夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

レディ・バード(映画)

ジャケ写の奥にある十字架がわりと大事。

レディ・バード (字幕版)

レディ・バード (字幕版)

  • 発売日: 2018/09/20
  • メディア: Prime Video
 
レディ・バード(吹替版)

レディ・バード(吹替版)

  • 発売日: 2018/11/21
  • メディア: Prime Video
 

2002年、カリフォルニア州サクラメント
閉塞感溢れる片田舎のカトリック系高校から、大都会ニューヨークへの大学進学を夢見るクリスティン。
自称“レディ・バード"。
高校生活最後の1年、友達や彼氏や家族について、そして自分の将来について、
悩める17歳の少女の揺れ動く心情を瑞々しくユーモアたっぷりに描いていく。

 

 数ヶ月前に一度見かけたのだけど、初っ端から母娘が喧嘩を始めたのでそんなのいやーって避けたやつ。

シアーシャ・ローナンって女子高生の役やってるけどいまいくつなんでしょ(調べた)この映画の撮影の時点で20代前半か。

「つぐない」のときにうまい少女だなと思っていたのだけど、それからそこそこ時間が経っているのでさすがに女子高生ではないだろうとは思っていました。が、そのくらいならあるある。なんてったってスパイディのトム・ホランドは3作目でもまだ高校生かもしれないんだよ、いま23歳だけど。

 

あんまりイケてないけど生意気で母親からの心配という大義の束縛や支配にそれなりの抵抗感があるクリスティンは自分に「レディ・バード」と名付けて学校でもそれを通している。髪はピンク色に染めているけどもともと赤いのかな、アイルランドカトリックのハイスクールに通い、そこそこ厳格な教義を元に教育を受けるのだけど、そこでも抵抗を試みたり、背伸びしたり。

住んでいるサクラメントという街を毛嫌いして母親の反対や意向を無視して、だまして、なんとか東海岸の都会の大学に進学したい、でも成績それほどよくない、生意気で浅はかだから一時の感情で反抗的な態度を取り、停学を食らう。

 

など、女子高生だったころがある自分としてもわからないでもない痛し痒しの青春時代のあれこれを経て、危ない橋も多少渡りながらも時間が過ぎていくのだけど、この作品のどこに、評判が耳に届くほどの要素があるんだろ?って思いながらも、気だるいティモシー・シャラメが好かんたらしいけど存在感がさすが、言う事とかはしゃらくさいんだけどうまいよねー!!とか、アイルランド系の家族の濃い結びつきあるあるに困難を抱える同級生との関わりとか、見栄を張りはするものの非はちゃんと認めるレディ・バードの性格は嫌いじゃなかったり。それでのんびり見ていたら、終盤がすごくよかった。

この子を見つめていてよかったなあって。

 

住んでいた街や学校や家族を疎ましく思うことはあるかもしれないけどそれまで得たことは全部が無駄ということはない。そうそうホームから隔絶することはできず、自分を取り戻したりリセットできるのもまたホームなのかもしれない。

 

なんてことを考えさせられる作品でした。

人には誰しも、「元いた場所」はあるのよね。そこに帰りたいか帰るべきかどうかはさておき。

 

後味はいい作品でした。