夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

サウンドトラック♯1(ドラマ)

Disney+視聴が一旦今日までなので慌てて駆け込みで見ました。

言うても50分未満全4話なので普通?の韓国ドラマからすると2〜3話分で小品といえましょう。

18年親友というカメラマンと作詞家が、片思いを表現できない作詞家が言い出して同居することになり(同居させたがるのが韓国ドラマ…)長年片思いしているカメラマンのほうがドキドキしながら作詞家の方の無邪気なボディタッチとかにあら大変という入り口から、そんなカメラマンの思いに気づいてギクシャク、カメラマンは成功して海外へ、お互いの関係を壊したくなくてお互いなにも言えなくて一旦離れ離れに…という展開で、ラストまでだいたい予想通りではあるんだけど、古き良き少女漫画と古き良き少年マガジンの美少女が出てくる漫画が渾然一体となった感じが良き!!という感じでした。

 

ほら、少年マガジンでありそうじゃん、同級生で友達という距離感の女の子でさ、前かがみ気味に上目遣いで元気よく話しかけてくる子が出てくる漫画(伝われ)

あれがカメラマン視点で、作詞家の方はそばにいた友達が急に異性になって意識してまうやん!って少女漫画あるある視点。

 

それを素敵な音楽に乗せて展開するので全体MVに見えてくるんですね。ソウルの冬の厳しさも伝わる呼吸の白いやりとりがまたいい。

 

特にそれ以外波がないから4話で終わらせて正解だし、そういう作り方でいいとも思いました。普通の韓国ドラマ?だったら、このカメラマンに人生の敵がいて出世を阻み、当て馬の女の子の出番がもっと多くてもっと邪魔してくるし、作詞家の方の当て馬ももっと派手に動くと思う。そのへんがほとんど膨らまず、でも丁寧に心の機微を描いているので丁度いいんですね。

 

もう、お婿の琴線に触れまくって3話の兵役のくだりでボロッボロに泣いてましたね。

 

とても良いドラマなので、Disney+と契約したら見たらいいですよ。契約期間に余裕があったらあと5周くらいしてる。パク・ヒョンシクさんがとても魅力的で、相手の女の子も下手をすれば鬱陶しくてうざくてたまらんだろうけどこの子だから良し、ってなりました。

クレイジーラブ 残り2話残してしばらくお休み

Disney+限定配信、キム・ジェウクさんとクリスタルさん主演のドラマをぼちぼち見ていました。

Disney+

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キム・ジェウクさんは韓国でもトップクラスの塾のオーナー。IQ190の天才でとんでもなく性格が悪く、秘書や部下を虐げるので恨まれているが、イケメンなのでファンも多い

クリスタルさん演じるのは秘書で細かい要求に応えきれずに散々虐げられるが、ある日大病で余命宣告をされ、ブチギレて上司に復讐をしに行くことに

そこから派手な喧嘩(まじで派手。殴り合いレベル)をしたあとに代表が車で轢かれ、引き換えしてきた秘書が慌てて通報するが、代表は意識を取り戻したときに記憶を失っていた…というところまででだいたい1話が終わっていて、丁寧に丁寧に虐げられっぷりが描かれているのでなんとも辛いしきちんと同情させるよね。

 

そこから実は記憶喪失は命を狙われた犯人探しをするための嘘だったり、秘書の余命宣告も誤診だったことがわかるまでに秘書は代表の婚約者になりすまし、代表に細々と復讐をしていきます。日本のドラマだったら見られないような壮絶な喧嘩シーンも有り。

犯人探しのミステリや、代表の失脚を企む様々な裏切りがありながらも、ちょっと憎めないライバル塾のオーナー(「ト・ボンスン」で残念な反社のリーダーやってたひと)や代表が雇った凄腕の探偵(愛の不時着のセリズチョイスの部下の人)がちょいちょい笑わせてくれるから一応コメディらしさもあります。でも代表が11話あたりまで本当に性格が悪くて嫌な奴丸出しだったからキム・ジェウクさんだから魅力はあるけど彼をもってしてもこれはアカン、と思うレベルで。

 

ヒロインもやられっぷりが可愛そうで上目遣いが恨みがましく見えて全然楽しそうじゃないから悲壮感しかないんですよね。あと怖かったり。

 

