- 作者: シャンナスウェンドソン,Shanna Swendson,今泉敦子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2009/02
- メディア: 文庫
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前巻でオーウェンがケイティを助けるためにあっさり敵の要求を飲んじゃった事態を踏まえ、最強の魔法使いたるオーウェンが世界の危機より恋愛感情を優先しちゃうことを危惧したケイティが「大いなる善」のために泣く泣くというか「そんな自分がかっこいい」って感じで仕事もマンハッタンの楽しい日々も捨てて生まれ育ったテキサス州コブへ戻って数ヶ月ってところから始まる。しかしケイティは未練タラタラ。わからないでもない。コブはど田舎だし(コブサラダのコブかと思ったらサラダの方は発案者の苗字がコブだった)家族は個性的な人たちが大勢いて賑やかすぎるし、オーウェン大好きだし。
事あるごとにオーウェンのことを思い出していたら、ケイティと同じ特質を持つママがおかしなものを見て、どうやらいないはずの魔法使いがいてちょっとした悪さをしていると気づく。
心配になったケイティは(株)MSIに相談すると、おなじみガーゴイルのサムが調査に現れ、それとは別にオーウェンも現れて…こうでなくっちゃ。
事件を調査するうちに判明するケイティの家族の秘密。オーウェンが「特別な友達」として現れたことでママを中心として大騒ぎになったり、事件の原因が例の間抜けな敵というのもあってお話はオーウェンが消耗するくらい忙しくなるのでした。
ここからネタバレ。
私はこのエピソードが一番好きなのだけど、一番好きな理由は他でもない、ケイティの回想や心情を吐露するのも含めてオーウェンが出ずっぱりだから。オーウェンはケイティがテキサスに帰ったことが原因でギクシャクしてなかなか本音を明かさないし甘い展開になかなかならないけれど、オーウェンが自覚なしに数々の女性を篭絡していく様子は面白いし、精霊を呼び出す手段はとてもロマンティックでした。
ママの理性すら狂わせるってなかなかない。
そして赤ちゃんも馬も。
ケイティが家族の秘密を知って自分が決して特別ではなかったことに悲嘆にくれるのが面白かった。彼女の可愛いところはこういうところにあるのかも。口には出さないけど「主役はわたしなのに…」って思ってるはず。十分主役ですよ。すごい自己主張です。
ラスト、オーウェンは漸く本音を打ち明けるのだけど、そこからさきのドラマチックな演出はオーウェンだから可愛いのであって、普通だったら「ないわあ」ってくらい頑張ってた。好きな女性の靴を片方保管しておくってすごいロマンチストだと思う。
精霊を呼び出す時、その方法について説明する部分は、原文では翻訳文よりさらに言い淀んでいるのを原文を読めば気づきます。
Don't Hex with Texas: Enchanted Inc., Book 4 (Enchanted, Inc.)
- 作者: Shanna Swendson
- 出版社/メーカー: Ballantine Books
- 発売日: 2008/04/29
- メディア: ペーパーバック
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会社が認めないのを仮病使ってまでケイティを助けに現れるのも素敵だし、自分を使ってエネルギー補給してもらえるケイティがおいしいおいしい。
甘い展開はあまりないのに萌えることができる。この、読み手を楽しませる引き出しの多さにちょっと驚く。
オーウェンの本音と要望は至極もっともで、ケイティはこれでマンハッタンに帰ることになったのだけど、ここからお話の核心に入るのに本国では出版されていないエピソードに続くのでした。映像化のライセンスも売れてるって話を聞いたことがあるけど、それなのにシリーズに一旦けりをつけるエピソードすら出版させてもらえないってどんだけ零細企業なのよ。
東京創元社さんだって立派な出版社でこだわりがあって趣味の良い読書家さんに愛されているけれど、(失礼ながら)そう頻繁にベストセラーが出てるわけではない。それでも日本オリジナルとして出版してくれているのに。
先日、読書メーター専用の東京創元社さんのアカウントで「魔法無用のマジカルミッション」が告知された時に、すぐにナイスが10個以上入ったの。私も入れたけど。
告知されてナイスがつく作品は意外に少ない。反応があからさまだったりする。
そんな中、10個以上って私的に多いと思うのよ。
こんなに反応の良いファンもいるのにね。アメリカのファンたちの心情はわからないけれど(人気がないのは1作目ではオーウェンと友達で終わったからじゃないかしら。順序を踏まえていて悪くないとは思うのだけど)彼女たちは日本からの情報がない限り、オーウェンの秘密を知ることがないのか。
私だったら出版社に直談判してるか作者自身に直談判して「100ドル払ってもいいから読ませて!」と懇願してるな…電子書籍化して100ドルくらいで売ればいいのに。と、私がモヤモヤしてるのでした。
100ドル払う価値はある。日本円だとちょっとお安いけど。
(追記)自費出版の電子書籍化で6ドル99セントで発売中!100ドル払うって云ってるのに☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆だから何も迷うことなく買いました。