夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

近況・今後の予定

随分空いてしまいました。前が9月中旬ですか。一応1ヶ月に1回は更新しようと思っていたのですが、あまりに忙しくてすべてがお預けになっていました。

以前にも書いていたかもしれませんが、家移りをしました。長期出張を除いたら割と初めての大掛かりなものでした。一度家を新築してそのときに移っているけれどそのときには同じ敷地内だったし、もとの家への出入りも頻繁だったのと学生だったので特に大変なことはなかったのですが、今回は取捨選択を様々でこなしながら、時間も(自分で勝手に設定して)差し迫っていたのでバタバタで、この間ほとんど遊んでないですね。ずっとネトフリで水曜どうでしょうか、YouTubeでわしゃがなTVとよゐこチャンネルのアーカイブを流しながら作業・作業・作業。

…と言いながら、ご飯食べたら一服じゃーと言いながらなぜかGBAメトロイドフュージョン」をやっていました。

私は3DSでできるやつですけどね。

10年半前に、任天堂さんが初期型の3DSを発売日から短期間で1万円程度の値下げをしたのですが、その期間の間に買った人へのフォローとして、ゲームボーイアドバンス任天堂の人気タイトルを3DSで遊べるようにアーカイブスに落とし込んだものを配布されたのです。実質1万円以上の恩恵があったような。当時岩田社長がめっちゃ謝っているのを見たような。私は面白がってもう1台お高いうちに買ったような気がする…どうだったっけ。

 

そんなうろ覚えのこともあったよねーと思いながら、最新作「メトロイドドレッド」が面白そうだし、最近わしゃがなTVのおかげで横スクロールの探索型アクションの面白さに目覚めたので(悪魔城ドラキュラを攻略しているのを見てました)やってみると、まー楽しい。

怖い怖いと言われるけれど、私的にそんなに怖くはないです。SA-Xめっちゃ追いかけてきて私が下手で絶体絶命、ってところでいま中断してるけれども。ゾンビが追いかけてくるのはあんなに怖いのに。

リアルタイムでメトロイドの初期のゲームから全然ハマらなかったから今年までほとんどやってなかったけれど、この歳になって目覚めることもあるもんですねえ、これだから生きていてよかったと思うのでした。

 

で、メトロイドフュージョンにハマっていると結果的にサボって余計にスケジュールがタイトになり、同じタイミングで仕事のスケジュールもやたら詰まってしまい、一時期パサパサのシオシオのギラギラになっていました。久々に「のだめカンタービレ」の節子状態だったな…

 

いまはやや落ち着いて、本の収納がようやく終わりそう、あとはプラモデル、おもちゃ、文房具…衣料品等は早々に済ませていました。全部収納する場所を用意しているので、最終的にスッキリしそう。

新居ではトラブル続きで未だに業者の出入りがあり、そのへんでは落ち着かないし気を揉む事案もありますが、生きるのには困らない状態。そして引越し先の環境の良さに毎日感激しているところです。程よく田舎、ご近所がいまのところ穏やか。なによりも、前の家で抱えていた様々な問題がほとんど解消できたのがいいですね。毒家族とほぼ絶縁しました。

 

荷造りしているうちに自分の持っている物の多さ、結局消化してないところにうんざりして今後はおそらく控えめにしようと固く誓いましたが、そうは言いながら自分へのご褒美に買ったのが、Nintendo Switchのプロコン。

画像で見るより実際手にとったほうがモノがいいです。

そしてついに買ってしまったモンハンライズ。そしていち早く更新したニンテンドーオンライン+で遊べるようになったあつまれどうぶつの森のハッピーホームパラダイス。

近々ポケモンダイパリメイクが発売されるし、新規(と言えるかどうかは謎)タイトルも気にしつつも、既存の持ってるものを消化していきたいですね。

 

 

本も収納しているうちに読みたい本が山積み。でも、なぜかいま読むとしているのはどれも電子書籍

本の行方不明を防ぐために上下巻等はセットで収納するようにしていると、仕舞う前が神経衰弱のようになり、マジで神経衰弱になるかと思いました。

 

パサパサの日々の間に禁断症状が起こったのが「当分ハングル語を聞いてないわ」ってので、BTSを聴きまくり、ドラマにも飢えていました。見たいドラマたくさん。あちこちのサービスでサブスク解禁されたドラマが日々更新されているのを横目に見ていました。

いまはまず何を見ていいのかちょっとわからない、とりあえず本当におちついて生活のペースを掴まないことには。イカゲームの前にヴィンチェンツォやろとか。急に「トッケビ」を再度見たくなったり。

 

でもいま見ているのはdtvでアニメ「ハチミツとクローバー」。最近ではサブスクで見られなくなってるなあと思っていた矢先でdtvで見つけました。ありがたやー。声優さんたちの声が変わらないようで、ちょっと若い。むしろ変わらないのは羽海野チカ先生の声かもしれない。先日ゲスト出演された「わしゃがなTV」の生配信で感じました。

 

いろいろ大変だったけれど、周りの方の協力もたくさんあって、色んな人と仲の良さが深まったような気がします。大変なことも山積みだけど(家の維持費が全部我々持ちに、とか他の同世代の人には当たり前のことだけど、私には初めてのこと。あと動物たちも我々もいつまでも健康であるとも言い切れないお年頃です)あまり不安を抱えず、ある程度備えておいてそのときになって困ればいいと思いながら日々を楽しんでいこうと思ってます。

 

本を読んで、ゲームをして、プラモを作って、映画・ドラマを見るぞ!家で遊べることを存分に楽しむぞ!