11話にある誤解から二人の仲が好転して、その誤解が解けても恋人同士としてアツアツで噛ませ犬が手強く見えたのにぜんぜん刃が立たなくて恨みのあまりにどんどん性格ブスになっていくのが気の毒に見えてくるほどになりましたが、本来の性格の悪さと言うか、相手への要求の高さはそうそう治ることなく、自分が命を狙われ、その影響で秘書まで被害を被ると相手への懲罰感情はむき出しで、どれだけ愛を知ってもそこのキツさは変わらないというところで新たな犯人と、彼の命を狙う別の?容疑者も現れ急展開!ってところで14話を終えました。

まあ、こんな雑な説明では物語の魅力は伝わらないし、重要人物たちの情報はほとんどないという…最後の最後のあの白い服の人、私は「誰?」って思ったんだけど、これまで出てきたっけ??

 

月初めにチェックしたときには4月26日で完結とのことでしたが、どういう理由か知らんけど(本国では予定通りだったって話もあるけど)Disney+では中旬の一週間2話分が飛んで、最終回が5月にずれ込みました。

 

私はもともとDisney+の再加入は今月限りのつもりだったし、このドラマだけでは来月の視聴料を支払う決め手に欠けるため、次に見たい作品が複数出てきて私の時間に余裕があるときまでは一旦お休みです。

 

代表の性格の悪さに辟易したけど最後には軟化してほしいしそういう流れなんでしょうね。様々な人から恨まれて嫌がらせをされて、脅迫メールが来ても報告一つなかった事態にショックを受けているけど自分がそれほどの人間だったって天才でもわかんないものなのねー

 

つぎはネトフリの見る途中だったものの消化や社内お見合いとか見ていこうと思っています。ラブコメがいい、やっぱり。

 

いま知ったんだけど、イ・ジョンソクさんの新作ドラマが7月からDisney+で限定配信らしいので、8月辺りに復活すると思いまーす。その頃は勉強も一段落しているだろう…

聖伝ーRG VEDA−をご存知ですか

いま(2022/04/23現在)Amazon紀伊國屋書店ウェブストアなど電子書籍CLAMP先生の作品の多くが半額セールをやっているのですよ。

一番好きなのはカードキャプターさくらとXなんですが、さすがにXは半額でもハードル高いべということで大昔に読んだきり(なのにやたら覚えてる)の聖伝を買いました。

 

最強の武神将夜叉王は、天界を過酷なやり方で統治する天帝帝釈天に反旗を翻し、帝釈天に滅ぼされた阿修羅族の最後の生き残りである幼い阿修羅王を守り、「天を滅ぼす」と予言に示された六星を糾合する旅に出る。多くの犠牲を払いながらも集まった六星の内の5人は、帝釈天の居城に討ち入って帝釈天と対峙する。その最中、阿修羅王はついに真の姿を現わし、予言を成就させようとするが……。

中学生の頃に初めて読んだのですが、仏教徒の私に馴染み深い人たちが出てきて「男はつらいよ」でおなじみの帝釈天が超悪役なのに度肝を抜かれつつ、性別の垣根なく愛し合う登場人物や謎のチャライケメン、元気だけどなんか死亡フラグ立ってる脇役など魅力でいっぱいでまじでこれデビュー作かと慄くほどの画力とお話づくりに感激しまくって最後まで追いかけました。

まあ、でも私は高河ゆん先生の作品の方をよく買っていましたが。高河ゆん先生の存在が「お話を最後まで描かない(描けない?)漫画家がいる」ということを教えてくれました…それまで大手コミック雑誌の漫画ばっかり読んでたから作者のお話づくりがアレで頓挫とかいうものになかなかぶち当たらなかった。後々にはいろんな漫画家さんを知っていくんですけどね。西村しのぶ先生とか、PEACE MAKERの人とか。

 

