夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

辻村七子 宝石商リチャードの謎鑑定

 去年の暮に世の中のいろんな萌えが全部ユーリオンアイスにつながっているように感じる病気にかかったときにこちらの表紙を見て「ヴィクトルとピチットくんに見える」とわけがわからないことを云ってKindleで買い求め、連作の第1話をさっきFGOととうらぶやりながら読んだのであった。

宝石商リチャード氏の謎鑑定 (集英社オレンジ文庫)
 

酔っ払いに絡まれる美貌の外国人・リチャード氏を助けた正義。彼が国内外に顧客をもつ敏腕宝石商と知り、誰にも言えない曰くつきのピンク・サファイアの鑑定を依頼する。祖母が死ぬまで守っていたその宝石が秘めた切ない“謎”がリチャード氏により解かれるとき、正義の心に甦るのは……? 美しく輝く宝石に宿る人の心の謎を鮮やかに解き明かすジュエル・ミステリー!!

ビブリア古書堂の事件手帖から流れをくむお仕事系ミステリというかミステリの匂いがするお仕事小説というか。そしてバディっぽくもあり、そこはかとなく腐っている人も読んではいかがであろうかって感じの雰囲気もあり。

語り手のワトスン役の日本人大学生が、美貌の宝石商と出会って彼のもとで働くようになる話が第1話なんだけれど、一人称で説明的回想が多かったり、行動描写が擬音だらけなのは好き嫌いが分かれると思うけれど私はミステリアスな美男の主人公が好みだしバディもののきっかけにしてはちゃんと深くて重いのは好印象、あと私、子供の頃から宝石は身近に育ったので宝石がモチーフの作品って興味深いので、この作品は好きです。

第1話はリチャード氏が謎をといたと言うより、宝石の出自が珍しかったからわかりました、って感じだから「蛇の道は蛇って感じ」にしか取れなかったけれども。もっと謎を解いてよリチャード氏!あと雪広うたこ先生の表紙綺麗よねー

 

いつか私の好きな宝石がモチーフのお話も読めるかもね、と思いながら続きを読みましょう。

 

一日明けず、読了。

謎は火サス的というか、やっぱりお仕事ミステリじゃなくてミステリ風味のあるお仕事小説って感じだったな。リチャードさんが華麗に謎を解く話ではない…

ワトスン役の主人公が天然のおせっかいで、適切な距離感をお客様と築こうとしているプロのリチャードさんの領域をちょっと踏み越えていく感じがあるが、リチャードさんがかなりフレキシブルで寛容でよかったね、って感じ。私だったらブチキレている。個人情報をうっかりバラしたり、依頼者の個人的な事情に踏み込もうとしたりだね。

長年サービス業をやっていて、お高いものにも触れている私としてはヒヤヒヤの連続だったよ…結果オーライだから許すが、主人公が山村紅葉市原悦子船越英一郎に見えた…

 

AmazonのレビューではBLだと云われていたけれど、腐的くすぐりにとどまっているのでべつにその側面は関係なく楽しめると思う。

あと物語の根底にある偏見や差別を許さない感じ、LGBTにも触れているエピソードなどもあって私は好ましく読めました。

 

続きも読むぞー。リチャードさんの美しさ、その描写好きだわ。ただし裸足にモカシンは「石田純一」としか思えなかったけれどな…でも特別に美しい人なら似合うだろうな。