西村しのぶ 「砂とアイリス」 5巻

最近完結したと聞いてKinoppyのほうで電子書籍を買ったのですが、4巻が完結だと思って間違えて購入。1話だけ読んだ気がしていたけど時々ココハナの本誌を読んでいるからその関係かな?と勝手に勘違いして最後まで読んで終わった感じがしないから調べたらこの百合っぽい、私の大好きな西村しのぶ先生の女の子同士の仲良しが表紙でした。

 で、いまざっと5巻を読んだけどこの漫画は主人公が不倫して二股をやってるけど爽やかお仕事マンガなんですよね。

二股の彼氏の方は影が薄くてあんまり出ないし(でもいい子なのは分かる)、不倫相手の奥様が私はこの作中で一番好きなのに出番ほとんどないし…、不倫と二股のドロドロとスリルとは無縁なのであった。

リアルでも変な欲を出さなければ、相手に迷惑をかけなければ、バレなかったらこんなものかもしれない。

主人公が人生の楽しくて美味しくて充実したところだけめっちゃ味わいまくっているところが私はいいと思うので、現代の他人から見た倫理観なんかどうでもよくなりますね。

かと言って私は不倫を肯定するわけでもないですけど。不倫するようなやつはそもそも結婚すんなって思う。結婚は人生の墓場なんだから、そこから戻るのはゾンビしかいねえと常々申しております。

 

でもこの作品では、奥さんが自由気ままに国外を飛び回っていて、夫が休日手持ち無沙汰なところへもと教え子が可愛いから一緒にいたくなるという気持ちもわからんでもない。

そしてバレないまま、お互いが深いりしないまま、これからも不倫というよりはセックスを含む親しい関係が継続するのかなーってふわっとしたまま終わりました。

 

作中でなぎさが「永野と一緒に飲むのが一番楽しい」みたいなことを言うのですが、これ性別関係なく性愛と義務と責任が絡まない関係が一番楽しいんですよね。わかる。

だから昔販売業の仕事でご夫婦がお子さんを連れて買い物をしているのを見ていて、夫にしても妻にしても、相手と一緒に時間を過ごすのが本当に一番楽しいのかなあ?と勝手に不思議がっていたことも。

なぎさが自分を大事にしてくれる職場や期待してくれる母校とか担当の講師をよそに永野と一緒に女子だらけの職場へ転職しちゃうあたりが今どきのアンサーやなとも思いました。

 

はー、親友に会いたい。

 

西村しのぶ先生のマンガがちゃんと完結するのって、彗星周期くらい貴重だと思うので、とりあえずありがとうと合掌しておきましょう…

「一緒に遭難したい人」

「RUSH」

「アルコール」

どれも終わってない…はず。どれも黒髪の美人の親友が出てくるんだけど、その人が好きなので「砂とアイリス」でも永野が出るところはすごく注目していました。

 

特に終わらせなくてもいいし、起承転結なんてなくていいからこれからも漫画を描いてほしいなあ…

21018 アガサ・クリスティ「火曜クラブ」(ネタバレあり)

この2冊タイトル違いで同じ本らしい

ハヤカワポケミスの新刊「木曜殺人クラブ」がアガサ・クリスティの「火曜クラブ」へのオマージュだとかどうとかいう話をチラッと読んだので、じゃあ持っている「火曜クラブ」も読んでみようと思ったら題材が好みなのをKindleで買って死蔵していた最中で知るという…

↓火曜クラブの概要

甥のレイモンドを筆頭に、前警視総監や画家など様々な職業の人々がミス・マープルの家に集った。一人の提案で各自が真相を知っている昔の事件を語り、その解決を推理しあうという〈火曜クラブ〉ができたが……田舎の老婦人ミス・マープルが、初めて驚異の推理力を披露した短篇13篇を収録。

ミス・マープルと13の謎の概要

「未解決の謎か」ある秋の宵、ミス・マープルの家に集った客が口にした言葉がきっかけで、<火曜の夜クラブ>が結成された。毎週火曜日の夜、ひとりが知っている謎を提示し、ほかの面々が推理を披露するのだ。凶器なき不可解な殺人「アシュタルテの祠」、動機と機会の奇妙な交錯「動機対機会」など傑作ぞろいの13編。ミステリの女王クリスティの生んだ名探偵として、いまなお世代を越えて愛される名探偵の短編集、新訳でリニューアル! 創元推理文庫創刊60周年記念、〈名作ミステリ新訳プロジェクト〉第1弾!

うん、同じ小説だね!!

原題は東京創元社さんのほうが近いです。

あくまで個人的な好みでは東京創元社さんのほうがタイトルが好きです。単に「火曜クラブ」では入りにくい。アガサ・クリスティを知ってるようで殆ど知らない私としては。

 

ここでアガサ・クリスティを読む度にやってる断り書き

私はアガサ・クリスティはこれまで4冊?しか読んでませんが、ネタバレ王であるうちの母がクリスティのファンだったので、有名作はオチを知っていたり、一緒に映画を見せられているのである程度作品は知っています。

ミス・マープルものはこれが初めてで、ドラマや映画はちょっとだけ見てますが、初っ端から印象が違っていて(もっと見るからに聡明で活動的なオバちゃんだと思ってた)楽しいですね。

 

この作品はミス・マープルの家に集まった5人の客とミス・マープルで、真相が解明しにくい事件をお当番が語ってそれぞれが推理を開陳するという体裁で、隅の老人とか黒後家蜘蛛の会とかもそんな感じなのかなあ(結構違うかもしれないが、ニュアンスは似てると伝われ)

 

登場人物メモ

 ミス・ジェーン・マープル:アガサ・クリスティの名探偵ポアロと双璧をなす主人公ですよね。ドラマの馴染みが強くて、あの女優さんの佇まいが大好きです。名前ちゃんと知らんけど。お名前を見ると可愛いお洋服を見たくなってこの度Twitterをフォローしました。失われつつある「可愛いお洋服への憧れ」が蘇りますなあ。

