夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

メタルギア・ソリッド ガンズ・オブ・ザ・パトリオット

プレステ3を買った時に一緒に買ったのがこれ。
2も1も手をつけているけれど、1は最初のエレベーターに乗るまでに匍匐前進でゲノム兵に見つかり、ゴキブリのように殺され、2は側転した雷電が鳩の糞に滑ってこけた。しかも網膜認証のために敵兵を捕獲しようとするにもどうしても気絶させてしまうので出来ず、泣く泣くそこだけ他人の手を借りた覚えが。
3はどんなカッコ悪いスネークになることか、絶望して手をつけず。
でも他に欲しいソフトもなかったので4は買って。だいたいなんのためにPS3を買ったのかいまは思い出せない。
一番簡単なモードなのでクリアはできるけどドラム缶に隠れてゴロゴロ道を横断したらスネークが嘔吐するという…そして私の「世界一かっこ悪いスネーク伝説」は今のところ終了。一応PWも持ってるけど起動したことないや…私は。


そんな私がなぜこれを読んだか。
伊藤計劃さんの本をどれか読もうと思ったから。この方は私と生まれ年が同じで、それだけが理由じゃないけど存在がかなり重たい。読み始めるならノベライズがいいんじゃないかな、と思ってこれにしたのだけど、まあ、舐めていました。これは死に直面している人がたくさん出ている物語だった。途中まではオタコンを通して語られるゲームの登場人物の過酷で絶望的なお話として物語を追っていて、オタコンがスネークたちのことをめちゃくちゃ好きだから感傷的に語られるのを「こんな人と一緒に働いたらしんどいわあ」と思いながら読んでいたのに気づいたら、友だちや大事に思っている女性たちの死を受け入れようと強くなって行く、美しくて逃げのない折り合いの付け方が丁寧に描かれ出していて、それを書いたのが伊藤計劃さんってことで、もう打ちのめされた。
この人じゃないと書けないだろうし、書いた彼を少しでも知っているか、全然知らないかでまた印象も変わるだろうな。

私は一度読んだら割とすぐに手放すのだけど、これは角川文庫なので持ち歩いているとすぐに傷んだから図書館にでも寄贈するかな、と思っていたのだけど、あとがきで「書架に永く留まって欲しい」と書かれていたのでその遺志を汲み取ってずっとうちの本棚にいれておきます。で、昨日読んでいて大きく揺さぶられた「人間は消滅しない」という文章を時折読み返すでしょう。

覚悟がいるけど他の作品も読もう。このゲームの世界観は興味深いしシリーズは(下手なりに)好きなのでぼちぼちやっていこう。
というか、序盤を読んでいると私はやっぱりゲーマーなので、ゲームがしたくてしたくて。ゲームアーカイブスのMGSを落として(そしてやはりゴキブリのように打たれたうえに追い詰められる。コツがあるのは知ってるのになぜ特攻するんだ私は)、Vita版の2、3の2本セットが気になったり、ライジングが気になったりしている。でもPWを持っているんだからそれからかな。
でも基本、戦争なんて大っ嫌いだから、終わらせるための物語と言っても、そこみエンタテイメント性があっても軽い抵抗がある。
向き合うべきか逃げるべきか、それが伊藤計劃さんへの態度とも似てる感じがする。

METAL GEAR SOLID PEACE WALKER PSP the Best

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それにしても読後感がとんでもないので、次に読む本がなかなか決まらない。
フィフティ・シェイズ・ダーカーでも読むか?(いやだ)