夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

ハーヴェステラ 攻略の感想 お話のネタバレなし

発売直後から初めて途中ポケモンスカーレットを優先し、図鑑を完成したあとで再開。

結局24日間(じっくり遊んだのは15日間)60時間以上でクリアしたらしいです(ニンテンドーアプリで確認)

    • “死季"を⽣きる――。
    • 四季を彩るファンタジー世界を舞台に生活・交流・冒険が楽しめる完全新作の生活シミュレーションRPG
    • 季節の変わり目ごとに訪れ、全ての生命を脅かす災厄「死季」のさなか、目覚める主人公
    • 色彩豊かな丘を拠点に自給自足の生活をしながら、仲間たちと協力し脅威を乗り越え、世界の成り立ちと災厄の真相に迫っていきます

     

 いままで遊んだゲームの面白いところをいろいろ集めた感じがある、ファンタジーとSFのごった煮の世界観で破綻してないのがすごい。絶妙でした。

ここはルーンファクトリー、ここは世界樹みたい、ここはゼノギアスっぽいとかあれこれ似たものを思い出しながら楽しめました。世界観のデザインが美しいし、音楽は最高。キャラデザは可愛い。キャラクターも魅力的な子が多くて(老けキャラがメインキャラにいなかったのは惜しいっちゃあ惜しい)各キャラのエピソードも良かったですね。

 

 お話もなぜいまその世界が厄介な問題を抱えているのかがかなり壮大に広がって最後まで気になるように出来ているし、主人公の謎な部分もどうでも良いように見えてどうでもよくない塩梅で引っ張るのもうまい。

 作った人がSF大好きなんでしょうね、キャラクターエピソードのタイトルにちょいちょいかぶせてくるのが私は嬉しかったです。「星を継ぐもの」とか「夏への扉」とか。確かにキャラクターにピッタリなんですよ。「幼年期の終わり」が出たときは魔族という位置づけのディアンサスはやっぱりオーバーロードみたいなものなんだなと納得したり。

 

農耕牧畜と料理クラフトのシステムがうまく戦闘と絡んでくるのだけど、なかなか売上に回せないからサブクエストの報酬を当てにするしかなく、寄り道が多くなるのだけどサブクエストのエピソードが記憶に残りそうなのが多いんですよね。

お金がなかなか足らないまま、時間も足らないまま(ゲームの世界で四季一巡はしました)いろいろやりくりしながら日々を過ごすのでスローライフとは言い難い、忙しいゲームではありましたがそれは私のやり方であって、もっとゆっくり丁寧に二巡くらいしながら遊んでも良かったかもしれないです。

 

キャラクターの衣装のテクスチャがすごくリアルだけどキャラクター自体は一昔前の感じもあるグラフィックなので、ちょいちょい昔のゲームを遊んでいるような錯覚に陥るところもありましたが、どういう采配でああなったんだろうな。悪くはない、むしろ最先端ぶって綺麗で頑張りすぎるとこのお値段で遊べなかっただろうし。

ゲーム内時間が流れ続けている都合上?ファストトラベルも最小限で、かと思えば目と鼻の先がショートカット出来たりと親切なのか不親切なのかが謎ではあった。

 

その辺も慣れればどうでも良くなってくるもので。

クリア後ですが、不満点を挙げるとすれば、そのファストトラベルまわりのことと、ダンジョンの地図がマップアイコンで見えにくい時が終盤多くてわけわかんなかったとか?井戸は最初はパーティーが解除された状態であるのも教えて下さいって思ったな。

釣りが体験版よりは早くなったとはいえ時間がかかったのでそんなに出来なかったです。ヌシ釣れなかったなあ…あれが連れていれば金策もまだ捗ったかもしれない。

 

またこういう農耕ファンタジーとSFが同居したゲームは遊びたいから(魔族もいてほしい)同じスタッフさんでゲームを作って欲しいですね。一作限りであってほしくないな。音楽も椎名豪さんで!