 ミス・マープル自体はドラマはおしゃべり好きで聡明で地元のオバちゃんたちから頼られているオバちゃんのイメージがありますが、本作では隅っこで編み物をして話の聞き耳を立てている普通のオバちゃんという体で、錚々たる顔ぶれの人たちにめっちゃ見くびられています。

 失くなったエビ事件が迷宮入りになるのを気にしている。

 

 レイモンド:ミス・マープルの甥っ子で作家。想像力が豊かで聴いた事件をドラマチックに膨らませがち。

 

 ジョイス・ランプリエール:女流画家。レイモンドの友達かな?強い女性であることに意識が強く、男性へのヘイトがややある感じ。

 

 サー・クリザリング:世慣れた紳士という描写。元はスコットランドヤードの警視総監。

 

 ペンダー博士:老牧師。牧師は古臭くて見くびられがちというのを見返したい。

 

 ペサリック氏:弁護士。小柄で癖が強い。ちょっと人間不信?

 

表題作「火曜クラブ」

 迷宮入り事件という言葉がただ言いたいだけなくらいハマってる甥っ子のレイモンドに本当の迷宮入り事件について謎を解き明かしてみようと、たまたまミス・マープルの家に集まっていた6人で「火曜クラブ」を結成し、一人ひとりが当番で事件を説明し、のこりの5人で推理することに。

 表題作では元警視総監のサー・クリザリングが事件を紹介。

 缶詰のエビを使った夕食にあたった夫婦とコンパニオン(メイドというか女性の執事的な?)のうち、妻が亡くなってしまったのは夫による殺人ではないか?という事件が迷宮入りになったが最近真相が明かされた。

 

 どこまでがネタバレかわかんないけどミス・マープルがすげえおばさんなのは読んでなくても知っているので、そりゃあミス・マープルが無双なんですよ。でも冒頭から1話目の終盤まで完璧に見くびられているので論破が気持ちいい。

 ミス・マープルの推理は年の功とおばちゃん力という感じの洞察力、いまで言うと若干の偏見もあるかもしれないけど、でもあながち間違いじゃないよね、と納得してしまう。

 ネタバレなんだけど、美人のメイドがいる家の、陽気で女癖の悪い旦那はそりゃあメイドに手をつけるというミス・マープルの思い込みは「陽気で女癖が悪い」という条件があるから納得できるものね。

 郊外の住宅街で長年おばちゃんとしてコミュニティに属していると、人を見る目というのは養われるし下手したら人を支配できるし操れるよね、というのはリアルでも感じていることです。謝れないとか思い込みで人を傷つけるようでは駄目ですけどね(誰のこと)。ミス・マープルはそんなところはないので大丈夫。

 

「アスタルテの祠」

老牧師が語る迷宮入り事件(真相を知っているのは牧師だけ)は怪奇幻想じみた殺人事件で薄気味悪いけれど、これもミス・マープルが経験則で犯人を解き明かす。オカルトに寄った意見、自殺など歯切れの悪い推理の中でおばちゃんの過去の経験がものをいうからオチが楽しみで読んでしまう…が、事件の起こったパーティがほんのささやかなものと老牧師が言うよりちょっと大掛かりで贅沢に思えたのは時代と国の文化のちがいのせいね。

 

「金塊事件」

小説家の甥っ子が語る迷宮事件を伯母が非常に伯母らしく推理する(つまり割合の大部分が説教)甥っ子の人物描写が最初からそんな感じなのでお話にも納得。伯母の説教が面白くて後半ずっと笑いをこらえていました。ミス・マープル好きやわあ。ちょっとした不自然に気づくのも彼女ならでは。

 

「舗道の血痕」

女流画家のジョイスが語る、自分が目撃した不可解な出来事について。これは男性より女性の方が気づくだろうとミス・マープル。遠巻きの目撃者がいることが前提で起こる犯罪なんだけど、集まった人のどのくらいの割合で殺人事件に掠ってるのかが気になる名探偵コナンにツッコミいれ隊の私がいるのであった…そしてミス・マープルがサラッと語った自分の知っている事件が超絶恐ろしかった。

 

「動機対機会」

弁護士ペサリック氏の語りによる、自分が業務で関わった不思議な遺産相続の話。

遺産相続というネタが生臭い上に霊媒が関わってくるのでさらに生臭くて面白いのだけど、種明かしで身内の情報が効いてくる、伏線もバッチリでめちゃくちゃおもしろかったです。

ミス・マープルは余裕の推理で具体的にはわからんけどきっとこうだろうというざっくりとしたものにしろ当てていてやっぱり田舎の腕利きのオバハンは最強なのでした。私のほうが性格がいいのか、霊媒師の良心を信じようとしてしまった。んなわけねーじゃん…

 

「聖ペテロの指のあと」

ミス・マープルのお当番なんですが、このおばさん、喋るだけ喋って誰にも謎を解かせなかった…さすが…自分の見事な謎解き話を語っただけという…趣旨を理解してなさもおばさんあるあるかもしれない。事件は悲惨だけど面白く、でも昔の人の、精神障害者への容赦なさと慈悲がないまぜになった感じがおっかなかったです。でもミス・マープルの職業に貴賎なしという感覚は今にも通じて好きです。

 

「青いゼラニウム

舞台は火曜クラブから飛び出して、サー・クリザリングが推薦してミス・マープルが招かれた晩餐で場外乱闘…じゃなかった場外試合みたいな感じで身近に起こった謎について話題に出され、それを解くという作り。食事とかそのあとでの会話で神経質すぎる妻がいる男性とかその妻の死に方とか物騒であんまり愉快でない話が交わされるのがなるほどそういう話が好きそうな面子だったんだろうなあ。