いま読み返すとストーリー展開が早い冒頭で危ない危ない言われて容易に想像がつくのにあっさり滅亡しちゃう夜叉族、運命だなんだという理由付けで阿修羅を守る夜叉が案外ぼんくらではとか理由付けが希薄なのをメランコリックな雰囲気でごまかしてないかとか思ったり(終盤できれいにまとめたけども、一族が滅ぼされるくだりはあまりにも無防備で迂闊で展開が強引だったな)、当時から疑問に思っていたんだけど「汝ら」ってどう読むの?「うぬら」でいいの?(愛蔵版4巻で漸くルビが振られているのを確認「なんじら」でいいらしいけどなあ…「なんじら」だったら語呂が悪くないかと当時に思っていた)とかいらんところが気になったり、そして当時まさに中2とかだったから中2部分をくすぐったあれやこれやを思い返したら妙に自分の黒歴史をほじくるのでちょっとだけ恥ずかしくなったりしました。

 

なんか憧れるやん、手から出てくる剣とか。私の中にある様々な中二的要素の源流がだいたいCLAMP先生たちなんだよね、東京都庁の地下にワクワクしたり、高野山に夢を見たり。

 

帝釈天の壮大な愛とか蘇摩と乾闥婆王への重く優しい弔いなどの意外な思慮深さとかそれまでのギャップに引くけどリアルタイムで読んでいるときは乾闥婆王と蘇摩の関係にしても帝釈天阿修羅王の関係にしてもわかってるようでピンときてなかったかもしれないな。

 

わりと都合が悪くなったり用がなくなったり主人公に何かしらを負わせるためならどんな立場でもぶっ殺すところがあるよなーと他の作品で死んでいった人たちのことも思い出していました。でも好きなんですよね。序盤の序盤は粗かったけど途中でいきなり画力が改善されてびっくりした。そこからは長く親しんだCLAMP先生たちの絵でした。成人男性の肩幅がむちゃくちゃ広い、大人の女性の目尻が耳まで届きそう、顎刺さったら痛そう。でも美しい。

 

一番好きだったのは乾闥婆王だったのですが、結局おまえなんやねんというキャラながらやっぱり好きでした。もうちょっと前向きに幸せになってほしかったなあ

 

 

 

 

 

22008 テッド・チャン「あなたの人生の物語」

私が持っているのは「ばかうけ」の表紙じゃなくて、その前のデザインの紙の書籍と、電子書籍

前回お風呂で読んだ「アルファ・ラルファ大通り」が変な作品が多くて、同じく頭が良すぎる人が書いている上にこっちの理解も捗りそうな本を読みたいとこちらを手に取りました。

読んでいて「ああ、漸く美味しい水にありついた」という気分に。自分も知っているルールに基づいて書かれている空想科学小説と、私のよく知らない過去の教育と文化と数々の歴史的大事件を経て描かれた遠未来が舞台の小説とでは自分にとっておいしい水は前者かもしれない。まろやか。

コードウェイナー・スミス人類補完機構2は硬度高くて癖があるお水という感じ。噛みながら飲んじゃうような。

「アルファ・ラルファ大通り」が悪いんじゃなくて、こちらの理解と気分が追いつかなかったのが悪いのですが、この作品集は理解とか気分とか超越して「どんな物語が目の前に現れるんだろう?」というワクワクでいっぱいです。

 

「バビロンの塔」

旧約聖書に書かれたバビロンの塔をまさに建設する職人たちが塔の最前線(天辺)へ向かう話ですが、リアルとおとぎ話じみた設定がないまぜでまあ聖書なんて信者ではない者からすれば完全にファンタジーだし!と妙に納得しながら一人の職人が天辺まで向かい、そこから作業に入るくだりを一緒に感じていきます。バビロンの塔がどういうことになるのか、聖書をそんなに知らなくてもそこは知っている人が多いのでそれを前提に書かれており、いつどうやって崩壊するのかこっちは気になっているのですが、テッド・チャンは面白いアンサーを叩きつけてきます。

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」と同じオチ…といえるかもしれない。

塔の天辺へ向かう途中の階層の自給自足の描写が好きで、もっと細かく描いても良かったのにと思ってしまった。

巻末の作者による解説を読むと、ファンタジーでもSFでもなくリアルらしいけど、ということは宇宙ひも理論的な感じでつながっちゃってたって感じなのかしらん。知らんけど。

 

「理解」

事故で植物状態になった男性が新薬のおかげで回復どころか超人的なスペックを手に入れてしまい、国家の陰謀に巻き込まれそうになるのを回避しながらも立ちはだかったのは同じ状況で超人的なスペックを得た者だった…!という膨らませ方によったらマーベル系のアメコミとかにもなり得るけどそうはならず地味かつリアルを追求した感じの内容でした。