 

充実したゲーム時間になりました。いいゲームだった。もっと売れるといいな。

日曜日記 ハーヴェステラ攻略

久々にウマ娘のイベントに参加して、ライブの育成を食わず嫌いでやったことがなかったのを「おもしろいよ」とお婿が言うのでやったところ、本当に面白いのでゴルシ、キタサン、オグリキャップなどを育成していました。

 

その後から始めたんですが、いま7話。

牧歌的なファンタジーと壮大なSFが同居するゲームって大好物だから設定の重さにびっくりしながらも、音楽もいいし話も面白いしで手応えを感じています。

しかしこれを早解きした人ってどういう進め方したんだろ?めっちゃ時間かかりますよ??

アリアに委ねられた選択ですが、私は迷わず村長を選びますわあ…

ディアンサスと村長が好きだなあ。エモも可愛い。割とクライマックスだと思いますが、いいRPGだと思うのでもっと売れるといいな…

今日ゲームばっかやってたけど犬の散歩がとても長引いていつもの2倍歩いたのでなんか体調が良くないです。

これ以上悪くならないよう祈って寝よう。神頼み…

23003 ホリー・ジャクソン著 服部京子 訳 「優等生は探偵に向かない」 感想 文末に読んだ人にだけわかるネタバレあり

読もうかどうしようか迷っている人へ:前作より面白いから読みなはれ

前作を読んでない人へ:絶対前作を読んでからにしなはれ

前作もいろいろツッコミ入れながらも面白かったので続きが出たのはすぐに買いました。読んだのは前作を読んだちょうど1年後になりますけどね。

leira3mitz37.hatenablog.com

高校生のピップは、友人のコナーから失踪した兄の行方を探してくれと依頼される。兄のジェイミーは、2週間ほど前から様子がおかしかったらしい。コナーの希望で、ピップはポッドキャストで調査の進捗を配信し、リスナーから手がかりを集めていく。関係者へのインタビューやSNSなども丹念に調べることで、少しずつ明らかになっていく、失踪までのジェイミーの行動。ピップの類い稀な推理が、事件の恐るべき真相を暴きだす。

 

同性のティーンエイジャーなんてよっぽどじゃないと好きになれないけれど、この主人公は頭が良くて誠実で合理主義なところがあり、場を支配したい傾向があるのでその頭がいいだけに感じの悪いところがやっぱり好きじゃない。本人としては誠実でいたいし、自分の正義に反する人以外は幸せになってほしいと思っているいい子なんだけど、ちょいちょい嫌なところが出てくるのが、モデルがいるんじゃないのかなっつーくらい人物造形がしっかりしている。あんまり友だちになりたくない。ひねりたくなる。

 

前作の結末から彼女に何が起こったのか、様々なところで触れられていて大げさな言い方をすれば時代の寵児みたいな受け入れられ方もあり、高校デビューを果たしたともいえるし、そのマイナス面も半端なくあるなかで自分が関わった事件にケリをつけるべくポッドキャストを利用してその後の裁判も含めたレポートをすることにしたんだけど、YouTubeじゃないんや、と時代を振り返ったところで2018年と。いまやったらYouTubeやな…あの頃でも十分YouTubeで良かっただろうけど

 

そこでの大バズリをきっかけに前作にも出た親友の兄が失踪したために捜査するよう依頼されるのだけど、本人は前作で懲りてるから最初は拒否します。まあこれでノリノリだったらねえ…引くわねえ。

でも物語の神様がうまく彼女を事件捜査に導くんですよ。そうでないと続編ができないものね。

読み手が納得する方法を導きます。24歳の男性が親と喧嘩したあとに姿を消してもそりゃあ警察は探しませんて。家族の勘で事件に巻き込まれた可能性が示唆されても警察は取り合わない。これは割とどの国も一緒でしょう。そこにフロスト警部がいたらますます駄目。そのうち戻ってくるだろう、お嬢ちゃんって言う。そして言われるの。