繊細すぎる妻にこまる夫とか、その夫となにかしらの関係になりそうな女性とかってイギリスの20世紀初頭のお家芸かもしれん。「レベッカ」とか「女の一生」とか。ほかにもあるかな。実際よくありそうな話だったんだろうなあ。

この話には、花の色が変わると危険な予兆という壁紙が出てきて繊細すぎる妻を苦しめるんだけど、途中で壁紙を張り替えれば済む話だったのでは…?(いや、トリック的にそれでも死ぬんだけど)とも思いました。

全然気づかなかったし、わかりにくかったんだけど場外乱闘じゃなくて、ここからクラブの面子が変わったみたい。前の話のラストで一つ大きな展開があったのだけど、そこで一区切り、ということかな。

 

 ということで、ここから登場人物が変わるんだけど、前と違ってキャラクターと職業に特別な癖がない感じ。

 ミス・マープルとサー・クリザリングは引き継ぎ。

 ミセス・バントリー:大佐夫人で、ミス・マープルの住むセント・メアリ・ミードのむらにほど近いところに住んでいる。晩餐会の6人目の客として、サー・クリザリングの推薦を元にミス・マープルを招待する。

 アーサー・バントリー:大佐でサー・クリザリングの旧友。馬が好き。考察がメロドラマ。

 ジェーン・へリア:美しき舞台女優。晩餐会の招待客。考察がメロドラマ。

 ドクター・ロイド:年配の招待客でミス・マープルと世間話をしている。

 人数としては火曜クラブと同じだけど迷宮事件を語り、他の客に推理してもらうという取り組みを念頭に置いて集まったわけではないので事件について喋る人も複数で、解くのはミス・マープルだけという感じかなあ。

 

「二人の老嬢」

 富裕の老嬢と同年代のコンパニオン*1カナリア諸島でのバカンス中、海水浴場で溺れてコンパニオンが亡くなり、事故で片付きそうになったが老嬢は挙動がおかしくなり、帰国後にコーンウォールで入水自殺をして遺体は見つからなかった、という事件。

集まった面々の考察が雑で俗っぽいなかでミス・マープルがちょっとずつ指摘することにどうしても注目するけど(どうせ当たってるってわかるから)こちらもこの事件の真相はわかっちゃうから、動機や実現性を確認したら他の面々の考察もさほど間違いじゃなかったのが面白いところ。結局俗っぽい事情が人を犯罪に至らせるのかもね。

 

「四人の容疑者」

集まっている顔ぶれがそこそこの要職についていた(いる)人達なので、ネタが大掛かりなものもあったりする。サー・クリザリングは元警視総監なのでネタがでかく、国際問題がからんだりテロリストや秘密結社が絡む話にも関わらず、またもミス・マープルが身近な人の話を持ち出しながらも解決したのでした…ミス・マープルが教養ある女性だったから解き明かせた部分もあるけれど、身近な事件に目端を効かせているといくらでも応用が効くものかもしれない。

 

「クリスマスの悲劇」

 ミス・マープルが語り手で彼女の出会った夫婦に起こった事件について語られる。これが読み方を変えたら老女の妄想に感じられてちょっと恐怖ではある。が、作中ではミス・マープルの勘が当たって胡散臭く思っていた人が犯人であり、しんどいトリックを使って犯罪を行っていたことが判明するのでした。ミス・マープルもコナンくんも似てるな…ちょっとしたことで「こいつはあやしい」ってわかるからな。

 

「毒草」

 語り手がそれぞれ違うというのは、語り方の得手不得手も反映されたり、話を詳らかにするために周りも努力する行程も描かれたりしてバラエティに富むのだなと再認識。

 説明があまり上手でないと自分から言うミセス・バントリーによる回想で、最初はあまりに簡潔に語るものだから周りがあれやこれや質問して掘り下げていくという体裁でこれまでと違うだけに引き込まれました。事件そのものより、話を導き出すやりとりが面白かったような。

 ミス・マープルはやはり自分の周りと照らし合わせることで事件の真相に近づいたのだけど、周りとのやり取りを見ていると情報を引き出すと余計な情報も多くあり、ミス・マープルにとっては邪魔なのかもとも思ったり。関係ないエピソードには無関心な感じ、そのへんが天才っぽいですね。

 

「バンガロー事件」

語り手によって話の趣や周りの態度も変わるというのがそんなにいい意味じゃない状態で表出してるが、そこをひっくり返すしかけもあり。あまり知恵のない舞台女優ジェーン・へリアの語る番になって我々の間でもありがちの、本当は自分の話なのに「あたくしの友達の話」として語ろうとして周りに見透かされてるしうっかり主語を自分にしてまう。周りも語り手がちょっと自分たちよりは劣ると思うのでやんわりと話を導こうとするのは前のエピソードと同じ。女を基本的に馬鹿にしてる感じ。ただしミス・マープルは侮れないな、と思っているみたいだけど。

謎が謎を呼ぶ上に結末がこのお話の趣向的に反則の「語りても犯人を知らない」ということになり、周りががっかりする中でミス・マープルが気づいた真実はこれまでの殿方とジェーン・へリアとの関係性を足元から覆す感じで痛快でもありました。語ることに関しては勉強不足で劣ってるように見せかけて、演じることに関してはプロ中のプロ。気持ちいい。

 

が、あと1話を残してこの面子でのやりとりもお開き。

 

と、いうことは最後のエピソードはなんなんでしょうね。とっとと読みましょうね。

 

「溺死」からの、総括

ラストの一話は変化球にして集大成という感じでした。

冤罪を防ごうとするも、個人としての立場はかなり弱いから今までの知己と実績によって権力とコネに頼らざるを得ないのがこの作品の全編に渡って見くびられがちな老嬢といういまは死後になりつつある属性であるミス・マープルの切ないところ。

