夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

リヴァイアサン3部作

リヴァイアサン クジラと蒸気機関 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

リヴァイアサン クジラと蒸気機関 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

ベヒモス―クラーケンと潜水艦 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

ベヒモス―クラーケンと潜水艦 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

ゴリアテ ―ロリスと電磁兵器― (新ハヤカワ・SF・シリーズ)

ゴリアテ ―ロリスと電磁兵器― (新ハヤカワ・SF・シリーズ)

復活した銀背(新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)のしょっぱなに鳴り物入り?で発売されたシリーズの、3作目をようやく読んでこれで完結。

お話はダーウィンが遺伝子操作で人工的に作った動植物が人々の生活や戦争にまで利用され、それに反目した人たちが機械文明を発達させて世界が二つに分かれてこれから第一次世界大戦じゃーという世界観で、両親が暗殺されたことにより世界大戦が勃発して自分は逃亡を余儀無くされたオーストリア公子のアレックと、イギリス空軍の兵士になりたくて性別を偽って入隊したスコットランド人のデリンが中心となって戦争やその特異な世界観に翻弄される、という展開。

最初に読んだのが1年と少し前でまる一年をかけての3部作完結だったのだけど3作目は読むのが遅れて今日読了した。

宮崎駿、これを読まないかな…好きそうなものがたくさん出ますよ。


大人も読むに耐える少年少女の冒険活劇ってたぶんあんまりないと思う。しかもダーウィニストの人造獣の造り込みが面白いし、対抗するクランカーのウォーカーのロボっぷりもかっこいい。鋼鉄製モノ好きだけどこのお話では人造獣に惹かれた。空飛ぶクジラとか夢みたいだけどグロテスクなの。
しかし現実的に考えて燃料とかのことを思えば使わない時にはちょっとしたメンテしか必要がないクランカーのものと、休んでいる間もカロリーを消費する人造獣のことを思えば効率がいいのはクランカーだろうよ…

恋愛成分もいちおうあるけれど、お話の設定からデリンは性別を偽っているのでちょっとややこしく、勇敢で賢い女の子なのでお相手のアレックを喰っちゃうくらいかっこいい。読む人によっては腐った感じに変換可能だろうな。最初は男として振る舞う部分にえらく力が入っていたのに馴染むとふつーにかっこいいのよね。その辺の成長ぶりを見守るのもよい。

表紙は内田パブロさんによるものだけど、中は原書と同じイラストが多用されていて、そのイラストがくせがあって独特だけど世界観には合っている。歴史改変ものなので実在の人物がたくさん出てくるのも魅力。
読み物として楽しく、老若男女選ばないと思う。

新銀背は1冊を除いてすべて買っているので(本命はコニー・ウィリス!)消し込みをかけていきますぞ。