 

やむを得ず親友の兄を探すことになり、彼の足跡を追うと徐々に彼が家族が思うような人とは言えない部分を持ち合わせ、秘密を抱えていたというのが明らかになっていくうちにお話は面白さを加速させていくんだけど、そこで驚くのがイギリスの飲酒可能年齢が18歳だから高校生がパーティで飲んだくれるのもアリだったり、わりと田舎でもマリファナがそこかしこにあること(前作でもその描写はあったか)

あと本当かどうかわかんないけど性被害に遭った女性の名前が公開されるところ。裁判とかならわかるけどピッパのポッドキャストでも名前が公表されるので大丈夫かいなとゾッとした。伏せなさいよそこは。だから嫌われるんだよ。

 

前作でこじれた人間関係、前作から変わった人間関係からもドラマが生まれていくのと冒頭から前作の結末が語られるので本当に前作も読んだほうがいいです。ピッパの家族関係は前作を読んでいたほうがわかりやすいし前作で何が起こったかも語られますが、前作でドキドキしながら読んだほうが絶対おもしろい。

 

望む望まざる関係なく名探偵になってしまった18歳の頭が良くてリサーチ力がある女の子が次の事件で様々な目に遭うんだけど今作のほうが女の子に同情できたし共感もできました。三部作なんだっけ、三作目が今年に日本で出版されるのでそれは早めに読みたいと思います。今回のことを得て、また新しい事件に直面することになるんだろうけどそこでどう振る舞うのか気になる。

謎の開示のしかた、後半の展開も前より個人的に好きでした。たぶん前作より主人公がそこまで頭のいい愚か者じゃなかったからかな。

 

 

ここからネタバレ

(前作のシェアをはさみます)

 

続きを読む

23002 アンディー・ウィアー著 小野田和子訳 「プロジェクト・ヘイル・メアリー」 下巻 ちょいネタバレ感想

いやもうこの作品大好き

人類の希望は、遥か11.9光年の彼方――。たったひとりの冴えた相棒と、謎の解明に挑む!2021年アメリカでの発売以来、NYタイムズをはじめ様々なベストセラー・リストに挙がり、ライアン・ゴズリング主演で映画化が進行中の、ファースト・コンタクトSFの新たな金字塔。

問題が立て続けに起こって心配になるのは「火星の人」と似ていて、これでもかという困難と解決の連続で、でもこちらはすぐそばにロッキーがいるので孤独な戦いではないんですね。

主人公が正規の宇宙飛行士でもないのに地球の危機のために宇宙船に乗っていることや、記憶が混濁していた理由も徐々に明らかになっていくからラストの地球に対しての心の距離感も納得がいきます。地球に特定の大事な相手がいなかった。

 

私は絆という言葉が吐きそうなほど嫌いなのですが、その言葉の良さを感じました。

割とすべてが納得できて無理のない展開で、よく書いたなあと感嘆せずにいられない。たまたま出会った二人が善良で、エリディアンがロズウェルの地球人みたいなことをしなかった(なにをしたのか知らんけど)、うまく行って一応のハッピーエンドを迎えたのはうまく行き過ぎる気もするけれど、あれ以上の困難は物語としては不要だったんでしょうね。

最後の最後まで手に汗握る展開で主人公、グレース博士の選択にはよくやったとしか思えない。

 

面白かったです。ロッキーがとにかく可愛い。映画化されるのですが、ロッキーがたとえヤバい造形をしていても絶対大好きになるだろうな。

あとビートルズが流れ続けるんでしょうね。「火星の人」ではデヴィッド・ボウイでした。

作中には出てこなかったけど私の中では「Lucy In The Sky With Diamonds」がずっとかかっていました。なんででしょうね。

ビートルズは母親の胎内にいたときからずーーーーーっと聴いているからさすがに聴きすぎて最近全然聴いてなかったんですが、久々に流しました。

23001 アンディー・ウィアー著 小野田和子訳 「プロジェクト・ヘイル・メアリー」上巻 感想

読初(よみぞめ)。なんと、わしらの大好きな星野源さんも絶賛なんですよね。

未知の物質によって太陽に異常が発生、地球が氷河期に突入しつつある世界。謎を解くべく宇宙へ飛び立った男は、ただ一人人類を救うミッションに挑む! 『火星の人』で火星でのサバイバルを描いたウィアーが、地球滅亡の危機を描く極限のエンターテインメント

