夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

SFマガジン700【海外編】(とりあえず「息吹」だけ)

 2019年12月4日にテッド・チャンの待望の最新作品集「息吹」が発売されると知ったのですが、よく考えたら「息吹」ってアンソロジーに所収されていないか?って調べたら持っていたので読みました。

実は「息吹」に所収されているもののうち、「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」も既読。そしてこの度のSFマガジンで公開されたものも手配したのでその気になれば読む。

息吹

息吹

 

 これがね…短編ながらとんでもない読書体験になってしまった…

あくまで私的な話なんだけど、性癖と性癖の玉手箱やああああ!って感じ…

 

読んでいくうちに語り手と語り手のいる環境を知っていくんだけど、これがもう、私の想像を及ばないレベルで。でも理解していけるんだけど(あくまで私は)。

とんでもないセルフ人体実験の果てに恐ろしい事実に気づくのだけど、そこからの身の処し方、心の置所がとてつもなく美しい。

 

あまり詳しく書きたくないんだけど、私は否応なしに訪れる終末*1とか、まったく想像の及ばない生命体が活き活きとしている*2のが大好きなんですよ!その大好きが詰まっているんですよ!

冒頭あたりは「これの何処がSFでもかなり上を行くすごい作品なんだろ」って思っていたんだけどかなり上を行くすっごいすっごい作品なんですよ!

 

 終盤近くの言葉が本当に私に語りかけているようで、特に多様性に関しては読んでいる時点で既に体感しているので書き方というか語りかけ方が丁寧で巧妙なの。

最後はでっかいため息をついてしまいました。

すごかった…すべてを理解したとも思えないんだけど面白かった…また読みたいやつだ、これは。

 

他の作品も読もう。そうしよう。(アンソロジーの他の作品も、テッド・チャンの他の作品も)

*1:幼年期の終り」とか「百年の孤独

*2:火の鳥ドラえもんのそういう感じのエピソード、ケン・リュウの短編とか