いまも女性というだけで見くびられることがままあるけれど、いまどき見くびるやつはたいていそんなに頭がよろしくないと思うのでまだいいが、この時代だとみんな呼吸をするように見くびるんですもの。女性だけでなくて学のない人、知性のない人は馬鹿にする風潮がそこかしこにあって子どもですら(大人からの刷り込みもあるんだろうけど)愚直で善良な人をバカにする。そのへんをアガサ・クリスティはひっくり返したかったのかもしれないな、と読んでいてそこかしこで感じました。

連作の構成、面子の関係性、謎解きも面白かったです。この方が様々なミステリの原点であったりするけどお手本にしたい。人の性根をこっそり見せるのもうまい。なんだかんだ言いながらゴシップネタも多くていけずな人の見方とかずっと笑ってました。

2021/11/20 読了。

 

Twitterで何回かつぶやいているけどポケミスなのにビニールカバーじゃなくて、それを特別なんです!と早川書房さん的にはいいことのようにお話されてるけど私的にはビニールカバーがよかったと思っているやつです。

本を読むために別の本を読むとか、映画を見るために別の映画を見るとかはよくあることですね。

 

東京創元社さんのほうを持ってる。作品社さんのは完全版だから、単価がお高くていわゆる鈍器本。

古い方を全巻持ってる(はず)

*1:って翻訳だけど立場的にしっくりするのは「侍女」じゃないかと思ったが、雇う側よりやや身分が劣るが付き添うのにふさわしい程度の教養がある人、身分に違いはあるけど友人に近い世話係、らしい。

レディズ・コンパニオン - Wikipedia

21015 ジャン・レー/ジョン・フランダース「マルペルチュイ 幻想小説集」

国書刊行会ッ!総ページ数500ページちょっとッ!すなわち鈍器本!!!めっちゃ重い(歓喜)!!!

https://www.honzuki.jp/smp/book/299426/

ジャン・レー/ジョン・フランダースの決定版作品集!

現代ゴシック・ファンタジーの最高傑作『マルペルチュイ』待望の新訳に加えて、ほとんどの収録作が初訳となる、幻の本邦初紹介短篇集2冊、枠物語的怪奇譚集『恐怖の輪』とJ・フランダース名義の幻想SF小説集『四次元』を収録。

飽くなき生への歓喜と病的でグロテスクな想像力を混淆させ、幻怪で濃密な文体によって独自の世界を創造した、作者絶頂期の精華を集大成。

 

本が好き!という献本書評サイトさんの公募に応募して、この度この買えば税込み5,000円超える本をいただいて、最長3週間以内に読んで書評を書くという取り組みをしていました。

非常にありがたい。

書評自体は「本が好き!」サイトに掲載していただくのでこちらでは所収されている短編とかショートショートの各話の感想というかメモを置いておきます。

各作品についてはAmazonの情報を引っ張ってきておきましょう。

【収録作】
『マルペルチュイ 不思議な家の物語』
Malpertuis: Histoire d’une maison fantastique
大伯父カッサーヴの奇妙な遺言に従い、莫大な遺産の相続と引き換えに〈マルペルチュイ〉館に住まうこととなった一族の者たち。
幽囚のごとき彼らが享楽と色恋に耽る一方、屋敷の暗闇には奇怪な存在がひそかに蠢き、やがて、住人たちが消える不可解な事件が立て続けに起こる。
一族の若き青年ジャン=ジャックはこの呪われた館を探索し、襲い来る幾重もの怖ろしい出来事の果てに、カッサーヴの末裔たちが抱える驚くべき秘密と真実に辿り着く……
満を持して新訳となる、ジャン・レーの代表作にして、『ゴーメンガースト』『アルゴールの城』に比肩する現代ゴシック・ファンタジーの最高傑作。

『恐怖の輪 リュリュに語る怖いお話』
Les Cercles de l’épouvante
中世騎士の義手が引き起こす怪、ディー博士の魔術道具の呪い、怪鳥ヴュルクとの凄絶な戦い……
幾重もの恐怖の輪が環をなす、収録11篇中10篇が本邦初訳の、父が愛娘に語る枠物語的怪奇譚集。

『四次元 幻想物語集』
Vierde Dimensie: fantastiche verhalen
自動人形に宿った死刑囚の魂の怪、顕微鏡の中に現れた小さな老人の化物、奇妙な逃亡呪術を用いる殺人犯を追う刑事……
収録全16篇が本邦初紹介となる、ジョン・フランダース名義のオランダ語怪奇幻想・SF・ミステリ短篇集。

表題作「マルペルチュイ」についてはそちらで。(「ゴーメンガースト」、持ってるけど読んでない状態なのですが、趣的に似てるのだったら読みたいかも)

 

本が好き!に掲載中の書評↓↓

https://www.honzuki.jp/smp/book/299426/review/265260/

 

長くなるので割愛した短編集各話の感想メモ↓↓

「恐怖の輪 リュリュに語る怖いお話」

怪奇小説の掌編集。幼い子にありがちな直感的な鋭さと残酷さを持ち合わせたリュリュという娘に語って聴かせるつもりの体裁で書かれたらしいけれど、子どもに教えるにはなかなかエグい物語集なのでは。

「ゲッツ・フォン・ベルリヒンゲンの手」

首なし騎士っぽい話。美味しそうな料理を提供するのが「マルペルチュイ」でもその役割だったエロディーという信心深い女性。語りては賢明で冒険心がなかったんだろうけど、冒険心があったら死んでたな、て怪談でした。

 

「ムスティエ焼の皿」

一人称の体験談が殆どを占めるので語り口が軽妙で、なかなかおっかない話なのにちょっと楽しくなる。でもオチとしてはやはり怪談で、怖い美人がちょっと出るので私好みでした。