最近テッド・チャンの「あなたの人生の物語」を読んだばかりなのでそこに通じた部分もあったり、下巻の表紙カバー見返しの出版社に寄る惹句にあったようにジェイムズ・ティプトリー・Jrを思い出すところもあり。圧倒的な危機を前に世界中が一致団結するのはどこかでも読んだ。「幼年期の終り」はちょっと違うか。

…と書くと、各作品を読んだ人にはネタバレですが、各作品を読んでいる人はもうこの作品を読んでいるはずですよ。私が遅かった。

実は80ページあたりまで読んでいたのですが、主人公の置かれた状況がわりと過酷で、「火星の人」もかなり過酷だったけれどこちらのほうが過酷なうえで出てくる専門用語などが超絶理系で難しかったから一旦閉じちゃった…あと私、閉所恐怖症だから閉鎖空間苦手なんだわ。

 

でも超絶理系ながら、バカな私にもわかりやすく割と説明してくれているんですよ。しかも主人公が「火星の人」のマークばりに好感が持てる。作者が陽キャなんだろうな、性格が良くて楽しい人なんですよ。まっとうで良識的な科学オタクって感じ。

上巻最後まで読んでいたら高校の頃に習った化学の知識が思い出せるようになってきます。どういう理由で地球が危機的状況に陥り、なぜ主人公がその対策の中枢的なポジションで活躍することになったのか、そしてなぜいま地球から遠く離れた場所で一人きりなのか、それが途轍もなく面白い構成で読み手に開示されていくのでちゃんと集中力があってこういう作品が好きだったらページを繰る手が止まらないってことになるんでしょうね。

 

私のエンジンがかかったのが「ロッキー」が登場してから。あんまりネタバレを踏まないようにしていたけどチラッとどこかで見たような気はしたんですよ。でも物語の展開的にそういう方向に持っていくのはズルいなあ、どういうことなるんだとうっすら思ったりしたんですけど、ロッキーとの出会いから関係性の構築までお互い運が良かったというねきか、いやはや。

でも主人公の性格が良くて、ロッキーにも可愛いところがあるのでこの僥倖がそこまでご都合展開にも思えないんですよね。

あなたの人生の物語」に似た会話の成立も、えらいスピードが速いし言語学の天才でもあるまいにとも思うけど賢いもの同士で合理的な会話手段を開発したと思えば…めっちゃスピードラーニングやで…とは思うけど、必要な展開ではある。

 

この出会いが地球を救うことになるのか、ロッキーの存在が私にはすでに切ないんだけどロッキーの運命やいかにとかいろいろ思うところはあります。とっとと続きを読みましょう。

 

土曜大晦日日記 料理はちゃんとする やむを得ず大掃除 ハーヴェステラ攻略 2022年面白かった本・映画・ゲーム

来週の週中の作りおき料理と年越しそばは作りました。

年越しそばは鶏せいろ。コウケンテツ先生のレシピで。年越しそばをせいろにしたのは初めてです。美味しかったなー

しかしその料理の片付け中に、シンクの隣の冷蔵庫の裏に菜箸を落としてしまい、なんだか嫌なので冷蔵庫を動かして掃除をすることに。思いがけずどえらい大掃除になりましたが、やって正解でした。ちゃんと毎年冷蔵庫の後ろまで掃除をしよう(そう思うような何かがあったということ)…

お風呂も大掃除しました。先週もやったんですけどね、お風呂はすごくきれいであることに越したことはないです。

 

