初エラリー・クイーン。エラリイ・クイーンでもいいと思うんだけれども。
- 作者: エラリー・クイーン,越前敏弥
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2009/01/24
- メディア: 文庫
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オールタイム・ベストのランキングにしょっちゅう上がっているし、クイーンが選んだ他の作家の作品が面白いだけに読んだほうがいいだろうと思ったんだけど、「Yの悲劇」のほうがいつもランキングの上にいるらしい。というのを読んでいて物語の成り行きに苛ついていたときに気づいたのであった…
満員電車の中で発生した殺人事件。被害者のポケットからは、ニコチンの塗られた針が無数に刺さったコルク球が発見された。群衆ひしめく巨大なニューヨークで続く第2、第3の大胆な殺人にも、目撃者はいない。この難事件に、聴力を失った元シェイクスピア俳優ドルリー・レーンが挑み、論理的で緻密な謎解きを繰り広げる。20年ぶりの決定版新訳でよみがえる、本格ミステリの不朽の名作。
何に苛つくって、この元シェイクスピア俳優というかシェイクスピアガチオタこじらせてやたらセリフを引用し、屋敷をシェイクスピア趣味に昇華させた60歳の肌がよく鍛えられて日に焼けて褐色だと描写しながらも手は白いとか描写されていて、アラ還のイケオジを見応えがあるキャラにしたいばかりにけったいなことになっている人が、その洞察力から新聞記事などから情報を集めただけで事件の犯人を当てちゃうような芸当を見せたばかりにニューヨーク市警の警視や検事から相談を受けるような探偵ぶりを発揮して、この事件にしても犯人がわかっているともったいぶっているうちに第2の犠牲者が出たのにわりと平然としていたり。
ほんの一瞬出てくる日本人が偏見に満ちていて(書かれた時代背景的に仕方がない。「ティファニーで朝食を」に出てきた日本人のようだった)ここに日本人必要?(怒)って思ったり。
だいたい主人公が聴覚を失ったもとシェイクスピア俳優というのも必要な要素なのかがよくわからなくて。
もともとハウダニットよりホワイダニットの方に興味があるので、本格ミステリと相性が悪いのだけど、人の命軽くない?って思っていたんですよね。
でも、そこは終盤になり第3の殺人が起きたときのドルリー・レーンの様子の変化からあれ?と。というかそれなら油断するなよ、って話なんだけど。第2の殺人と明らかに態度が違うのにも意味があった。
そしてドルリー・レーンが他人に化けるほどの扮装の達人(というか従者の協力がすばらしい。こき使われて可哀想だけどたぶんドルリー・レーンモンペだからいいか。ドルリー・レーンがマッパになるのを嫌がるとかかなりいいキャラでした)なのもそこそこ意味があったり。
終盤の謎解きの時点でなるほどなー、思いがけない犯人にも確かに驚きはした。
私は別の人を疑っていたの。知り合ってからの期間をかぶせてあってね。あれはミスリード要員だったんだな。
最終的には収まるところへ収まって納得、なんだけど。
ここで疑問に残るのが、カトリック修道院に預けられたおおもとの事件の最初の被害者の娘、どこかに引き取られたという話だけどそれがどうなったのかが投げっぱなし。
完全には勝てなかった、ってドルリー・レーンがちゃんと云ったのはご立派だと思いもしたけれど。
あくまでトリックにこだわりのある本格ミステリとして成立しているから犯人の心情などは本人じゃなくて謎を解くレーンと供述を受けた人たちで語られるけれど、これ、犯人の視点だとちょっとしたアメリカの人気ドラマシリーズになりそうよね。
本格ミステリに慣れないながらいろいろツッコミ入れながら読みました。
ドルリー・レーンのシリーズは全部読むとまた面白いらしいので、これで懲りず続きも読もうとは思います。時代背景とか嫌いじゃないし。当時で精一杯の最先端技術も出てきてそこはかっこよかったです。
一番面白かったのは法廷シーンで、矛盾となる証拠を突きつけて無罪を勝ち取るところが逆転裁判のようでした。ああいう法廷シーン、当時のミステリでよくあったのかな?気持ちのいいシーンだったわ。
- 作者: エラリー・クイーン,越前 敏弥
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2010/09/25
- メディア: 文庫
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日本人じゃない人が変な日本人としてちょっと出てくる。思い出した。ミッキー・ルーニーだ。