場だった。

私はアスペではないから彼らのことは外からでしかわからないけれど、育て方を選べばこうなることだってありえるのだから、天才の活かし方ってすごく重要だなって、映画なんだけど現実的に感じた。

私はADD(衝動性と多動性はあんまり)だから特性が違うけれどADDでこういう映画を作ると…ここまで話がうまく決まらないと思う。大抵肝心なところでドジを踏む。クールになれない。コメディ・リリーフになる。

ADDとかADHDが主人公になったらのだめカンタービレとかシャーロック・ホームズになります(シャーロックはドジを踏む描写はないけれど、ワトスンが書かないだけよきっと)。

どちらも天才の素養を持っているのであとは育て方かもね。私は異常な記憶力で、興味のある分野は集中してドジさえ踏まなければ好成績を出せるけれど、スイッチ入らないとさっぱりアホよ。

この映画は極端な例ではあるが、目のつけどころがおもしろくてこういう話とは思わなかったからいろいろびっくりできてようございました。