そのあと日中はハーヴェステラをやっていたのですが、4話のボスが無茶苦茶つよくてですね。

レベル上げとジョブスキルを増やして行くことにしました。で、ハーヴェステラの思わぬ落とし穴が、HP回復のために料理を食べたらお腹いっぱいになってそれ以上は食べられなくなるんですね。ジュースを持っていかなかったので結局HP回復できずに死ぬという…ひどい目に遭ったのに笑いが止まりませんでした。

 

さて、2022年を振り返って、ずーーーっと国家試験の勉強が頭のどこかにあってあんまり集中はできないし、読書にも身が入らないしで。映画、ドラマも本当に身が入らない。そんな中で良かったのがこちらかなあ

好みのSFでした。読んでよかった。

ミステリはそんなに読んでないけどこのシリーズを読めてよかった。来年は最新刊まで追いかけたい。

映画はそんなに見てないけどトップガン マーヴェリックも面白かったけど他の人が何回も見たり盛り上がったりするほどじゃない。

一番心に残ったし見る価値があった。そういう意味で面白かったなー。また見たいとは思わないけど。頭に焼き付いちゃったもん。

長々だらだらやっていたポケモン剣を含めて3作、この1年でポケモンのエンディングを見ました。なんと初めて図鑑も完成させるという…めちゃくちゃ強いレイドバトルにも参加できるようなポケモンも用意しているという…こんなことポケモン遊びだして20年で初めてでワクワクしています。

どれもすごく楽しかったですね。

あと今年は古めのゲームも遊べたし。まさか令和の今、ドラクエ3とマザー2をクリアするとは思わなかった。

来年はピクセルリマスターFFが発売されるので、全部やるつもりで楽しみたいと思います。あと本格的にヒカセンになりたいとか。FF16も出るし。そして大本命のゼルダの伝説ティアーズオブキングダム。遊び終わるまで死ねませんね。

 

死ねないというと、健康診断でいろいろギリギリだったので来年は気をつけたいのと、この2ヶ月前までわりとサプリメント漬けだったんですよ。主に栄養剤。それと目にいいやつとハトムギ。目とハトムギは体質的にやめないほうがいい気がするけど栄養剤をやめたら、それまで定期的に出来ていた口内炎がピタッとなくなったり、体調もそんなに悪くないんですよね。よく寝るようになったのもあるかもしれないけど。

だからなるべくお薬に頼らずにいたいなと。半年くらいまえになったどぎつい腱鞘炎はほぼ治ったけど完治というほどじゃない程度です。

 

RTAinJAPANをずーっと見ていたんですけど、ずっと面白かったですねえ。

FF10はショートカットしても8時間以上かかるのがすごい。でもまたやりたくなりました。

メトロイドフュージョンもマザー2も、走者さんも解説の方もすばらしい。

とても楽しい配信イベントなっているんですね。国境なき医師団へのチャリティーイベントになっているのもいい。私も少額ながら寄付しました。来年は石油王になりたいなー寄附金額、今回はどうなるかと気になっていましたが結果としてすごい金額になっていました。国境なき医師団を支援する巨大コンテンツになるといいな…

 

2023年は遊びに全振りしていくつもりなので、このブログも充実していくといいですねえ。新しい試みもしていく予定ではある。それは楽しみ。とりあえず国家試験まではくすぶり続けるんだろうな…でももうそんなに勉強しないで遊ぶんだろうな。

22015 22016 ライラ・ペース「ロイヤル・シークレット(1)ロイヤルシークレット」「ロイヤルシークレット(2)ロイヤル・フェイバリット」訳:一瀬麻利  感想

これはジャケ買いするBL

ニュース配信社の記者、ベンジャミンは、英国の次期国王ジェイムス皇太子を取材するためケニアにやってきた。滞在先のホテルの中庭で出会ったのは、あろうことかジェイムスその人だった。雨が上がるまでの時間つぶしに、ベンの部屋のテラスでチェスを始めた二人は、駒を取られるたびに一つ秘密を打ち明ける取り決めをする。それは軽いゲームのはずだった。しかしいつのまにか二人の間に不思議な感覚が通い始め――。世界で一番秘密の恋が、いま始まる。

