短編小説集というか連作。
泰平ヨンの航星日記〔改訳版〕 (ハヤカワ文庫 SF レ 1-11)
- 作者: スタニスワフ・レム,John Harris,深見弾,大野典宏
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/09/05
- メディア: 文庫
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隕石と衝突し、突如操舵不能になった宇宙船。しかも悪いことは重なるもので、なんと船はピンケンバヒヤ重力渦に突入、時間の流れがめちゃくちゃになった結果、月曜日の私からはじまって火曜、水曜、木曜……と無数の私が出現! てんやわんやの大騒動に……広大無辺の大宇宙を旅する泰平ヨンが出会うさまざまな奇想天外・珍無類のできごとを、東欧SF界の巨星レムが奔放な筆致で描きあげた連作短篇集、待望の改訳決定版!
細かい事情はまだ解説とか読んでいないので知らないけれど、改訳版とそうでないやつはなんかいろいろちがうらしい。が、未来学会議とかこちらをチラ読みするだけでもむちゃくちゃ面白いというか私の好みだったので腰を据えて読んでみようって、とりあえず「第7回」を読んでみた。
泰平ヨンという宇宙飛行士の自分の旅の記録、という体裁で「第7回」はその7回目の記録、この本はそこから始まる(序文があってそこから読むのがいいらしいが飛ばしたのでこれから読む)。
【第7回の旅】
相対性理論的ななにかで増え続ける自分とトラブルを解決しようとするけれど全然うまくいかずハチャメチャになるお話。こんなのどこかで読んだ!って感じがするけれどきっとこちらが元ネタ。ところどころにあるギャグ的なものが私にはどストライクで(ステーキとか、トラブル回避のための動作の説明が雑とか)ウキウキしながら読んだ。途中やたらとややこしくなるけれど、ややこしくなって当たり前なので本筋だけを注視すればいいかんじ。増え続けた結果の展開とかもどこかで読んだけれどこれが元ネタなんだろう。あのあたりも小気味よく笑えた。面白かった。こういうの、大好き。
【第8回の旅】
最初の十数行でブフォオ!と吹き出してしまった。途中の表現、セリフの言葉の選び方、どれも頭のいい人の考えた風刺混じりのひどいギャグって感じでモンティ・パイソン好きにもオススメできる…そしてまさかのオチ。
えらく肩の力が抜けたお話なので、難しく考えてはいけない、泰平ヨンは難しく考えてはいけないと思ったのであった。たのしーよ、これ。