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夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

多崎礼 「血と霧 1」

た行 日本文学 ファンタジー

久々(だと思う)の日本の作家さん(あ、今村さんの短編は読んだな)

血と霧1 常闇の王子 (ハヤカワ文庫JA)

血と霧1 常闇の王子 (ハヤカワ文庫JA)

 

血の価値を決める三属性――明度(バリュー)、彩度(クロマ)、色相(ヒュー)――による階級制度に支配された巻き貝状の都市国家ライコス
その最下層にある唯一の酒場『霧笛(むてき)』で血液専門の探索業を営むロイスのもとに、少年ルークの捜索依頼が持ち込まれた。
だが両親だと偽る男女は、事件の核心部分を語ろうとしない。
価値ある血を持つと思われる少年に自らの過去の因縁を重ねたロイスは調査を始めるが、
それは国家を揺るがす陰謀の序章に過ぎなかった。

知り合いのレビューをちらっと読む限りは吸血鬼もののハードボイルドかと思ったら、そんなのではなくて血統が絶対価値でそれぞれの特殊能力の属性であり、世界を動かす燃料にもなるという面白い設定の世界観を持つダークファンタジーで、たしかにハードボイルドではあるけれどそれにしては主人公がナイーブで優しくて意外に素直で、ブロマンス要素もあり、脇役みんな魅力的で大変フクースナーなお話であった。

(そこに生きている人間たちは吸血鬼的な要素もあるけれど不死でも夜の住人でもない…いや、直射日光は駄目らしいから夜の住人なのか)

 

私は最近の日本人の作家さん(特にファンタジーやYA向けSFなど)の体言止めが多い文章が超苦手でそこから逃げ回っているのだけど、この作家さんはそのへんがじゃまにならない程度で複雑な世界観もわかりやすく、かと言って説明が鬱陶しすぎることもなくちゃんとお話に溶け込んでいてその辺も好感触。

 

特別な存在である主人公がそこにいる意味、巻き込まれた事件に巻き込まれる理由にも無理がなく、お話の終わりに向かってお話が進んでいく道筋がよく見えすぎるところはあったけれどそれでもお話としてすっごく面白かった。所々に胸を打つエピソードがあってそれもわざとらしくないのがいい。

世界の雰囲気は19世紀ヴィクトリア朝時代のイギリスに似ているところもあり、人々が住んでいるところを覆っている「壁」のようなものの描写がファンタジー部分を際立たせていた。

黒執事好きな人は読むといいかもね。(6巻くらいまでは読んだ)一番に思い出したのが黒執事だった。

 

面白かったので続きも読みます。完全に続きもので、2巻で終わりなのかなあ?

早川書房さんの本は、2巻完結でも同時に出ない限りは「上・下」扱いはしないらしいので、3巻もあるのかと錯覚させても2巻で終わるものに番号を振るらしい。

最近の日本のファンタジーのくどいところがまるでなくて面白かった…よい収穫でした。こういう作品がもっと増えたら私は日本のももっと読む(何様

 

アニメ映画でも海外実写版でも映画になったらおもしろそう…アニメ化希望。ギィの声はべ様でお願い。

 

血と霧 2 無名の英雄 (ハヤカワ文庫JA)
 

 

 

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