Kindle版がセールをしていたので、前から気になっていたのを買いましてね。

年末年始は設定がリッチなBLなぞどうであろうと思って読み始めたらすいすい読めちゃって。

新書館といえばウィングスとか昔は(いまは知らん)同人誌で活躍していた美麗な絵師さんがメジャーデビューをする出版社ってイメージだったんですけど(高河ゆん先生、CLAMP先生方などはそうじゃなかったっけ?とりあえず有名になったのはウィングスきっかけだったはず。道原かつみ先生の作品も素晴らしかった)最近は「ヴァンパイアハンターリンカーン」とか、ちょっとおもしろい海外書籍を出版するなあとイメージはありました。

 

こちらは海外BLのレーベルでいいのかな。ライトノベルっぽいレーベルで海外書籍となると日本語の翻訳者次第で質が変わるという心配からなかなか食指が伸びなかったのですが、杞憂でしたね。そういうのを気にしている人、文体に超うるさい私が証明します。大丈夫ですよー!

文体がとても丁寧。そしてもともとの作品がちゃんと知性と気品を備えているんでしょうね。地の文が細やかで美しい。雑さがほとんどない。こうあるべきやなあ…としみじみ感じるものでした。

 

お話は禁断の恋オブ禁断の恋なんですが、私は実はイギリス王室ウォッチャーなので現実の王室のこともあれこれ考えながら設定の違いを気づいたり。

この作品では王室はハノーヴァー朝の王家なんですが、実際はハノーヴァー家から分裂したウィンザー家の王朝なんですね。しきたり等が違ってハノーヴァー朝だと女性の王が許されなかったりします。

パパラッチに追いかけ回されるのは変わりないし住んでいるお城は実際の王室準拠、王様はバッキンガム宮殿、皇太子はクラレンスハウスとか。

英国国教会のシステムはしらんけどもともと王が離婚したくてカトリックから離れて作った教会のシステムだからどうとでもなるのでは(絶対王政じゃないから大変ではあるけど。この辺世界史とってないからざっくりとしか知りません)と思ったけどそのへんの設定は10年前の説明と現在の説明で食い違うので作中の時間の経過で変わったのかしらん。

 

主人公は若きイギリス皇太子と旅先で出会った経済系記者で、やんごとない立場の人がワイルドでセクシーなお相手と秘密の関係を結ぶけれど、お互い深入りはしないという前提でお戯れを楽しむわけですよ。それがお互い抑制を効かせてもやっぱり惹かれ合うわけで。そのへんのじわじわとした接近がそれはそれは丁寧に描かれています。

セックスとかそのへんの描写は結構多いのですが、アマゾンのレビューを読むとこれでも足らないらしい。読者はどれだけ欲しがり屋さんなの??

私は海外産BLはそんなに読んだことがないからこれが過剰だか少ないのかは全然わからないし、好んでセックスシーンを求めているわけではないから(でもデュフフフと変な笑いを浮かべたりはした。でないとBLは読まんよ)割とチャンスを逃さずいろいろ致している彼ら及び作者のサービスの良さ(?)に感心していました。

セックスも濃厚だったけどな…リバなのが嫌という人もいらっしゃいますが、私はどっちもできるならどっちをやってもええやろがいとも思う派閥に属しています。真顔です。

 

1冊では完結しないし、珍しい終わり方をしたのですが(連載漫画で続きが確実にある感じを残して終了。むしろ1冊だったのが半分に割れた感じ?

