あ、アマゾンでも書影があった…なんだこれ…
ここ毎晩の恒例でタグ「おっさんずラブ」を検索していたら、こちらの書影が見つかってなんじゃこりゃ!とびっくりしたんですよ。9年前の林遣都氏じゃないですかー可愛い。スタダなに出版されているのぉ!
「走れメロス」って初めて読んだときから私には「ひどくて笑える小説」って位置づけなんですが先日も親友と走れメロスの話が出て、中学生の自由研究で走れメロスはそんなに走ってないのがわかったと。
この研究結果がすごく面白かったのと、「走れメロス」って最終的にメロスがマッパになるよね、って私が言うと、読んだけど覚えてない親友が「そうだっけ?」って話になって。
全体的に変な話だけど最後のマッパの印象が強いんですよ。
で、うろ覚えで、そもそも古代オリンピックは全員全裸で競技という話もあるからそれと印象が混ざったのかなと自分もだんだん自信がなくなってきていたんですが、いい機会だからさっき青空文庫で読んできました。
太宰治は「女生徒」が好きなんですけどね。「ゴールデンカムイ」の杉元さんが描いたみたいな乙女世界で。
で、改めて読んでみると、これがなぜ半世紀以上も読みつがれて名作扱いを受けているのか、相変わらずわからん、私には。
メロス、ツッコミどころ満載なんですよ。
妹の婚礼の準備で都会に来たけどそこを統治している暴君の噂にあっという間にキレて、無計画に正面から暗殺しようとして当たり前のようにとっ捕まる。
で、それに関してはなんの後悔もないけど妹の結婚式は済ませたいと。
だから自分の竹馬の友(という言葉をこの作品で覚えました)セリヌンティウスを身代わりに置いていくから処刑を3日待ってくれと。
セリヌンティウスはとんだもらい事故なのにやっぱりね、類は友を呼ぶんでしょうね、簡単に了承しちゃう。信頼も行き過ぎればおバカですよ?
で、走って?地元に帰って前倒しで結婚させる。結構強引に。なんなら夜明かしで婿を説得する。
そして結婚式は馬鹿騒ぎをして楽しむ。セリヌンティウスのことはわりとどうでもよくなっているフシがある。
でもなんか「南無三」と思う。ここで一番つっこみたいのここ。ゼウスに祈ったりするのに、出てくる言葉が南無三て。その時代、確かにブッダは既に亡くなっているから仏教は興っているかもしれないけれど、南無三はどうよ太宰!
そこから走ったり嫌になったりしてなんとかシラクサの街へ戻るんだけど、確かに最後の最後でマッパになっていました。
いつの間にかね、パーンしていたんでしょうね。
なんか吉本新喜劇のオチ並みに都合よく大団円を迎えるので初めて読んだときもいまもとっても白けているんですけど、違う意味で面白いけれど、本当に、これ、なんで何十年ももてはやされているんだろう…もっと素敵な本、いっぱいあるやろ…走っているときの死に物狂いのモノローグは好きなんですけどね。
メロスが走るしかない強引な展開とか、なんかもうちょっと、まともなつかみ、まともなオチが作れなかったのかと、私の心の中の鬼編集長が首を傾げるわけですよ。
でもこうやって学生の必読図書みたいな扱いを受けているからスタダがこういう本を安価で出版してくれているわけで。
買っちゃったので、手元に来たらもう1回読んで笑おう。
林遣都さんは芸歴がちょっとあるから、こういう素敵な商品もあっていいなあ…嬉しいなあ。
「女生徒」は本当に好きです。太宰が乙女の心を隠し持っていた感じで。
裏表紙にも林遣都氏のお写真があります!
走れメロスは超短いので「パンドラの匣」も所収というかそっちのがメインでしょうがタイトルがメロスほどメジャーじゃないし遣都氏のイメージとも直結しなかったから表題にはならなかったんでしょうね。でもメロスもどうかと思うけれど。
林遣都氏文庫の表紙、というレアな感じを味わいたかったら買ってもいいんじゃないかしら、ってところです。