書き手がどういう思考を発展させてこういう作品を書いたのかわからないけれど、一定のスペックを提示して、そういう人間がいたらどう動くか、世の中はどう見えるかというシミュレートを行っていった結果、のように思えるほど緻密で丁寧な描写が続くけどエンタメ的とはいえず、思考遊びが面白く展開したように受け取りました。

ただ主人公は相手より超人化したのがすこし遅く、大義を持たず、大事に思うものが自己本位だった、相手は違ったということが最後に大きな影響を及ぼすのだけど、相手の決定打の打ち方が少年漫画の超強い敵そのもので、えらくかっこよかったです。藍染惣右介みたい…

むちゃくちゃ面白かったけど、対決の部分をもっと噛み砕きたいからもう一度あのへんだけ読み返そう。

 

「ゼロで割る」

2,3回読んだほうがいいかもだけど、自分にとって本質的な部分はこころに傷を抱えた夫婦仲だと見据えると数学的な訳わかんなさ、章立ての意味(超文系だからよ、1と2が同じと言われても(゚Д゚)ハァ?としか反応できないのよ)はまあ置いておける。

自分の失われつつある天才としての特質に対して正面から捉えられない人が、憤懣をぶつけられる相手がいたら残酷に振る舞ってしまうというのはよくあることで、それを相手がどう思っているか、心の離れていくさまが描かれていてなんとも悲しかったなあ。

 

あなたの人生の物語」2022/05/08読了

母の日に読み終わっちゃうんだなあ…

映画化されているのでそっちが見たいと思いながら我慢してました。

言語学者の主人公と宇宙生命体とのファーストコンタクトと未来形で語られる娘との関係性がわりと交互に構成されていて、母娘あるあるな関係性の中、時間軸がめちゃくちゃなので衝撃的なこともあったりしてこれはどういうことなんだろうと不思議に思いながら最後まで読んだら納得が…できるっちゃあできる。

言葉で語る時間に関する認識が宇宙生命体と地球人類とではすごく違い、その宇宙生命体のやり方で人生という物語を見たらこうなった、という感じなのかな。

結構序盤のあたりから胸に来るものがあったので、この物語がある程度理解できる自信がある人はお母さんなり娘なり、自分の大事な相手が生きているうちに読みましょう…

エイミー・アダムスとクリプラが好きなので見たい。が、これどうやって映画化したんだろ??

 

「七十二文字」

序盤で起こっていることがゴーレムの秘術とわかった私はオカルト好き!(これだけは先に書いておきたかった!大好物キタ!)

カバラの秘法によって産業革命が起こっている世界で人類存続の危機が判明し、それに対してカバラの秘法で回避しようとするのだけど(システムの違う人工授精みたいな)そうするならそうするで様々な問題が起こり、己の良識が試される…という展開だけど、読後感が「息吹」並みにスッキリするので「息吹」と同じくらい好きです。モチーフがとにかく好きだもの。

例え世界の有り様が多少違っても人間の性根というものが変わらない限り起こる問題も変わらないというのを感じさせ、でもそこで人の良識が昇華したアイディアがキラキラと輝いて希望に満ちた未来が見られるのが嬉しい。いい作品でした。

 

「人類科学の進化」

ショートショートというか言葉遊びというか。ものすごいことが起こっているけど大した問題にはならない…ってことですよね?って感じ。

 

「地獄とは神の不在なり」

天使降臨が実際に存在する世界観ということになっているけれど、降臨の際に起こることが天災とも奇跡ともとれるもので、それに対する解釈というか折り合いの付け方を巡って神に振り回されている人たちの物語という感じ。

身体障害を神罰とか恩寵と捉える人が実際いるかもしれないけど、私の身の回りにいる数人の障害を持っている人はそんなふうに捉えるより現実を自分らしく生きていくことがまず大変でそれどころじゃないような気がする。うちの母も障害者手帳を持っている身体障害者。私はサイボーグって呼んでるけど。