作品の構成というかつながりがこちらで解釈しないとよくわかんないので読み返したけど、解釈しないとわからないくらいわりと雑で説明不足かもしれない…

舞台は20世紀初頭のオーストラリアでした。

 

「マーリーヴェック墓地」

幻の墓地を見たがっている物好きで性格の悪い老人の話。この老人が自己中で性格が悪くてどんな目に遭っても特に心配にならないが、出てくる怪しいものがすべて魅力的でした。

舞台はロンドンでイギリス好きの自分には馴染み深い地名がいっぱい出てきました。

 

「最後の旅人」

ちょいちょい「塩ダラ野郎」という罵りが出るのが気になる。

シーズンオフになるホテルのオーナーが一人で残されるのを不安に思っていたが、列車に乗り遅れた客が一人だけ体調悪そうに逗留を求める。が、不安が的中し客が体調を崩したまま死んでしまう。それが不審に思っている謎の足音の主によるものなのか病気によるものなのかわからず、不安に押しつぶされそうになるが…

という、何かありそうでなにもないような、ドリフの「志村うしろうしろ」っぽさもあるような感じ。ひとり残されて心細いとかも夏のドリフって感じでした。冬の始まりの話だけど。というかこの表現で分かる人ってある程度の年齢より上か。

 

「悪魔に挑んだ男」

所有者ですら把握できない沼沢地で家畜や家畜番が恐慌状態に陥ったあとで行方不明になる事件が続発し、所有者だった市長がそれの究明のために得体はしれないが知識が豊富なヒルマヘールを雇う。市長は自分は無神論者だが悪魔の存在は信じる、その悪魔を退治して欲しいと要請するという、起こっている事態と会話のやり取りが大部分を占めて、実際の対決や顛末がすごく短いという時々見られる展開で、オチが不思議だしそこまで納得ができないのだけど、不気味ではあった。

 

デューラー

語り手が新聞記者のデューラーに対して心のなかでめっちゃマウントをとるのが人としてちっちゃいしデューラーも語り手も女の子の気を引くためにしょーもないやりとりをするのが、これがどう怪談につながるのかと謎だったけどいきなりわけわかんない怪談になり、女の子の気を引いたりしょーもないマウントを取っていたのはどこへ行ったんや…?とポカーンとしている間に語り手がひどい目に遭い、ポカーンとしたままオチへ。結局女の子がキーパーソンだったのかもしれない…

 

「幽霊宿」

いまのところ全話に渡って葉巻が出てくる。好きなのね。

説明していたらネタバレになってしまうので、これもいわゆるドリフの「8時だよ全員集合」っぽいかなと無理やり思いました。クライマックスで壁がバターンと倒れて天井が落ちてきて音楽が流れて舞台全部が捌ける、みたいな。怪談なんだろうけど全然怖くなかったが、怖い目に遭っている人を遠目で見るという仕掛けが興味深かったです。

 

「ヴュルクの物語」

ヴュルクという幻の飛行生物(竜)が危険な沼沢地に住むのを腕利きのハンターが狙う話。これまで読んだこのシリーズのなかで一番お話としてちゃんとしていたし、オチもわかりやすかった。面白かったです。

 

「黒い鏡」

オカルトオタクっぽい落ちぶれた医者が窃盗までしていわくつきの鏡を手に入れてからの世にも奇妙な物語的な展開が起こるTHE 怪談という感じ。トリに相応しい。結局何が起こったのかは読者の解釈に委ねる感じ。ロンドンが舞台で、ロンドンらしい怪談?かもしれない。作者はロンドンが好きなのかもね。冒頭の、そのシーンにしか出てこない古書店主のモノローグがちょっとおもしろかったです。だいたい性格が悪いか後ろめたい人ばっか出るな。

 

「終わりに―輪の外で」

リュリュに語っていた父親の真実が明らかになり、切なくて悲しい気持ちになってしまったが、語った物語が往々にして怪談でときどき支離滅裂であったことに意味はなかったような気もする。なんだかしゅんとしてしまった。

 

 

「四次元 幻想物語集」

「空中の手記」

死刑囚がなぜ死刑囚になってしまったか、の顛末なのだけど、手記を書く理由がなるほどキリスト教圏という感じ。「四次元」は「恐怖の輪」よりショートショートの趣きです。

 

「ロボット」

趣味の延長で作ったロボットが稲妻に感電したことによって暴走した結果の話。ショートショートの体裁を取っているけど膨らませていたらもっと面白かったろうな。

 

「空腹の来訪者」

大富豪の息子が謎の島の探索に、以前その島へ行った博士を巻き込んで向かう。そこには貪食の地球外生物が…というのがあまりにも短く語られているので、行くまでのほうがすごく長くてぶつ切りな感じがある。

 

「マチルダ・スミスの目」

ちょっとしたミステリとも言えるのかもしれないけど、ミステリにするなら変なミステリというジャンル?

ツッコミどころというと、悪妻に苦労したあまりに独身主義がいきすぎた人が立ち上げた団体とか、その悪妻を例える言い方が作者独自の言い回しでリアルとは言い難いとか。ソクラテスの嫁に似ていると街で評判って、街のどのくらいがソクラテスを嫁の名前まで知ってるのかと。悪妻で名前がクサンティッペって今日知った…

そこへ気が行きがちでした。面白かったけど。

 

「深夜の乗客」

怪談かと思ったら、一応ミステリだった。珍しくサクセスストーリー…

 

「幽霊と結婚した男」

ちゃんとした怪談だったけどタイトルからネタバレなのよね…

 

「海の幽霊」

米津玄師さんの名曲が頭をちらつきながら。すごく短いけど魅力の詰まった怪談でした。

 

「砂漠の城」

短いながらとても良い怪談なんだけど、描写がまさかのドラクエ風味でその辺が楽しかったです。

 

