夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

(余裕があることが前提で)被災したとき、極限状態にあるときに味わう作品とは

西日本豪雨で住んでいる街とその周辺の都市が被災して、倒壊家屋も寸断して通行困難な道路も多く、犠牲者の数もハンパないし停電・断水などで生活の不便を強いられる人がたくさんいらっしゃる中、私はとりあえず断水で不便している日々。

 

水がないって、真夏になっていくこの季節にあってかなりの苦痛で、水を求めて奔走するなかで頭の中にあったのは「奇跡の人」でした。

あの、ガラスの仮面でもおなじみの。

私は未就学児の頃にヘレン・ケラーの伝記を何度も読んでいてクライマックスとも言える「WATER」のシーンが印象に残っていたのですが、こういう状況に陥るとあのシーンが頭の中で繰り返されるわけで。「あんだけたくさん水を使って目覚めたいなあ…」って。

 

奇跡の人 [DVD]

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その話をすると、お婿のろくちゃんが「俺もアレを思い浮かべるけど、一番に頭をよぎったのはイモータン・ジョーだった。お役所頑張ってくれているけれど!」とマッド・マックス怒りのデス・ロードを挙げて確かに!と思って以来頭の中で、冒頭の民たちのなかに自分も混ざっている感が満載です。

 

 

それからこういう生活で、慣れないお風呂屋さん通いや(今どき神田川かよ、暑いけど!ってろくちゃんがツッコミ入れたり、ろくちゃんと裸の付き合いをしちゃった幼馴染の男の子からろくちゃんの体の良さを褒められたり)すごく制限のある食生活や、いろいろ不便になったり忙しくなった仕事や予想外の出費などで疲弊しながらもそこそこ機嫌よく生活できているのは、たぶん二人揃って「火星の人」を読んだことがあるからだろうなって話をしました。

 

 

火星の人〔新版〕(上) (ハヤカワ文庫SF)

火星の人〔新版〕(上) (ハヤカワ文庫SF)

 
火星の人〔新版〕(下) (ハヤカワ文庫SF)

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 ろくに物資もないまま火星で独りぼっちになってしまった宇宙飛行士、ワトニーの1年以上に及ぶ火星でのサバイバル生活を描いた作品で映画化もされたけれど、宇宙飛行士になれる人って精神的にもタフな人ってことで、かなりポジティブにユーモアを交えて生き延びようとしています。その手記の面白さたるや。

 

あのタフさを楽しめたのが糧になっているな、そりゃあ、被害も微小なもので、家はあるし、仕事も続けられているし、怪我とか病気ももちろんないしで生活できているし、お水も水道からは出ないけれど、お役所や自衛隊や遠方からの支援も徐々に行き届いて当初はパニックだったけれど日にちが経ってもなんとかなっているのは本当にありがたいし、見通しが立っているから我慢もできる…本当に街中パニックになったときには必要な人に行き渡るように願って私とろくちゃんは外出を控えたものでした。突然の断水だったのでお水を貯める余裕もなかったところの多かったこと。うちは好条件がかさなって、お水をかなり貯めることができていたから…

 

風呂屋さんもいいところが見つかったので、何時間も待って芋洗いのような浴場で手早くお風呂を済ませるってこともほとんどなく、職場が水の確保に積極的だったので分けてもらうこともできたし、物流が正常になってきたら必要なタンクも得たしでね。忙しくて洗濯ものを何とかすることだけはできないけれど、お互い衣装持ちだから間に合っているし…って。ミニマリストはこういうときに危険だな、って思ったりもしました。洗えばいいって発想で下着を3枚しか持っていない人とか危ないよ。

 

風呂屋さんにはハマりそうだから、いままで持とうと思ったことがなかったスパバッグを物色したり。これを機会に地元の食べ物屋さんをもっと開拓しようとか。

 

現実に必要な量を見極め、他に必要な人のことを考えて過剰には手に入れず、自分たちに適度に必要なものを冷静に求めていくって大事だなーと、その辺ろくちゃんがリードしてくれて、気が焦る私を落ち着かせて、犬猫が飲むお水がない、買えないと慌てていても買い置きで箱買いしている炭酸水が残っていて、それの気を抜けば飲ませられる。軟水だからネコでも大丈夫とか言い聞かせてくれてあれ安心しました。

断水1日目、お手洗いに使う生活用水は貯められたけど飲料、食用に向いたお水はほとんど貯められなかったから、一瞬だけ焦ったのよね。そのときにはすでに近隣のスーパーなどはジュース以外の水分はなくなっていました。

 

徐々に生活用水のほうが減ってきているけれど、住んでいるところがさすがど田舎で私は100年以上前から代々その土地で暮らしてきていたので、少し離れたところに井戸を持っているので、飲用には向かないけれど生活用水としてはOKで。地元にはそういう人がいっぱいいるから古くから住んでいる人は案外余裕だったり。だから本当に必要な人へ行き渡るのも早かったかもしれない。

 

いまはいろんな支援の人達に感謝しながら、多少不便な時を生活しているところで、ちょっと余裕が生まれたからイモータン・ジョーを思ったり奇跡の人ごっこを早くやるんや…と思ったり(実際、お水が行き渡るようになったら、なるべく外にある水道からちょっと出しっぱなしにしていろいろ確認したほうがよいそう)ぼんやり考えています。

忙しくて寝不足だから今日は早く寝て、明日出張で通り掛かる親友からの救援物資を受け取ります。親友の存在もありがたい。ずっとLINEやりとりして話を聞いてくれました。大事にしたいな。