心のやり場を求めて宗教に傾倒する人もいるけど障害に宗教的意味を見出すようなことは本人は思ったり言っても他人はとやかく思ったり言ってはいけないという空気はある。またそうあったほうがいいと私は思う。余計なお世話だもんね。聖職者や信者がそれに対してなにか触れるようであれば思慮があるようでないから気をつけて。

神が確実に存在する世界の話だとしてもその神は本当に「神」なのか謎。なにが救いなのかも謎。神が本当に人一人ひとりの愛を求めているとも思えない。

めちゃくちゃおもしろい話ではあったんだけど、満たされないものを感じてしまった。

ところで、この作品から影響を受けてケン・リュウが小説を書いていたような気がするけどどこを影響受けたんだろ…って調べたら「紙の動物園」所収の「1ビットのエラー」だった。

改めて「1ビットのエラー」を読むと、なるほど「地獄とは神の不在なり」とつながりを感じるけどこちらは障害を罰にも恩寵にもしていないような。信仰への折り合いの付け方、納得の仕方とかがこちらのほうがよりリアルな気がする。どちらが好きかというともちろんケン・リュウの方。愛する人を失うということと神の御業をつなげるより宇宙規模の事象を絡めるほうが私には収まりがいい。改めて読んだら面白かったです。

 

 

「顔の美醜について―ドキュメンタリー」

様々な立場にある登場人物がインタビューめいた独白形式で顔の美醜を失認する施術を受けるか受けないか、また子どもの頃から受けて最近外した人などに起こっていることが語られる。

自分はこういうことが可能になったらどうするだろうという課題を提示され、この思考実験のような話を読み進めて誰の言い分が自分にフィットするか考えたり。

オチがなかなかの地獄でこの問題とその解消の仕方を突き詰めれば確かにそうなり得るな、と思いました。

で、自分がその美貌失認の施術を受けられたらどうするかと考えたけど私は美しいものを見ていたいからお断りですね。コンプレックスとか劣等感がないわけではないけれど、それより美を愛でる高揚感を大事にしたいわね。

この小説が書かれたのってそこそこ前なのだけど、この時点でルッキズムが問題視されていてポリティカル・コレクトネスという単語も出てきて当時の日本では聞き慣れない言葉だったんじゃないかとそこに焦点を当ててちょっと風刺めいた物語が書けるテッド・チャンすげー!という気持ちで物語を読み終わりました。

 

振り返り。

あなたの人生の物語」を購入からかなり経って(だって表紙が過去のやつですよ)漸く読了して非常に充実した気持ちです。一番好きなのは「七十二文字」ですが、他の物語もいろいろ考えさせられて読書会向きだなと、読書会に参加しないから読書会を主催するかもしれない親友に勧めました。親友もすでに購入しています。

 

お風呂で読むと捗るなあ…次は何にしようか、数作絞っているんですが、明日まで保留です。

Voice of Cards ドラゴンの島 1周目クリア

スクエニニンテンドースイッチ配信限定ソフト、Voice of Cards ドラゴンの島1周目をクリアしました。

すべてがカードで構成され、バトル画面はTCGゲームそのものの展開で凝りに凝ったこだわりの強い作品でした。レベル30でカンストすることやボリュームはお値段相当かしら。

途中なにも考えないで選択をするとマルチエンディングのグッドエンディングにはたどり着かないのだと最後の最後に気づくという…攻略サイトとか見なかったからな。

 

なので私は選ぶ選択肢の、新規キャラグラフィックが見たいだけの選択をしました。ある意味バッドエンドみたいなものです。でもグッドエンディングを目指すのはそこまで難しくないもののもう面倒くさいかなあ…

作風がダークファンタジーで音楽も美しくて没入度は高く、ゲームの難易度もそんなに高くないです。アイテムの取りこぼしは若干あると思いますが、買える装備品でも十分ラストまで行ける…と思います。

 

2作目も気になるので買うでしょう。もっとシリーズ化してほしいです。

最近スクエニはいろいろチャレンジされていて、前よりずっとワクワクするゲームメーカーになっているような。FFとDQの派生作品でお茶を濁していたところから脱却?と失礼な見方をしてます。

実写推理アドベンチャーも発売するし…

 

とにかく遊びたかったゲームを一旦終わらせることができてスッキリしました。お値段的にも優しいし、こだわりある変わったゲームがやりたかったら是非どうぞ。

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イブニング・サン別冊(映画)