「一滴の化け物」

恐怖の対象はどこにでも設定できるんだなと感服する超短編の怪談でした。

 

「火山から届いたメモ」

不気味な怪談なんだけどオチがお約束だったのが冒頭から想像できてニタァと笑ってもーた

 

「地獄の森」

川口浩的なショートショート。躍動感はすごいです。

 

「空白の二時間」

この作者の作品って、読者には教えるということもなく、読者にも登場人物にもわからないという展開が多いが別にそれでもいいやと妙に納得させるのがうまいね!と思うお話でした。

しつこい張り込みの末にしょーもない策によって意外な展開を迎える。咀嚼すると面白いショートショートです。

 

「生きた炎」

川口浩的な作品2つ目。不気味だけど優しい世界だった。

 

「相席」

相席で出会った人の正体についてなんだけど、昔ながらの職業に対する偏見に満ちているので、いまとしてはそこで恐れるのはどうなん?という内容でした。職業に対する偏見が、「悪いことをすると鬼が来るぞ」とかそういう脅しとか戒めに近い感じなんだけど、そういう感情で見るのはなあ…という、不満含み。

 

「鏡の中の顔」

罪悪感ってのは重たいものだから逃れたいというごく一般的な気持ちを凶悪犯が持つと、罪悪感も計り知れないほど大きいという感じ。戒め系怪談として秀逸。面白かった。

 

「鼓動する影」

こちらも罪悪感がらみ。酒乱なのか怪奇なのかが謎というか。

語り手の多彩さが魅力だった。

 

以上。SF…あれらをSFというのか、サイエンスフィクションじみてるのは「一滴の化け物」とかかな。

観念してYouTube Premiumに加入してみた

YouTubeの広告のあまりのウザさに嫌になって加入してみました。

 ただの広告削除と画面オフでも音声が聴かれるという特典だけではお高いけれど、音楽のサブスクリプションもついているのでまあまあ悪くはない…

YouTubeの動画を見るのが日常になってきているので広告を消してしまうのは大きなストレス解消になります。イオンとか車のメーカーとか我らの林遣都さんを起用した転職サービスのCMならまあ見られるけど、あの早口のうっざいCM!とか、太った人の脂肪とかきったない爪水虫の画像をでかく載せる不愉快しかないCMとか、面白いとは思えないアプリゲームのCMとか飛ばすために画面を何度連打したことか。性格の歪んだ人ホイホイのマンガのCMとかも嫌だった。

 

嫌ならPremiumに入りなさいよ、ってことなんだろうなーってことで、入りました。

いままでサブスクサービスはAmazonを使っていたのですが、一旦AmazonをやめてYouTubeを使うことになりそうで、いろいろ違いを確認したところ、Amazonのほうが独自のプレイリストが豊富で多彩。

直感操作で言うとYouTubeのほうがいろいろいじらないとわかりにくい気がする。Amazonのプレイヤーの方は何も調べなくてもある程度触っていたら使いこなせていたけどYouTubeのほうはリピートがどこかわかんなくてネットで調べた。まあ分かる人は分かるか。

 

YouTubeのいいところ。

B'zがあるぞ。いまそこまでじゃないけど、昔は大好きだったので、昔好きだった曲を聴くといまでもアガります。

 B'zファンにはいい人が多い、ということは書いておきましょう…

 

一つ大きな?違い。アマゾンの方は歌詞のサービスがいい。結構フォローされてる。

ほかは大した違いがないだろうなあ。音質の違いとかなさそうだし。Amazonのほうが価格据え置きで音質が上がるサービスも開始したという連絡がありましたが、面倒くさいのでなにもしませんでした。

AirPodsiPhoneで聴いている時点でそんなに音質いいことないのよ…

 

まーそれよりも、あのしょーもないCMがないのはとてもいいです。

あと有料会員ならできることとして、見たくないユーザーのコメントはブロックするとかできればいいんだけどな。感情優先の陰キャのコメは見てもいい気持ちにはならないし、90%は同調できない。誰もが見られるところに一方的なクレームを書き込むことができるってちょっとした暴力かつ嫌がらせのように感じます。書いた本人は気持ちいいかもしれないけどね。

「嫌なら見ない」って大事で、嫌なコメントも見たくないから見ないようにしたいですね。

 

追記:あかん、YouTube MUSICはゲーム関連の音楽がフォローできてない。FFやニーアオートマタなどがない。これはゆるせん…

エドガー・アラン・ポー 「黒猫/モルグ街の殺人」 (読書中)(光文社古典新訳文庫)

 邱永漢先生の本を読んでいたらもっとお金に賢くなるかなと思って先日半額ポイントバックだったのを購入して読んでいたんですよ

 冒頭は邱永漢先生が育った時代とかを踏まえて今までの人生を振り返っていたような内容で、先日その続きを読もうと手が空いたときにスマホKindleを開いたんですよ。Kindleってほら、読みかけから続くじゃないですか。

そうすると、語り手がどういうように育てられ、どういう環境であったかが語られていて大変動物好きで子供の教育のために親も惜しげなく与え、若くして結婚したが妻も大変な動物好きで猿まで飼っていたが何よりも賢かったのは黒猫であったと。

ふむふむ、邱永漢先生は動物好きだったんだなと思っていて読んでいたらだんだん雲行きが怪しくなって、徐々に酒に溺れるようになった語り手が妻や動物に罵詈雑言や暴力を振るうようになり、黒猫にとんでもないことをしてしまう…というところまで読んで

 

え??邱永漢先生超やべーじゃん、こんな人がお金の神様でいいの??