大人らしく抑制を効かせて快楽を求めていたつもりが、駄目だ駄目だと思った時点でもう駄目だという好例でしたね。素敵なラブストーリーに仕上がっていました。二人の時間がどこを切ってもわりと美しくていい雰囲気。書いた人の知的レベルが高いんでしょうね。どこもかしこもちゃんとしていました。軽く読めるBLというよりちゃんと読めるBLって感じ。イギリスが好きならなおよし。私は日本と同じくらいイギリスが好きだからな…

 

冒頭にも触れましたが装画が美しくないですか?雨模様でチェスを囲み(しかしチェスで恋の駆け引きとかいろいろけしからんところもあってチェスプレイヤー好きとしては不道徳だ!笑と思う部分もありました)皇太子のはだしの足とかとても良くありませんか?こういうの好きだわー

 

この作品では周りの人物も魅力的で、皇太子の親友のレディ・カサンドラや妹のインディゴなど本当に王室周りにいそう。現実の王室はちゃんとしている人とそうでない人の差が激しく、こちらの創作物のほうでは厳格な色が強いかな。ハノーヴァー家のきっついしきたりをざっくり知っている程度ですが、あんな感じ。きらびやかなソーシャライトはそんなに出張っていないのも興味深い。

実際の王室では私はカミラ王妃とキャサリン妃が大好きですけどね。メーガンも好きなんですが、ネトフリのアレは興味ないので見ていません。女優のときと結婚したあたりのキラキラしていたのがよかったなあ。王族はキラキラしていてほしいですね。パパラッチは滅びてほしい。王族の人達が広報を通じてキラキラしたところを見せてくれればそれでいいんですよ。公序良俗に反しない限りは性癖なんぞ知るものですか。

 

そんなキラキラ成分も味わえるのでなかなか充実した作品となっております。

面白かったのですぐに続きを読もう…

 

表紙がもうネタバレじゃないかね

ケニアのホテルで恋に落ちた英国皇太子ジェイムスとニュース記者のベン。一族の前ではじめて本当の自分を明かしたジェイムスは、国民に向けてカミングアウトする。連日のメディアの報道に戸惑いながらもベンはジェイムスとの信頼感を深めてゆくが――!?  世界一秘密の恋、「ロイヤル・シークレット」続篇。

あらすじも1巻の終盤のネタバレなのよね。これは続き物あるあるですね。

2話目になって欲しがり屋の読者の気持ちも分からなくはないくらいにセックスシーンは激減し、しかも内容もかなり薄味になりました。

まあでもさ、付き合ったらそういうものかもしれないじゃん、それより大事なことができる関係性というかさ。

 

もしも皇太子がゲイでカミングアウトしたらというシミュレーションが事細かに描かれているように感じられるほどに社会性に富んだ内容になり、諍いというか痴話喧嘩や家族のいざこざや摩擦を乗り越えながら二人の関係性の練度が上がっていく様をずーーーーーっと割と至近距離で見ているような感覚でした。

 

そんな中で可笑しかったのが王室を捨てて引っ越そうと企む先にマンハッタンが挙がったことですね。確かにマンハッタンでは無関心が期待できるのか…行ったことないからしらんけど。

 

丁寧に潜ませた伏線が思いもよらぬ効果を与えて面白い展開にもなったし、そうなったことも強引ではなかった。

私は別にそんなにセックスしているところを読みたいわけではないからよく出来た作品が読めて大変満足です。いや、王子が最後に髭をはやしたのはそんなに…かしらん。

まあいいか。

 

面白かったです。海外BLの入門にはぴったりかもね、夢があってリッチでゴージャス。

この作者さん、別名義では有名な作家らしいのであとで調べよう。道理でうまいはずだ。ノーラ・ロバーツの別名義ではって話があるけどウィキには載ってないしさすがにまさかと思うわ…南部在住でもないはず。メリーランドって南部とは言えない。あとイタリアとイギリスに住んでいた経験もないはず(おまえノーラのなに知ってんねん)

いかに書くのが上手な大物が書いたBLとはいえ日本人の私が堪能するには翻訳者も上手だったからにつきる。おかげで安心して読めました。