タイトル長い…

 

『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(原題: The French Dispatch of the Liberty, Kansas Evening Sun)は、2021年のアメリカ合衆国のコメディ映画。監督はウェス・アンダーソン、出演はビル・マーレイベニチオ・デル・トロなど。20世紀のフランスの架空の都市で発行されたアメリカの雑誌「フレンチ・ディスパッチ」の最終号に掲載されたストーリーをオムニバス形式で描く

架空の雑誌の内容を映画化という珍妙な発想に気づかないとオムニバスの意味もわからないままだった…私が飲み込みが悪いせいもあるけどそんな珍妙な設定はちゃんとした挨拶がほしい。紹介文があってよかった。

 

ウェス・アンダーソンの映画でよく見るドールハウスというか吉本新喜劇的な舞台装置のなかで様々な名優が架空の都市の記事として物語を展開させていくのだけどフランスが舞台のせいかヌーヴェルヴァーグっぽさを感じる。

ここ数年そんなに映画を見てないけどティモシー・シャラメとレア・セドゥの裸はよく見ている気がする…何をやっても胡散臭くておしゃれなティモシー・シャラメと何をやっても愛おしい感じがするレア・セドゥよ…エイドリアン・ブロディも胡散臭い。そしてどこから演技なのかわからないベニチオ・デル・トロ。ティルダ様は普通っぽい役をしていても芸術品のよう。

 

Disny+の配信で見ていると字幕の位置が最悪な瞬間があるので円盤だとどうなるんだろうと気になった。この映画は美術と映像にこだわりがあるからそれの邪魔をしてはいけないよな

 

淡々とした作風なので途中で集中力が切れましたが、架空の都市のお話自体は好物なので楽しめました。もっと外国の歴史のある雑誌というものを知っていればさらに楽しかったのかもしれないですね。

私ときどきレッサーパンダ(映画)

まさかこんなに私にささる物語とは…(うすうす気づいてた)

(ノベライズのあらすじ↓)


ママは知りません。素直でまじめでがんばり屋のメイが、実は無理をしていることも、アイドルや恋に興味津々だってことも。あるとき、メイはついに感情を抑え込めなくなってしまいます。するとメイの体に異変が……。なんとなんと、巨大なレッサーパンダに変身してしまったのです!

 

 

母親の過干渉に知らず抑圧される子どもの話だと知っていれば見なかったかもしれない。あまりにも自分に近すぎる。でもコメディー色が強く、女の子たちがみんな可愛いしお母さんだって悪くはない。過干渉は子どもを信用してない証しではあるけど、心配が過ぎているからでもあるのよね。自分と子どもとの境界線が曖昧でもある。そこをお互いに気づけていい距離が取られるようになるといいよね。

 

最初のいかがわしい(笑)落書きが親に見つかって一番バレたくない相手に晒されてという恥の限界突破、思い出したらそりゃあ暴れたくなる黒歴史の瞬間だよ!もう気の毒で気の毒で。

子どもは親に嫌われたくないから理想の子どもを演じるというのも色濃く演出されていて、これは様々な保護者と子どもという関係の人達に見てもらいたいね。

レッサーパンダの大きさが抑圧の大きさだとママを見たら知り、ママの苦しみに気づけるのがいいな。ママが一方的におかしくて悪いわけじゃない。

 

表現の仕方が面白くて特殊なだけで普遍的で大事な人間関係を描いているのがいいな。

登場人物がみんな素敵で、ちょっと重たいテーマでもずっと笑っていられました。この映画はまた見たいし大好きで人にも勧めると思う。なによりいろんなものがキラキラしていて可愛かったものなあ。友達もみんな本当に可愛いし性格も良い。

あと興奮を試すために子猫をたくさん見せるくだりが大好きです。ありゃあ理性がふっとぶ。それと4なのに5人という設定が私にとってツボでママがツッコミ入れるところで大笑いしてました。クロマティ高校でも四天王なのに5人とかそういうところが好きでな…そういう謎の小ボケがある作品ってたいてい面白いんですよね。

 

見てよかった。これだけでもDisny+に再加入してよかったですよ。エンドクレジットの最後の最後まで素敵なのでお見逃しなく!