 

と、ゾッとしてタイトルを確認したら私がその日開いたテキストのタイトルはこれでした。

 後でチェックしたら、邱永漢先生の本を読んでいたのはiPadで、こちらはスマホで蔵書を確認していて開いていたみたいなんですよね。

 

邱永漢先生がこんな奴だったらAmazonのレビューで炎上するわ。ちゃんと尊敬されてるじゃん、一瞬たりとも疑った自分を恥じるわ。

 

しかし読んだ行きがかり上、内容が非常に不愉快でもオチまで読むか…ということで、「黒猫」を読みました。

暖炉に押し込められた令嬢、身体を切り裂かれた老婦人……誰が、いかにして殺したのか? 推理小説が一般的になる半世紀も前に、不可能犯罪に挑戦する世界最初の探偵・デュパンを世に出した「モルグ街の殺人」。160年の時を経て、いまなお色褪せない映像的恐怖を描き出した「黒猫」など、代表的8篇。多才を謳われながら不遇のうちにその生涯を閉じた、ポーの魅力を堪能できる短編集。

 

「黒猫」

前述の通り、酒で異常なまでの残酷な面がむき出しになった語り手は、己の安いプライドを満たすために黒猫プルートーを惨殺してしまい、それに対する罪の苦しみをごまかしながら過ごし、もともとは資産家の生まれだったのがだんだん持ち崩すようになってくる中で、超場末の酒場で黒猫を拾うのときっかけに取り返しのつかない事態になるのですが。

 

動物好きは読まないほうがいいですね。それだけの報いは受けるけれど、描写はされなかった他の動物も心配だし、黒猫が可哀想。私も黒猫を飼ってるから黒猫に冥界の王の名前をつける時点でなんで不穏な扱いをするのかも疑問だし、何もしてないのに不幸な目に遭い、その復讐をする(ように感じる描写)のが黒猫なのかも嫌なので、ポーが黒猫をそういう扱いをするのもイヤッ。

 

己のプライドを満たすために動物を惨殺するようなくだらない男は、その罪の意識を埋めるためにまた猫を求めようとするのですが、もう、おめーは動物を飼うな!と創作物相手にキレッキレになるのですよ。でもね、動物虐待をする人に限って今度は幸せにするとか言い聞かせて動物を求めるし、DVをするやつに限って家族を求めるんですよ。ばかじゃねーの、向いてないんだよ、思い知れということで、男は多くの犠牲のあとで報いをうけます。

 

いやーかなり胸糞が悪い作品でした。

が、最初は邱永漢先生の生き方の本を読んでいたので、なんというか、「麦茶だと思った状態でコーヒーを飲んだらどっちでもない変な味」になるように、自分がこれを読むんだと思って読むのとはまた違った味を感じました。いい話を読むつもりだったのがとんでもない胸糞物語だったときの気持ちってこんなの。

こういうのって紙の本ではなかなかできないことですね。紙カバーを隠して売る本とかたまにあるけど、結局は知った状態で読んじゃうだろうし。

 

逆に動物虐待をするお馬鹿に読んでもらいたいですね。

 

他のお話も不穏なので、今度は覚悟して続きの作品を読もうと思います。

刺し子は針が大事(じゃないかなーってくらいに思ってる)(今回はみすや忠兵衛さんについて)

どこの、とは書かないでおきますが、最近まで使っていた某手芸メーカーの刺し子針にちょっと悩んでいました。

刺し子の針ってあんなに鋭利なのにうまいこと糸に引っかかるんだなあと思いながら、引っかかっては刺し子布の繊維が飛び出るのが嫌で。

針が悪いんじゃなくて私の腕がよろしくないんだろうなーとぼんやり思いながらも、インスタでとても上手な人の書き込みを見たら、「みすや針」がいいぞとのことなので、調べたら京都のお店らしい。ええのう、と買おうとしたら、

 

「三條本家みすや針」と「(有)みすや忠兵衛(京都本みすや針 みすや忠兵衛)」があるらしい。

 

これってなにかな、よくわからんしたいした情報得られなかったけど一澤帆布一澤信三郎帆布みたいな感じ?と首をひねりつつ、楽天に直営店があるらしいみすや忠兵衛さんの針を今回は買ってみることに。

いくつか刺し子を刺してきて、私の刺し方に合うのは30mmくらいの特短サイズ、指ぬきはヌメ革、と、モノから入る一族の生まれなので様々なこだわりが生まれ、みすや忠兵衛さんの針も特短サイズを選びました。

Clover レザー指ぬき M

Clover レザー指ぬき M

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みすや忠兵衛さんはソーイングセットとかお針箱が可愛らしく、手に取りやすいのと、針には針でこだわりがあり、針穴が刺し子糸の糸が潰れないようになっているらしい。某手芸メーカーの刺し子糸は糸端がバラけやすい印象があるのですが、この針を使えばその辺が緩和するのかどうかはわからない。

アトリエKazuさんや小鳥屋さんの糸はバラけない、ということは書いておきましょう…でもどっちがいいのかもわからない。

買うかどうかはわからないけどなかなか欲しくなるときめくアイテムですよ。京友禅の帯を張っているらしい。和紙製のこういうお針箱を持っていたことはあるけど、きっと本物はちがうだろうな…

 

あくまで特短しかわからないけど針穴がめっちゃ小さいので、20/4くらいの細糸向き(細糸用と明記あり)。太糸使ったことないからわからんけど。

で、肝心の刺した感じは…

 

糸がひっかからない!!!

鋭利さがちがうのが刺していてわかる!!

 (あくまで個人の感想です)

 

 

満足でーす。すごく気持ちいい。針がいいとこれだけ刺した感じが違うとは。

今回はみすや忠兵衛さんのものを購入し、刺しましたが、もう一方の三條本家みすや針のほうも気になっているので来月、桐箱と一緒に同じくらいの短い針を買う予定です。

 

 こちらを読んでまーす