夜は終わらない

複雑に入り組んだ現代社会とは没交渉

ムード・インディゴ~うたかたの日々~


MOOD INDIGO (L'Ecume des Jours) - Trailer

■ビヨークやケミカル・ブラザーズのMV、映画「エターナル・サンシャイン」を生み出したミシェル・ゴンドリー
恋愛小説の最高峰を映画化。切なくて愛おしいラブストーリーの傑作が誕生!
■フランス映画トップの俳優たちが共演! 主演は「タイピスト! 」のロマン・デュリス。ヒロインには
「アメリ」のオドレイ・トトゥ。二人を支える友人を大ヒット作「最強のふたり」のオマール・シーが好演。
■原作は1946年に発表された才人ボリス・ヴィアンの傑作青春小説。フランスでは若者の熱狂的支持
をうけ400万部を超えるミリオンセラーに。日本でも岡崎京子による漫画化など多くの人に影響を与えた。
■劇中曲にデューク・エリントンによるジャズの名曲やフレンチポップの数々が。さらにポール・マッカートニー
ベースで参加するなど音楽ファンも必見の作品。

[内容解説]
≪人生は泡のよう。消えないうちに、愛して。≫

舞台は、パリ。働かなくても暮らしていける財産で自由に生きていたコランは、無垢な魂を持つクロエと
恋におちる。友人たちに祝福されて盛大な結婚式を挙げた二人は、愛と刺激に満ちた幸せな日々を送っていた。
ところがある日、クロエが肺の中に睡蓮が芽吹くという不思議な病におかされる。高額な治療費のために
働き始めたコランは、不可思議な人間関係に巻き込まれていく。クロエは日に日に衰弱し、コランだけで
なく友人たちの人生も狂い始める。もはや愛しか残されていないコランに、クロエを救うことは出来るのか―?

公開が決まる前からすごく見たかったのに今日まで見なかったのはなぜかって、ロマン・デュリスがあんまり好きじゃないからかもね。アルセーヌ・ルパンの役をやった時に怪盗紳士なのにあんまり品がなかった。

 

 

 この作品、原作にものすごく思い入れがある。

 

うたかたの日々 (ハヤカワepi文庫)

うたかたの日々 (ハヤカワepi文庫)

 

 学生の頃にこれの単行本版(ソフトビニールカバー仕様)を本屋で見つけて、帯にあるキャプション「現代で最も悲痛な恋愛小説」(と表現したのはレイモン・クノー)にとてつもなく惹かれた私はあんまりないお小遣いで購入。1回読んで興奮したまま間久部に読ませ、それから親友にあげた。それからもう1度買い直してまた読んで、いまも家にある。

だから「エターナル・サンシャイン」やアーティストのPVで好きなミシェル・ゴンドリーが大好きなオドレイ・トトゥをクロエ役に映画化するよと海外版のトレイラーが配信された途端から盛り上がったのに、ロマン・デュリスでイメージが壊れるのを懸念したり、地元映画館では放映されなかったりで先日iTunesで100円セールをやっていたから落としたものの、それがなかったらいつまで見ない気だったんだろう…

 

話は知っていて原作を踏襲した完全映画化だと調べるまでもなくわかったのでオチを知っているっていうのもあったのかしらね、この落ち着きぶり。

 

前半の夢のような展開に華を添える夢の様な映像、コランの夢の様な部屋。ニコラとアリーズがアフリカ系なのも素敵だと思う。原作の表現を丁寧に再現してあった。これ原作もそうなんですよ、と云わなかったらどんな受け取り方になるんだろうな。

原作を読んで想像をふくらませるのが一番楽しいけれど、こうやって映像で翻訳された作品も製作者に才能とセンスがあれば自分の想像の助けになるからありがたい。イメージを壊される恐怖は杞憂だったし、ロマン・デュリスはあんまりお金持ちで粋な青年に見えなかったけれどラストの悲壮な雰囲気はよかった。途中もずっと楽しそうにしていたし。シックはイメージ通り、いまでいうところの文学オタクこじらせすぎの人だからあんな感じなのだろう。

結婚式の直前の表現は岡崎京子版のほうが綺麗だったな。

 これも原作が好きで岡崎京子の大ファンだった私にとっては夢の様な作品だった。単行本化を待っていたら彼女が事故に遭ってしまって出版の許可が降りる様子がないという話が定着していた中、やっと出版された時には泣いたものであった。

うたかたの日々

うたかたの日々

 

 音楽はとても良かった。デューク・エリントンの曲が聴けるのは映画の良い所。原作の裏表紙にもボリス・ヴィアンデューク・エリントンが一緒にいる写真が載っていた。サントラは全て良かったのだけど、とりあえずよくかかっている曲をすぐに買ってしまった。

The Rest of My Life

The Rest of My Life

  • Etienne Charry
  • フレンチポップ
  • ¥250

 改めて原作を読みたくなる気にはさせてくれる。原作もこうなんですよ、という前提で見るときっと楽しめると思う。

でも岡崎京子版のほうが好きだなあ…最初に見たイメージだからかな。ネズミはどっちも可愛かったけど。