大昔にハヤカワ・SF・シリーズ(銀背)で出版されたのが絶版になって久しく、しかもあまりに大昔なのでデータとしてAmazonにもないという状態で、読んだ人たちやコニー・ウィリス本人*1とそのファンから語り継がれていた伝説の作品、ルイス・パジェット(ヘンリー・カットナー)作「ボロゴーヴはミムジイ」がアンソロジーに収録される形で復刊して数ヶ月。
ルイス・パジェット「ボロゴーヴはミムジイ」
時間SFだという話は聴いていたけれど具体的にどんな話かまったくわかっていなかったのだけど、読んだら「幼年期の終り」を思い出すところもあり。
大人は昔子供だったのに、大人になってしまうと子供のことは理解しがたい存在になるのかね。
私は子供の頃に考えていたことを割りと克明に覚えているから(というか今と考えていることはさほど変わんないというか)ここまで理解不能じゃないけれど、噂を聞くとこんなちょっと怖い話だとは思わなかったので驚いている。
タイトルがあの作品からとられているのも初めて気づいてあの作品は奥が深すぎるとか。10歳の頃に自分のお小遣いで買った本だけど不気味なイラストに目が行きがちで、しかも買ってすぐにあの有名な作品の続編で私はそっちは映画でしか知らない、と気づいて読んでないまま数十年…
ネタバレになるのでその作品名は伏せるけど。
何かに取り憑かれた(言い換えれば集中している)子供はそれ以外にはなんの未練も思慕もない、それをそばで見ている保護者は寂しさと管理者として制御できない恐怖を感じるのかもしれない。ちょっとかわいそうになった。
面白いかどうかは読む人によってぜんぜん違うと思うのだけど、私は銀背を5000円近く出して買わなくてよかったなーって。適切な価格を翻訳者に印税として支払える状態で購入できてよかった。早川書房さん、復刊してくれてありがとう。

- 作者: アーサー C クラーク,福島正実
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2012/12/21
- メディア: Kindle版
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*1:何かの講演とか自分の著作の前書きとかなにかで強く推していた